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2006年5月13日 (土)

ソフトバンクのポストボーダフォン戦略

>ソフトバンクは5月10日に、ホテルオークラにて平成18年3月期決算説明会を開催、2005年度の業績について説明するとともに、ボーダフォン買収後の戦略について孫正義氏みずから語った。

>壇上に立った孫正義氏は、同社が2000年度以来4年ぶりに黒字転換したことにまず言及した。昨年度は赤字だった営業利益・経常利益が改善され、本年度売上高1.1兆円、営業利益622億円、経常利益274億円、当期純利益は575億円となった。昨年の当期純利益は△598億円で、じつに前年比で1,174億円のプラス転換だ。  

>さらに孫氏はボーダフォン買収後の戦略についての説明に移った。基本施策としては、(1)3Gネットワークの増強(2)3G端末の充実(3)コンテンツ強化(4)営業体制/ブランディング強化の4つをあげ、「10年かけて解決できないようなものは一つもない。我々はそれを1年でやり遂げる」と、本年秋に開始となるナンバーポータビリティに焦点をあてて基本戦略のスケジュールを立てていることを強調した。

>具体的には、ドコモの計画を上回る4.6万局の基地局設置、シャープの「AQUOSケータイ」の投入、パナソニックの参入、ヤフーコンテンツの融合などが提示された。将来的にはメールアドレスも含めたYahoo!との統合、超高機能(高価格)ケータイ、無線LANホットスポットとのハイブリッド化などもありえるとのことで、「ありとあらゆる可能性を検討している。とにかくユーザに興奮していただけるものを提供したい」というのが、“ケータイの理想型”であり、“インターネットの理想型”だとした。  

>注目の新ブランド名もすでに決定済みとのことで、秋頃までにはさまざまな発表が続くものと思われる。今後の事業規模は売上高2.5兆円規模、2600万回線規模となるソフトバンク。Yahoo! BBが日本のインターネットを変えたように、新生ソフトバンク/ボーダフォンが、日本(世界)のケータイを変えるのかもしれない。

リンク: 4年ぶりに黒字に転化。携帯電話事業も改めて自信を見せる -ソフトバンク決算:RBB TODAY (ブロードバンド情報サイト) 2006/05/11.

>ソフトバンクは4月27日にボーダフォンを買収し、携帯電話事業に参入した。買収総額は1兆6613億円で、このうち1兆1660億円を銀行からの借り入れでまかなっている。金利は期間によって異なるが、2.5%~3.5%となっている。  

>「今は(通信)技術が根底から変わっている時期でもあり、今がピンポイントだ」と孫氏は話し、第2世代携帯電話(2G)から3Gへの移行が進んで、携帯電話の通信もブロードバンドになるこの時期に携帯電話事業に参入することに勝機を見いだしているとした。  

>今後の戦略については、まず2007年3月までに基地局を4万6000局増やして3Gのカバーエリアを拡大する。「ボーダフォンは3Gに800MHz帯を利用できるため、1つの基地局で広いエリアをカバーできる。さらにバックボーンをIP化することで設備投資を抑える」(孫氏)  

>また、通信速度が上り最大14.4Mbpsの高速移動体通信技術であるHigh Speed Downlink Packet Access(HSDPA)を使ったサービスを2006年秋に開始することも明らかにした。同様のサービスはNTTドコモが2006年夏に開始することを明らかにしている。  

>Yahoo! JAPANのコンテンツを生かしたモバイルサービスや、Yahoo!メールと連携したメールサービスなども検討しているといい、「番号ポータビリティ制度が始まる秋ごろには、ソフトバンクらしいサービスをいくつか提供できるだろう」とした。

「ソフトバンクはラッキー」--孫氏が語る携帯電話事業の勝算

低金利に時期に大規模投資をするというのは確かに理にかなった考え方で、携帯電話に参入するのであればよいタイミングだったということはいえるでしょう。ただ、だからといって十分な収益があがるかどうかはまた別の問題で、そのための手立てとして3G網の強化、高速HSDPAサービスの開始、AQUOSケータイやパナソニック携帯などの端末ラインナップの強化を孫氏はあげています。

まあ、3G網の強化やHSDPAや端末ラインナップ強化だけではドコモやauに追いつくだけですが、それらの点でのビハインドを解消した上でYahoo!との統合という切り札を切るという構想のようです。ソフトバンクが先行2社に追いつけるかどうかはこの切り札しだいであるわけですが、今のところは中身を示さず(示せず?)期待感を持たせて時間をかせぐ作戦と見受けられます。

当面は本当に3Gインフラの点で先行2社に追いつけるのか、ネットとの統合でどんなメリットを提示できるのか、お手並み拝見というところでしょう。

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