中国鉄道大紀行 その85 エベンギの暮らし

10月25日はイトゥリ川でエベンギ族の生活を再現した施設を訪ね、その後ヤクシからジャラントンに向かいます。
再現施設は昨日のテントと同様に、シラカバ林の中に散在してました。昨日と違うのは△に木を組んでシラカバの皮や毛皮で覆った、伝統的なテントである所。緑や白のテントの他に白地に赤の飾りがついた大きなテントもあります。儀式用でしょうか。
「こんにちは、トナカイちゃん♪」
トナカイはエベンギ族の守り神だそうで、大切に飼われていました。
工芸品を作るテントでは、シラカバの皮を火で炙って湯飲みを作っています。シラカバが貴重な素材なのでしょう。テントの中では皆さんエベンギ語で会話しています。フランス語みたいにショバショバァ〜とした感じで、中国語の響きとは全然違いますねえ。「不思議な言葉の響きだ…」
別のテントでは鹿を呼ぶ笛とかがありました。関口さん、当然吹いてみましたが、音がでません。こつがあるようです。見本を見せてもらうと、バォゥ〜!っと象さんの声みたいな音がしました。面白いですね。昔から伝わる薬草のお茶というのも頂きました。肝臓にいいそうですが、胃腸ではなくて肝臓に良いというところがややマニアックです。こちらでは肝臓の悪い人が多いのでしょうか。
シラカバの皮でできた夏用のテントというのもあって、素材が薄くて涼しげです。テントの上部には煙り抜きの穴が開いていて、通気性もよさそうでした。冬の素材では夏場は暑いのでしょうね。夏と冬で住まいが変わるというのも面白いです。さっき飲んだ薬草が乾燥させてありました。
テントの外にでると、リボンを結んだ木が聳えていました。太い枝が幹に絡み付いています。これは「母と子の木」と呼ばれて、エベンギ族の信仰の対象になっているそうです。
「他の木と違って、何か感じます?」
と案内の女性に尋ねると
「ええ、この木の前にくると心が落ち着きます」
「何かあると、この木に語りかけるのです」
なるほど、そういうものなんですねえ。
「自然の中で生きてないと、そういう感覚分かんないんだよね」
日本の暮らしでは、木に語りかけるなんてこともほとんどなくなりました。関口さん、すごくうらやましそうです。
「私の感性では、ここにお金があるのが嬉しいことぐらいでしょうか」
と言って、地面に落ちているお札を指さすと
「それは、拝みに来た人が捧げたお金です」
決して落ちているわけではないのでした。お賽銭はお賽銭箱に、という先入観に囚われていると思わぬ恥をかいてしまいますね。
「貧しいな〜心が。ああやだやだ」
確かに、テレビを見てる自分も心の貧しさを感じさせられるシーンではありました。
その後、テントで暖まっていくよう誘われましたが、残念ながらここで時間切れ。関口さん、名残り惜しそうにエベンギの村をあとにしました。
「ここは、俺のあこがれの場所だよ」
12:34、イトゥリ川発。来るまでは何があるのかサッパリ見当のつかなかった街が、また思い出深い土地になりました。今度は大興安嶺山脈を南下していきます。車中で強いお酒を振る舞われたりしてるうち、景色は夕日に染まり16:47ヤクシ着。漢字では「牙克石」と書きます。ホームもない小さな駅ですが、人口は43万でハイラル川の入り江に発達した、そこそこの街です。ここで乗換えて17:30、ヤクシ発。大きな月が上って来てました。
さらに大興安嶺山脈を越えて東北平原にでたあたりで21:05、ジャラントン着。エベンギの村も遠くなりました。
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