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2008年5月 4日 (日)

ビッグファイブの複数回答による測定

ビッグファイブモデルは心理学的な性格測定ではよく使われていますが、社会調査の中では質問数が多いためもあってあまり使われていません。今回は性格特性語を複数回答で選んでもらう方法を用いて、短い質問でビッグファイブを測定することを試みてみました。

今回の測定には『心理測定尺度集Ⅰ』p123-128に所収されている和 田(1996)の尺度60項目から、30項目を抜粋したものを用いました 。本来、心理尺度から項目を抜粋すると信頼度が落ちるのでよくないのですが、60項目の和田版でも社会調査の中で用いるにはボリュームが大きいため、このような方法で試すことにしました。具体的な質問は次の通りです。

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Ⅱ 次の項目のうち、あなた自身に当てはまるものにいくつでも○ を付けてください。
  また、特に当てはまるものに◎、特に当てはまらないものに× を付けてください。

1  話好き  2 温和   3 独創的  4 くよくよしない   5 臨機応変    6 ルーズ
 
7  短気   8 外向的  9 陽気   10 気苦労が多い    11 計画性がある 12 怒りっぽい
  
13 勤勉   14 強気   15 親切   16 美的感覚が鋭い   17 悩みがち   18 神経質
  
19 積極的  20 無口   21 怠惰   22 緊張しやすい    23 興味が広い  24 反抗的

25 几帳面  26 素直   27 地味   28 飲み込みが速い   29 飽きっぽい  30 好奇心が強い 

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このような形式で質問して、◎を4点、○を3点、記号なしを2点 、×を1点として4件尺度に変換しました。これも本当は1項目ごとに4件法で聞く方がよいのですが、見た目が少ない質問数に感じるように複数回答形式にしてあります。

この質問を一般信頼や他人指向、環境関心、環境行動、権威主義、 メディア接触などと組み合わせた質問紙を作成し、343名の学生( 男性230人、女性113人)に回答してもらいました。その結果、複数 回答方式でも、通常の4件法できいた場合と似たような回答の分布 が得られることがわかりました。たとえば「話好き」では

  1(×印)   29人(8%)
  2(記号なし)135人(39%)
  3(○印)  137人(40%)
  4(◎印)   43人(13%)

という分布になっています。

このことより、複数回答による方法でも4件法による質問の代理と して使えそうであることがわかります。

次に、4件尺度に変換した得点を用いてビッグファイブ各因子の信頼度(α係数)を求めてみました。その結果は次のとおりです。(*印は逆転項目を示す)

  外向性 (対外的な積極性を示す)         α=0.655
   1 話好き   8外向的  9陽気  
   19積極的   20無口*  27地味*    

  情緒安定性 (精神状態の安定性を示す)     α=0.704
   4 くよくよしない   10 気苦労が多い*   14 強気 
   17 悩みがち*   18 神経質*       22 緊張しやすい*  
         
  開放性 (知的な活動性を示す)           α=0.652
   3 独創的     5 臨機応変     16 美的感覚が鋭い 
   23 興味が広い 28 飲み込みが速い 30 好奇心が強い
 
  協調性 (他者と協力して活動できる性質を示す) α=0.632
   2 温和   7  短気*    12 怒りっぽい* 
   15 親切   24 反抗的*  26 素直  

  誠実性 (物事に真面目に取り組む傾向を示す)  α=0.465
   6 ルーズ*   11 計画性がある   13 勤勉  
   21 怠惰*    25 几帳面       29 飽きっぽい*     

もとの60項目バージョンでは各因子のα係数は0.8~0.9あるらしいので、それに比べると低いですが、外向性、情緒安定性、開放性、協調性の0.65前後の値は社会調査としては実用に耐える値といえるでしょう。ただ、誠実性の0.465はいささか低い値で質問項目の差し替えなどの工夫をする必要がありそうです。

このようにやや問題はあるものの、今回試した簡便法である程度ビッグファイブの測定をすることができると考えられます。次回は以上の方法で測定したビッグファイブ因子と、その他の社会学的変数との関連を見てみることにしましょう。

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