« 熱高気圧 | トップページ | 「まっくら森」注文 »

2007年6月14日 (木)

中国鉄道大紀行 その43 謀らずして合う

中国鉄道大紀行 その43 謀らずして合う
5月28日は江西省から安徽省まで300kmほど移動します。夜行列車を乗り継ぐ強行スケジュールです。どうも先週は武夷山で生中継するために、足踏みしてたみたいですね。

午前1:58、前夜蘇州に戻るおじいさんを見送った横峰(おうほう)を出発します。ここの滞在は5時間ほどで、滞在というよりは単に乗換え駅だったようです。噂のアモイからやってきた列車は日曜の行楽帰りの人達で混んでました。1時間ほど乗って貴渓(きけい)で乗換えです。1時間では寝ることもできず、きついですね。

3:05貴渓発。今度は(多分)上海行きの硬臥(B寝台)です。途中、焼き物で有名な景徳鎮を通過しますが、関口さんは夢のなか‥。夜が明けるころには安徽省に入り、白壁の民家が目立つようになってきました。雨の多い地方なので、湿気よけに漆喰が使われているのでしょう。

9:02、黄山(こうざん)着。人口42万、世界遺産にも登録された黄山の玄関口として、2000年前から栄えている街です。世界遺産の黄山は奇松、怪岩、雲海、温泉の「四絶」で知られ、「天下の名勝、黄山に集まる」とまでうたわれていますが、今回はそこには行きません。その代わり関口さんは街で、それに匹敵するような体験をすることになりました。

黄山の街に屯渓老街(とんけいろうがい)という、明代の街並みを残した通りがあります。白壁に黒い瓦の風情ある民家が並んでいる所です。その中に、漢方薬の店がありました。旅館か両替商のように立派な店構えです。旅の疲れのたまっている関口さん、ここで漢方薬を処方してもらうことにしました。

女医さんに診察してもらったところ、「熱がたまりやすい体質なので、辛いものは減らした方がいいですよ」とのこと。「最近、辛くなくなってきたんですよ」と関口さん。体が段々慣れてくるのでしょうけど、食べ過ぎてはいけないようです。「免疫を高める薬」を処方してもらって、クコやヤマイモなど13種類の生薬を、5人分かと思うほど大量に頂いていました。煎じて飲むので生のときは、沢山になるようです。

さらに街を歩くと「姓名題詩」というお店が出ていました。
 「名前を書いて下さい。詩を作ってあげますよ」
店の人が呼び掛けます。面白そうなので関口さん、早速お願いすることにしました。

「関口知宏」と署名すると、店の人は10秒ほど考えて、「関」「口」「知」「宏」を行の先頭とする詩を書き始めました。

 関心冷暖世間情
 口吐蛛蛾話古今
 知難而進‥

 (世間の様々な人情に関心を持ち)
 (知恵に溢れた古今の話題を語る)
 (困難と知っていても前に進み)
 (作品を通して多くの人を楽しませる)

見事です。しかも凄い達筆!

 「すっげーー!!」
 「なんつうか、驚いた。家宝にしよ!」

関口さん、大感激で口をあんぐり開けて驚いてましたが、私もビックリしました。昔、魏の曹植は十歩歩く間に見事な詩を作り、死刑を免れたと伝えられていますが、それを思いださせる技です。

関口さん、やおら絵日記を取り出して、客家円楼のページを見せながら、

 「たとえばこのページには、ここは文化遺産のように見えて、その中には世間の冷暖、いろんなものがあったということが書いてある」

と説明します。

 「すると、旅の感想と私が漢詩に書いた内容が、ピッタリ一致したということですね。」

姓名題詩の先生はニッコリ笑うと、扇子に

 不謀而合
 (謀らずして合う。相談しないのに考えが合うこと)

と書いてくれました。

いやいや、相手の心情まで読み取って、瞬時に漢詩を作りあげる技は見事としかいいようがありません。漢詩の面白さをリアルタイムで体験した関口さんは「これは、贅沢な体験だよ。いや、面白い面白い」と、いつもまでも扇子をあおいで満足そうでした。

|

« 熱高気圧 | トップページ | 「まっくら森」注文 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121873/15426998

この記事へのトラックバック一覧です: 中国鉄道大紀行 その43 謀らずして合う:

» 温泉旅館宿 [温泉旅館宿]
温泉旅館宿の情報 [続きを読む]

受信: 2007年6月14日 (木) 11時36分

« 熱高気圧 | トップページ | 「まっくら森」注文 »