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2007年6月11日 (月)

中国鉄道大紀行 その42 黒い龍

中国鉄道大紀行 その42 黒い龍
武夷山(ぶいさん)での生中継をはさんで5月27日は、福建省をあとに江南省の横峰(おうほう)を目指します。といっても移動距離は100km足らずで、今日も割とゆったりです。

武夷山を出発する前に近くの村を尋ねました。あいにく小雨がぱらついてますが、山が霧に煙るさまは日本の山のようでもあります。所々、烏龍茶を栽培する茶畑が段々畑になっていました。この辺りは武夷岩茶の産地でもあるのです。

古い農家の合間に「南山若茶」の看板を掲げた、少し大きな農家がありました。烏龍茶の生産農家です。関口さんが訪ねると女の人が二人、お茶の選別作業をしてました。

 「形の悪い葉と茎を取り除いてるの」
 「商品になるのは黒くて長くてこんな形」

年長の二十歳ぐらいの女性が説明をしてくれます。

 「すると、こんなのはダメなのね」
 「そう、そんなのは肥料か食前茶にしかならないの」
 「黒い龍の形をした葉っぱじゃないと、烏龍茶じゃないのよ」

なるほど、確かに黒くて曲りくねった茶葉が龍の姿のようにも見えます。関口さんはヘーヘー状態で

 「そうなんだ。カラスじゃないのね!」
 「烏(カラス)は黒いっていう意味なの‥」

確かに、カラスは黒いですね。烏龍茶の語源は実際は諸説あって、烏も龍も貴い生き物で、それぐらい貴い飲み物だから、という説もあるようですが、お茶っ葉を選別するときに「黒い龍の形」をした葉っぱを選んだという説は、選別の現場を見せてもらうと凄く納得できました。

この女性は農家の跡取り娘だそうで、5才のころから烏龍茶の生産に携わっていたとのこと。こうみえても、その道15年のベテランです。お茶を蒸して発酵させる機械や、ザルに入れて手作業で揺する作業もやって見せてくれました。昔はみんな手作業で天日発酵させて大変だったそうです。今でも最高級品は手作業で仕上げます。

その最高級品「大紅袍」を関口さん、振る舞ってもらいました。娘さんが、慣れた手捌きで茶葉にお湯を注ぎ、揺すり、溢れさせ、小さな茶碗に注ぎます。

 「ジーンとくる。うまーい!」
 「プイヤー!プイヤー!(うまいうまい!)」

香りはほのかだけど、味はガツーンと来るそうです。そんな上等の烏龍茶飲んだことないので、実感が沸きませんが関口さん、満足そうです。跡取りの娘さんも本当に嬉しそうな表情でした。

皇帝に献上したという、本物の大紅袍は3本しか現存しなくて、年に1kgしか採れないらしいので、親木から挿し木した子供や孫の木から採れたものなのでしょう。美味しそうなので、中華街でも行って探してみようかしらん。

雨もあがり、17:21武夷山発。武夷山脈を越えて江南省に向かいます。硬臥(B寝台)の向かいに、蘇州の故郷に戻るというおじいさんが乗ってらっしゃいました。長年、福州から北京までの路線で勤務して退職。老人ホームに入るのだそうです。

 「そういう瞬間に良く会うんだよな、この旅‥」

と、関口さん。中国の鉄道は近距離の通勤客などはすくなく、もっぱら長距離の乗客が占めています。人生の節目に長い距離を旅している人も多いことでしょう。

 「60才には金を貸すな」
 「70才は家に入れるな」

昔の中国には、そんな言葉もあったそうです。今では故郷に戻って老人ホームが面倒を見てくれると、おじいさんは穏やかな表情で話してくれました。経済の発展には間違いなく、ありがたい側面があるのです。

19:23横峰(おうほう)着。多くの人の人生を乗せた黒い龍は、夜の中へ走りさっていきました。おじいさんのこれからの生活が、幸せなものでありますように。

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