中国鉄道大紀行 その49 桃園の味

合肥(ごうひ)から九江(きゅうこう)まで南下したあと、6月5日は麻城(まじょう)をへてコウ川(こうせん、コウはサンズイ偏に黄)まで真っ直ぐに北上します。
8:39九江発。北京方面に向かう列車に乗り込みます。車内はほぼ満席で、関口さんのお隣りには親子らしい女性二人連れが座っていました。
コウ川の先にある安徽省の阜陽(ふうよう)に住むお嫁さんの所に行くのだそうです。
「みんな、親戚訪ねて行く感じなんだねえ」
満席の乗客の皆さん、それぞれに誰かを訪ねて旅行されているのでしょう。
「何をしにいくのですか」
「昨日の朝、男の子が生まれたので手伝いに行くんだよ」
これを聞いて、関口さんビックリ。
「ひえ〜、生まれたばっかり!」
「凄いタイミング。おめでとうございます!」
いきなり、おめでたい話で幸先のよいスタートになりました。
一人目が女の子で、昨日生まれたのは二人目だそうです。都会では二人目を産むと罰金を取る一人っ子政策がとられていますが、農村では一人目が女の子の場合などは、二人目もOKなようです。男の子を優先する意識の反映だったりもするようですが、子供が二人なら人口は増えないので、性別問わずに二人まで可にしていいような気はします。お母さんもとっても嬉しそうでしたし。
10:43麻城着。武漢から70kmほど北東にある田園都市です。人口は116万で地図で見た感じより大都市です。とはいえ高層ビルの並ぶ市街地を抜けると、桃や栗の果樹園が広がっていました。舗装してない車道の脇では牛が草をはんでます。
関口さんが牛を眺めていると、道端で桃を食べている人がいました。近くの農家の人です。関口さんが、自分も食べたいというと、
「いいよ、自分でとりな」
とのこと。なかなか、鷹揚な人です。
木からもいでみると案外小振りで、かじるとサクサクしてて、普通の桃とは違います。
「この桃、美味しいだろ」
という、農家の方によれば、桃とリンゴを交配させた新品種とのこと。確かに、どちらもバラ科ですから交配はできるのだろうとは思いますが、どんな味がするのでしょうね。ちょっと検索してみましたが日本では作ってないみたいです。
農家の方の自宅にまねかれて、普通の桃の方も頂きました。関口さんにはこちらの方が口に合ったようで
「うまい! こりゃうまいや!」
と連発してました。32℃もある暑い日ですからねえ、甘くて汁気たっぷりの桃がやっぱり美味しそうです。
15:14麻城発。山を越えて京九線を北上していきます。鉄道地図をじっと見つめる関口さん。春の旅もあと2日となりました。遠くきた旅路に思いを馳せているのでしょうか。
コウ川の駅前で一服していると、近くの人が集まってきました。絵日記を見せて、旅のルートを説明します。その昔、マルコポーロがアジアへの旅を語ったときもこんな感じで人が集まってきたのかもしれません。凱里(がいり)の絵を見せると、そこなら遊びにいったことがあるという男性がいました。
「美女を探しに行ったんだよな」
と男性の友人。
「美女? いた?」
「いや、全然ダメだった」
和気あいあいとした空気が流れます。旅の話は人を引きつける大きな力を持っていますね。
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