中国鉄道大紀行 その48 下町探検!

6月4日は安慶西(あんけいにし)から九江(きゅうこう)まで、長江沿いに南下します。
出発前に関口さんは安慶の街を再び探検しました。相変わらず雑然とした、綺麗とはいいにくい下町を歩いていると、どこからか二胡の音が響いてきました。近くの子供にどこで弾いてるのか聞くと、アパートの一室を指差します。「ここなの?」という顔をしながら関口さんが訪ねると、年輩の男性が二胡を弾いてらっしゃいました。
机の上のラジカセに合わせて、演劇の伴奏曲を練習します。なかなかお上手です。
「何年弾いてるんですか」
関口さんが聞くと
「リャンネン(2年だよ)」
という返事。
「リャンネーン!」
二胡は弾けるようになるまで普通1000日(3年弱)かかるそうですから大したものです。余程熱心に練習されたのでしょう。
自慢の二胡をきいてもらっておじさん、上機嫌です。
「日本人だぞ。俺が二胡を弾いてたらきたんだ」
アパートの人にも紹介してくれました。ちょっとした大事件なのでしょう。
「そう、僕は日本人。君は中国人かい」
様子を見にきた10才ぐらいの男の子に話しかけて
「どこに住んでんの?」
と聞くと、こっちという素振りをして一目散に駆けていきました。
「そんな、走らなくても‥」
といいながらも関口さんが追いかけると大きな建物が‥
〈○○文体棋牌活動中〉
と看板がかかっています。
飲食店かと思った関口さんが「お茶もらえますか」といいながら、入っていくと、そこはゲームセンターのような所でした。1階に卓球台が置かれ、上の方はアパートになっています。〈棋牌〉とありますから、中国将棋や麻雀もできるのでしょう。20元なんて張り紙も(ちょっと高い?)。
「間違えた。お茶飲む所じゃねえや」
「レストランに見えました」
と関口さんが謝ると、さっきの子のお母さんが
「どうぞ、どうぞ、ご飯も食べてって」
とお招きしてくれました。またまたお呼ばれです。
"Nice to meet you!"
"What's your name?"
いきなり男の子が話しかけてきました。
「英語もできんの! My name is‥」
と関口さんが驚いていると、
「こんにちは」 「今度は日本語かよ!」
面白い子です。
「テレビで習ったのよねえ」
とお母さん。小学校3年から英語の授業がありますから、挨拶ができても不思議ではありませんが、それがさらっと出て来てさらに日本語の挨拶も‥となると、よっぽどそういうのが好きなのでしょう。
「日本に電話はありますか?」
「そらあるわな」
そんな問答をしたかと思うと、指で数を示して見せます。
「2、3、4、0、‥‥」
関口さん???だったのですが、ようやく了解しました。
「なんだ、電話番号教えてくれてたんだ!」
実に面白い子です。でも、子供ってそんな所ありますよね。
その後、お母さんとお姉さんを交えてランチタイム。 「こういう旅してて、意外に家庭料理を一緒に食べる機会ないんですよね」
テレビ見てると、しょっちゅうお呼ばれされてる印象があるのですが、関口さんの認識では「意外にない」となるようです。まあ、お呼ばれのシーンは必ず映りますから、沢山あるように感じるのでしょう。
食べる機会が少ないと聞いてお母さん
「そしたら、息子に感謝しなきゃ」
息子さんも
「僕のおかげだよ〜」
と、とことん楽しい家族でした。店で食べるのとまた違った美味しさがあって、関口さんも満足そうです。 「いやいや、面白かったなあ」
駅に戻り14:25、九江行きの列車に乗り込みました。駅で関口さん、案内の人に「またいらっしゃい」と言われていました。いつもの挨拶ですが、今日は感慨深そうです。
「また今度か。。ある訳ないんだよなあ〜」
「人生でまたここに来ることは、まずないでしょ。」
「逆に言えば、なぜここに来ることになったのか、ともいえるし」
今回の家族との出会いも、普通なら有り得ないことです。
「でも、人生分かんないからな。それがあるんだよな」
ひょっとするとまたここに来て、あの子たちに再会することもあるかもしれません。私も12年前に東京に遊びに来たときに、府中の大国魂神社付近を探検したことがあるのですが、そのときには、ここに来ることは多分一生ないだろうなと思いながら歩いていたものです。よもや2年後に府中で暮らすことをなろうとは、そのときは夢にも思いませんでした。
人生は何があるか分かりません。
「あるかもな。やっぱりねーよ。いやいや‥」
またの機会に思いを残しながら、関口さん、安慶の街をあとにしました。
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