中国鉄道大紀行 その70 甘いスープ

9月27日は、新立屯(しんりっとん)から錦州(きんしゅう)、三十家(さんじゅうか)、下坂城(しもはんじょう)と、北京に向けて列車を乗り継いでいきます。
4:22、新立屯発。ずいぶん朝早い出立ですが、錦州からの便が一日一本しかなくて、この時間に出ないと間に合いません。まだ外はまっくらです。
夜が白々明けてきて、6:23錦州着。人口308万人、石油の産する工業都市で、広い駅構内も貨物がメインなのでしょう、人が少なくてガラーンとした感じがします。ここで、三十家行きに乗換えです。
7:33、錦州発。一日一本しかない旅客列車に乗りこみました。おそらく、貨物列車はもっと沢山通ってるんでしょうね。昔あった清水港線も、貨物がメインで旅客は一日一本なことで有名でした。
一日一本の車内は混んでいるのかと思いきや、空いています。空いてるから一本なのでしょう。でも、沿線での人の乗り降りは沢山あります。列車の通過後、線路を大勢の人が横切ってましたし、ホームのないような場所で列車を止めて、お客さんを降ろしたりもしてました。皆さん、大きな荷物を担いで買い出しが何かだったのでしょうか。貴重な生活の足であることが伺われます。
茶色く実ったトウモロコシ畑を過ぎ、緑の木々をくぐってゆるゆると列車は進みます。三十家までは8時間余り。車内でお喋りしてるシーンもなかったので、長かったでしょうねえ。沢山本が読めそうではあります。
15:15、三十家着。お疲れ様です。もとは30しか家がなかったということですが、今でも人口4万人の小さな街です。駅前にも背丈より高いトウモロコシの畑が広がっていました。
「トウモロコシ穫ってる~」
「ニーハオー」
関口さんが声をかけると、とれたての実を見せてくれました。おっきなトウモロコシです。子供が葉っぱをむしったりしてお手伝いしてました。
畑の持ち主の家を訪ねると、庭に鶏が一杯ケコケコしています。10kgもある大きなカボチャがなっていたり、ナツメの実がたわわにみのっていたり、ちょっとしたパラダイスです。
「食べ物一杯だー!」
「おい、ナツメをとってやれ」
早速、家の人が木に登って4cmほどのナツメの実を手のひら一杯にとってくれました。これを井戸水で洗ってくれます。新鮮で美味しそうです。
実の所、ナツメって食べたことはないのですが、リンゴかナシのような味がして「1日3個食べると年とらない」と言われるほど、滋養があるのだとか。特に手入れしなくても、勝手に実るらしいので、植えてるおうちも多いのでしょう。
さらにご主人、トウモロコシのスープもご馳走してくれました。塩味かと思いきや、なんと砂糖入りです。
「甘っ!」
やっぱり甘いようです。
「こっちではこんな風に飲むんですね」
「でも美味しいよ。甘いのは甘いので」
練乳たこ焼きにつぐ、意外な甘いものシリーズ第二弾でした。そろそろ、列車の時間です。これもご主人が教えてくれました。
「駅前で大豊作の所に来たのもビックリだけど、なんでこのおじさんこんな親切なんだろう」
「そっちの方がビックリ!」
17:24、三十家発。世界遺産、避暑山荘のある下坂城に向かいます。今週の旅はこれで終わり。お疲れ様でした~!
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