中国鉄道大紀行 その92 テンゲル砂漠

11月5日は中衛(ちゅうえい)近郊でテンゲル砂漠を見てから、西方の武威(ぶい)に向かいます。
砂漠は黄河の向こうということで、渡し船が出ていました。砂漠に向かう渡し船なんてのがあるのが、ちょっと面白いですね。画面では単なる荒れ地に見えますが、ある程度は対岸にも人が住んでるのでしょう。
「ゆるやかに見えるけど、近くから見たら凄いはやいじゃん」
「最上川みたいだね」
下流域では断流が心配される黄河も、上流部ではそこそこ水量はあるようです。
2分ほどで川を横断して関口さん、トンと川辺に降り立ちました。この辺は所々木が生えていたりします。しばらく進むと砂漠が見えてきました。
テンゲル砂漠は中国4番目の大きさの砂漠で、地図で見た感じでは九州くらいの面積がありそうです。最大のタクラマカン砂漠は本州くらいありますから、それに比べるとかなり小さいですが、広大な砂漠には違いありません。ちなみに関口さん、半袖姿です。気温もかなり上がっているのでしょう。今日は風もなさそうで、通遼の砂漠に行ったときほどはさむそうではありません。
砂地に入って手で穴を掘ってみると、砂の中にはじんわり湿気がありました。
「ちょっと湿ってるじゃん、これ」
ここで緑化の研究をしている方に伺うと、この湿気のお陰で何とか植物が生えるのだそうです。
「植物には水が必要ですからね」
砂が流れないように、格子状に藁を差し込み、その後乾燥に強い植物を植えていくのだそうです。今は枯れてますが、マツヨイグサか何かが植えられているようです。草の根が砂を止めると木を植えることができるようになるのでしょう。
「砂漠に鉄道を走らせるため、50年研究を続けてきました。」
もともとは砂漠化対策というよりは、線路が砂に埋まってしまうのを防ぐための研究だったそうです。風が強いところでは1日1mも砂丘が動くらしいので、直に線路が埋まってしまいます。
「最近では、砂漠の緑化につながるので、海外からも評価されています」
ということでした。線路ぞいに緑の長城ができれば、砂漠化を抑えていく有力な拠点になることでしょう。鉄道ができて人口が増えると、地下水を消費したり家畜の過放牧が生じたりしそうな気もしますが、それを抑える政策とパックにすればアフリカや中央アジアの砂漠化を防ぐ方策にもなりそうです。
「スタートは砂漠を緑にじゃなかったんですね」
「きっかけってのは、なんだか分かんないもんだからねえ」
本当にそうですね。
18:06、中衛発。時差の関係でまだ明るさが残っています。これからカシュガルまで砂漠の旅で、緑の長城に守られた線路を西に向かいます。こういう話を聞くと、鉄道が通ってことの有り難みを改めて感じますね。
関口さん、今日は食堂車ではなく、乗り合わせた向かいの人にカップラーメンをご馳走になってました。四川省の綿陽からウルムチまで2晩かけて旅してるそうで、沢山ラーメンを持ってらっしゃいました。ラーメンだけでなく、お湯も注ぎにいってザーサイも分けてくれて、ゴミも捨ててくれて‥。とても、親切な人です。
西域に向かう列車には、回族の方も沢山乗ってらっしゃいました。彫りの深い顔立ちは、中央アジアからヨーロッパ風です。赤ちゃんも目鼻立ちがはっきりしてて、これも可愛いですね。
ギターをジャンジャカ弾いてる人もいて、関口さん、歌をリクエストしてました。列車で歌うなんて日本では考えられませんが、あっという間に人が集まって修学旅行のバスみたいに歌合戦が始まります。トリは関口さん。
♪与作〜与作〜
♪このあと忘れちゃったな〜
♪ほ〜ほ〜 ほ〜ほ〜
こんなことしてると、あっという間に目的地です。理想的な旅ですね。22:18、武威着。今日もお疲れ様でした。
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