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2005年12月27日 (火)

『下流社会』を検定してみる

三浦展著『下流社会』(光文社新書)を読みましたが、サンプル数12人とか40人とかで議論がしてあるところが結構あって、どの程度結果が当てになるのか分からない部分が沢山ありました。そこで試しにいくつかの命題について復元したデータを用いて統計的検定を行い、内容の妥当性を調べてみることを試みました。

例えば、第5章は「自分らしさを求めるのは「下流」である?」というタイトルですが、この命題の根拠となるデータはp159の

            |   上     中     下
  ----------------------
     n      |   12人   40人   48人
  個性・自分らしさ|  25.0%   25.0%   41.7%

という表です。生活全般で大事にしていることについていくつでも自由に○をつけてもらう方法で質問をして、「個性・自分らしさ」を選んだ割合が表に示されています。階層意識が上の12人のなかでこの項目を選んだ人が25%、階層意識が下の48人のなかでこの項目を選んだ人が41.7%なので、「自分らしさ」を求めるのは下流だと推測されているようです。

この推測をカイ二乗検定で確認するために、まず割合のデータを人数のデータに復元します。サンプル数が書いてあるので簡単に復元できて

  個性・自分らしさ\階層意識 |   上     中     下
  ----------------------------
     ○をした          |   3人   10人   20人
     ○をしなかった      |   9人   30人   28人
  ----------------------------
      合計            |   12人   40人   48人
   
であることが分かります。これより「自分らしさ」に○をつけることと階層意識とが独立(関連がない)場合のクロス表をつくると

  個性・自分らしさ\階層意識 |   上     中     下
  ----------------------------
     ○をした          |   3.96人  13.2人  15.8人
     ○をしなかった      |   8.04人  26.8人  32.2人
  ----------------------------
      合計            |   12人   40人   48人

となりますので、もとのクロス表とそんなに大きくは違っていません。

    カイ二乗値={(上の表の値-下の表の値)の二乗÷下の表の値}の合計

という式を用いてカイ二乗値を求めると3.15となります。この場合カイ二乗値は自由度2のカイ二乗分布に従いますので、危険率5%で検定するときの棄却域は、カイ二乗値>5.99なのですが、カイ二乗値=3.15なので帰無仮説を棄却できません。つまり「階層意識と自分らしさに○をつけることには関連があるとはいえない」という結論になります。したがって三浦さんの推測は支持されませんでした。

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