中国鉄道大紀行 その64 ヤオトン訪問

9月19日は、長治北(ちょうじきた)から楡次(ゆじ)を経て石家荘(せっかそう)まで、黄土高原を北上します。
8:09、長治北(ちょうじきた)発。朝の気温は8℃でした。山の中だけあって冷え込んでますね。夏の気温から一気に下がって関口さん、寒そうです。
列車はかなり古いタイプの客車で、緑のシートが懐かしい感じを誘います。車内では編み物をする人がちらほらいました。冬物の衣類が主ですが、中には毛糸のスリッパを編む人も。これはなかなか暖かそうです。
関口さんが絵日記を書いてると、書画を専門にするという人が話しかけてきました。
「画家ですか?」
そういう訳でもないのですが、やっぱり目を引くようですね。書画家の先生、古い字体の漢字で関口さんの名前を書いてくれることになりました。良く建物に書かれているような隷書(れいしょ)や、判子の字体に使われている篆書(てんしょ)です。
書いたのを見掛けることはあっても、書いてるところは滅多に見掛けません。なかなか面白い書き順です。関口の「関」だと、普通左上から門がまえを書いていきますが、右から書いたり、「關」の中から書き始めたり。要は形を整えやすいように書いてるのだと思いますが、見ていてちょっと新鮮でした。
6時間余り列車に揺られて14:28、楡次着。古い街並が残り、ドラマの撮影なんかも行なわれる街ですが、列車の中で、ここでヤオトンが見られるという情報をつかんだ関口さんは、そちらに向かいました。車で走ること30分ほどで、後溝村着。200人ほどがヤオトンで暮らす村です。
ヤオトンは、黄土の崖に横穴を掘った住居です。村に入るとあちこちの崖に穴が掘ってあるのが見えてきました。粘土でできた茶色の道沿いにも家が並んでいます。そのうち一軒の門を潜ると、中庭みたいになっていて、女の人達が木陰で麻雀をしてました。ちょっと意外な光景です。
ヤオトンの中に案内してもらった関口さん、思わず
「リャンファイ!(涼しい!)」
洞窟なので、夏は涼しく冬は暖かいのです。その一方、中は白く壁が塗られ、ベッドや家具なども置かれていて、全然崖に掘った穴という感じがしません。普通の快適そうなうちです。ベッドは下にまきをくべる穴があって、冬場は暖房具としても使われるようです。
100年前の眼鏡というのもありました。大きな黒ぶち眼鏡で、今のデザインとは全然違いますが、今のご主人の祖父、父から受け継がれてきたそうです。
「眼鏡かけると字が読めるんだ」
ご主人さんはそう言って笑ってました。時間がゆったり流れているようです。
表では、白い犬と黒い猫が仲良く寄り添っていました。二匹がお互いにペロペロ舐めあっているのをみた関口さん、
「どうなの、その関係は、君たち?」
「犬と猫なのに仲良くなってしまうほどまったりとしたこの空気」
ヤオトンの村では、色々予想外の光景が展開していました。
「乾いた土見てると過酷なイメージがあったけど、何、このやすらいだ雰囲気」
「ちょっと想像してませんでした~!」
17:32、楡次発。綺麗な夕闇のなかを東に向かいます。21:58石家荘着。今日も10時間余りの鈍行列車の旅、お疲れ様でした!
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