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2005年9月28日 (水)

秩序の循環モデル

大ざっぱにいって、積極的服従は服従によって得になると本人が思っている場合に実現し、消極的服従は不服従によって損失があると本人が思っている場合に生じるであろう。
したがって、積極的服従が生じるためには、サンクションシステムが服従者に利益を与えるか、利益を与える能力を持っていると思わせる必要がある。また、消極的服従が生じるためにはサンクションシステムが不服従者に不利益を与えるか、不利益を与える能力があると思わせなければならない。

ここで注意すべきことは、積極的服従と消極的服従は対称のように見えて対称ではない点である。消極的服従の場合には服従者が増えるとほど、負のサンクションを与える手間が省けるので、服従者が増えれば増えるほどサンクションシステムにかかる負担は小さくなる。

一方、積極的服従は服従者が増えると服従者に与える御利益を増やさなければならない。または御利益があるだろうという期待感を多くの服従者に持たせなければならない。これを実現するには手間隙をかけたり現実のリソースを分配したりする必要がある。つまり、積極的服従の場合は服従者が増えれば増えるほどサンクションシステムの負担が増すことになる。

これはサンクションシステムの内部における群内淘汰圧を増加させる方向に働き、二次ジレンマを顕在化させることになる少し考えると消極的服従の多い社会秩序よりも積極的服従が多い社会秩序の方が安定性が高いように思えるが、サンクションシステム自体の安定性は消極的服従に主として依存する場合の方が安定なのである。

 ただし、服従行動自体の強度は積極的服従の方が消極的服従よりも強いと思われるので、主に積極的服従によって維持されるグループは主に消極的服従によって維持されるグループよりパフォーマンスがよいかもしれない。そうであれば群間淘汰圧の作用で積極的服従者が増える可能性も考えられる。

以上をまとめると、次のサイクルが生じる可能性がある。

  積極的服従主導のグループの勃興
         ↓
  サンクションシステム内の二次ジレンマ顕在化
         ↓
  積極的服従者の減少、消極的服従者の増加
         ↓
  集団パフォーマンスの低下
         ↓
  積極的服従者の主導のグループの侵入、勃興。

荒っぽい考察だが、社会秩序の生成、維持、変容、崩壊の背後にはこのようなダイナミクスが働いているのかもしれない。とりあえずこのモデルをプロトタイプとして、実例検討と数理モデル化の作業をやってみることにしよう。

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