中国鉄道大紀行 その56 若く柔らかい葉

紹介が前後しましたが、鄭州(ていしゅう)のあと南東に阜陽(ふよう その54)、揚州(ようしゅう その55)ときて秋の旅第1週が終わりました。長距離移動の多いハードな旅路でしたね。第2週からは順に紹介していけると思います。
第2週の初日、9月9日は揚州から東に海に程近い海安県(かいあんけん)までの旅でした。距離にして100km程、時間にして2時間余りのショートトリップです。
13:41揚州発。田んぼの中を東に向かいます。2004年に開通した南京・啓東路線という新しい路線で、サービスに力を入れてるそうです。車内販売は中国では珍しいインスタントコーヒーを扱ってますし、薄めか濃いめか濃さまで聞いてくれてました。制服もお洒落です。ちなみに関口さんのリクエストは「イーディエン濃め(少し濃いめ)」
田んぼの中を東に進むにつれて、車窓に桑畑が増えてきました。江蘇省はまゆの生産が盛んなようです。16:00海安県着。人口95万人、養蚕業の中心地です。駅から少し離れると一面の桑畑でした。
「これがカイコの食べるやつか」
「背が高いねえ~!」
大きくなりすぎる葉が摘みにくいので、小さめに刈ってあるのですが、それでも人の背丈くらいはあって、畑の中に入ると回りが見えなくなるぐらいです。
関口さん、一軒の農家を尋ねて蚕棚を見せてもらいました。土間の真ん中に三段になった棚が置かれ、桑の葉が敷き詰められています。そこに沢山のカイコが群がっていました。
「仕切りとか一切ないもんなんですね」
「逃げて行かないんですか?」
棚の回りに柵も仕切りもないのを見て、関口さん不思議そうです。
「葉っぱのあるところに寄ってくるからね」
「大丈夫」
考えてみれば当たり前ですね。餌は棚の上にあるので逃げても何にもいいことはありません。でも、虫かごとか飼育ケースとか見なれた目には不思議な光景ではあります。
「ハジメマシテ」
農家の娘さんが日本語で挨拶してきました。一から九までくらいの数も日本語で分かるそうです。彼女の案内で関口さん、桑の葉摘みに挑戦しました。
「小さなカイコにあげるんだからね」
「若く柔らかい葉を選んでね」
普通に葉を摘んでいると、ダメ出しされてしまいました。
「えっ!?これ堅いの?」
「難しいんだ~」
ちょうどいい葉を探して摘むのは、なかなか難しそうです。なんとか葉を選んで摘むと今度は大きな包丁で細かく刻んでいきます。生まれて3日目の小さな小さなカイコにあげる分です。小学校のころ、教室でカイコを飼ったのを思い出しました。
「一杯食べて大きくなるんだよ~」
こうして、朝昼晩と桑の葉を摘んで刻んで、丁寧に広げていきます。カイコが小さいうちは部屋に暖房をいれるので、葉を広げ終わった関口さんは汗だくでした。
「カイコには天国でも‥」
「俺には地獄だねえ~」
カイコを飼うのも、それをレポートするのも大変ですね。いやいやお疲れ様でした!
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