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2008年9月 3日 (水)

学習確率と集団間学習の影響

学会をはさんでシミュレーションの方もぼちぼち進めています。

集団間学習の割合(模倣学習の対象者のうち、他集団のプレーヤーが占める割合)を0.9~0.1まで、学習確率(1ターンごとに学習による戦略変更手続きを行う確率。結果として戦略を変えない場合もある)を0.005~0.1まで系統的に変えてシミュレーションを行ってみました。初期条件がSC(サンクション協力)80人、NC(非サンクション協力)20人を10グループに均等に配置し、ランダム変化はなしで1ターンごとに0.01の確率で集団間移動が生じる条件で5000ターン走らせたあとのSCの割合を求めています(10セット走らせた平均値)。その結果は次のようになりました。

   0.9 0.7 0.5 0.3 0.1
0.005 59% 56% 52% 40% 27%
0.01 50% 45% 24% 8% 4%
0.05 37% 0% 0% 0% 0%
0.1 19% 0% 0% 0% 0%

Photo このように、集団間学習や学習確率が増えると、5000ターン後のSCのシェアは減少して、サンクションは持続できなくなるという結果になりました。

このうち、集団間学習の効果の方は予想通りで、もともと集団内ではサンクションを与えない戦略が常に得になるセッティングですから、集団間学習が減って同じ集団のプレーヤーを模倣相手に選ぶようになればサンクションを与えないNCが増えてSCが減るのは当然と言えます(どの程度減るかはやってみないとわかりませんが)。

予想外だったのは学習確率の効果で、これは絶対値が問題というよりはランダムなmutationとの相対的な比率が重要だと思ってました(ランダムmutationは集団間のSC率にばらつきをもたらすとともに、常にSC率を0.5に向けて引っ張る作用を持つのに対し、学習確率は利得に依存した変化のスピードに影響するので、相対的に学習確率があがると利得に依存した安定状態が実現しやすくなる)。このシミュレーションではmutation確率は0に設定してあるので、mutation確率との相対的な比率は学習確率を変えても変化はなく、それゆえSC率とも関連がないだろうと思ってました。

ところがあにはからんや、学習確率があがると急速にSC率は減少してしまい、集団間学習が0.9(9割は集団外の相手を模倣する)でも、学習確率が0.1だとSCは2割弱しか存続できないし、集団間学習がそれ以下になるとほぼ0になってしまうという結果が得られました。これは予想外ですし、人々がよく学ぶほど協力の存続には不利だという、ちょっと困った結果となりますので、なぜこういうことになるのか原因を探ってみる必要がありそうです。

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