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2007年12月13日 (木)

中国鉄道大紀行 その99 明日で終わりなのに‥

中国鉄道大紀行 その99 明日で終わりなのに‥
11月14日。明日で最長片道切符の旅も終わりです。今日はクチャから綿花栽培の中心地アグスまで至ります。

9:14、クチャ発。ホームには沢山の人が並んでいました。車内も満員です。綿花の収穫期の出稼ぎを終えて、故郷に帰る人達なのだそうです。そういえば、秋の旅でも最初の方で綿花摘んで糸巻きしたりしてました。あれから2ヶ月。車窓に広がる綿花畑も茶色く枯れて、採り入れ終盤です。

5才くらいの女の子をつれたお母さんがいました。出稼ぎの帰りだそうです。子供連れの出稼ぎも、ご苦労様ですね。お母さんはおしゃれしてて、女の子も両手を振り振りして楽しそうでした。やっぱり、うちに帰るのが嬉しいのでしょう。その一方でお母さんの指は真っ赤です。

 「綿摘みで手が荒れたので薬草を塗っているんです」

なかなか、きつい労働だったようですね。他の皆さんもそんな出稼ぎからの帰りなのでしょう。途中で拾った小さなネコをつれてる人もいました。

天山山脈のふもとを走ること4時間余り、13:16アクス着。人口50万人、この地域の綿花栽培の中心地です。少し街を外れると綿花畑が広がっています。ここも葉や茎が枯れかけで茶色くなっています。

綿花畑に所々、牛や馬がいました。採り入れが終わった綿花畑に放して枯れ葉や枯れ枝を飼料にするのです。関口さん、別の畑で綿摘みしてる女の人に声をかけてみました。

 「こんにちは〜。全部一人で摘むんですか?」

 「そうよ」

お兄さんが果樹園だった土地を綿畑にして、一部分けてもらったそうです。綿の方が儲かるんでしょうかね。1日20kg摘むという話でしたが、フワフワの綿を20kgも摘むなんて、とんてもない重労働です。

 「摘みますよ〜」

と声をかけてみましたが

 「申し訳ないわ。自分でしますよ」

との返事。でも、「まあそういわずに」と一つ摘んでみました。綿の実の根元をつまむとフワフワの実がポロッととれます。

 「パンパンになってる感じ」

ずっしり繊維が詰まっているみたいですね。顔や首筋に当ててみると気持ち良さそうです。続けて、いくつか摘んでみました。

 「今、これお手伝いで摘んでるけど…」

 「日本に帰って布団買ったら、俺が摘んだ綿ってこともありうる訳だよねえ」

 「お手伝いじゃねーじゃん」

関口さん、上着を脱いで本格的に摘みはじめました。

1時間、2時間‥黙々と綿を摘みます。上空に時折鳥の羽音が響き、牛のモ〜〜という鳴き声が聞こえました。摘んでも摘んでもまだまだ一杯あります。

 「なんか全然旅が終わる気がしないね、これ」

 「明日で終わりなのに‥」

 「明日で終わりとは思えない、のどかな時間」

摘み終わった畑には山羊が入ってきて、ムシャムシャ枯れ葉を食べ始めました。特に知り合いの山羊というわけではなく、収穫が終わった畑は誰が入ってもいいそうです。

関口さん、なおも綿を摘み続けます。日本の生活では、沢山のものに囲まれて生活してますが、あらゆる品物は最初は原料だったわけで、原料を生産した人がいるわけですが、そんなことは普段はすっかり忘れています。この最初に生産した人の手応えを確かめるように、関口さんは日暮れまで綿を摘み続けました。

午後7時半、女の人の旦那さんが迎えにきました。ずっしり綿が詰まった袋を担いで帰り支度です。

 「日暮れたもんね、もう‥」

 「ありがとう。どうもお世話になりました」

女の人の目は潤んでいるようにも見えました。

 「いいえー。こちらこそいい体験させてもらいました。謝謝ー」

綿摘みすること3時間。こうして、最終日の前日は過ぎていきました。通訳の陳さんは「することがなくて暇だったー」なんて後からおっしゃってましたが、関口さん自身は無意識のうちに旅の終わり、日常の再開を感じとり、残された時間で日常のルーツを探ることを試みていたのでしょう。日本にいたのでは出来ない、貴重な日常体験だったともいえます。

日常が再びクローズアップされてくるなか、明日はいよいよ旅の終着駅カシュガルです。

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