まず「北口か南口かどちらにいこうか」を考える場合のモデルをつくることにしましょう。
比較の対象となる選択肢は「北口」と「南口」で、「会える」か「会えない」かが選択肢の持つ主な属性となります。過去の経験やその他の周辺情報から「北口」を思い浮かべたときに「会える」気がする確率をp、「会えない」気がする確率を1-pとしましょう。一方、「南口」を思い浮かべたときに「会える」気がする確率をq、「会えない」気がする確率を1-qとします。
このとき、確率pqで「北口で会えて、南口で会えない」気がするのであなたは北口に向かうことになります。また、確率(1-p)(1-q)で「北口では会えなくて、南口で会える」気がするので、この場合は南口に向かうことになるでしょう。残りの場合は「どちらでも会えそうな気がする」か「どちらでも会えそうな気がしない」かいずれかになりますが、このときは迷ったあげく確率1/2で北口か南口かどちらかに向かうものとします。
このように考えると、あなたがたとえば北口に向かう確率は
pq+1/2p(1-q)+1/2(1-p)q
=1/2(p+1-q)
ということになります。これをxとおくことにしましょう。
同じように友人が北口に向かう確率を考えてこれをyとすることにします。すると確率xyであなたと友人は北口で会うことができて、めでたしめでたしとなるでしょう。このとき「北口で会える」という印象が強化されますから、「北口」を思い浮かべたときに「会える」気がする確率pが増加すると考えられます。
一方、確率x(1-y)であなたは北口、友人は南口にいってしまいすれ違いになります。このときは「北口で会えなかった」という印象が強化されますから、pは減ることになります。
同様に、確率(1-x)yであなたは南口に行って友人とすれ違います。このときは「南口で会えなかった」という印象が強化されますから、qが減少します。最後に確率(1-x)(1-y)であなたと友人は南口で会うことができますので、このときは「南口」で「会える気がする」確率qが増えることのなるでしょう。
ここでxが増えるのはpが増えるときかqが減るときですので、待ち合わせを1回したときにxが増える確率は
xy+(1-x)y=y
となります。逆にxが減るのはpが減るかqが増えるときですのでxが減る確率は
x(1-y)+(1-x)(1-y)=1-y
となります(まあ、単に1から引いた方がはやいですが)。
ここで、もしy>1-y、つまり
y>1/2
ならxが増える確率の方が大きいのでxが増えやすい状況と考えられます。逆に
y<1/2
なら今度はxが減りやすい状況ということになります。
友人も同じ方法で行き先を選んでいるものとするとx>1/2のときはyが増えやすい状況、x<1/2のときはyが減りやすい状況ということになるでしょう。
以上の結果を図示すると次のようになります。
y
1|
| x増 x増
| y減 y増
1/2
| x減 x減
| y減 y増
+--------x
1/2 1
これは、x=1、y=1に収束するかx=0、y=0に収束するかいずれかの結末にいたることダイナミクスになっています。x=1、y=1はあなたも友人も必ず北口にいくことを意味していますし、x=0、y=0はどちらも必ず南口に行くことを意味しています。このように、待ち合わせゲームを何回か繰り返すと、北口か南口かどちらかが「いつもの場所」となって特に打ち合わせをしなくてもいつも友人に出会えるようになると予想できます。慣習というものの成立メカニズムと考えることができるでしょう。
以上のように、確率的意思決定モデルをベースにして調整ゲームの試行錯誤型のダイナミクスを導くことができました。通常のゲーム理論や進化ゲーム理論でも同様の結論になりますので、とりあえずそれほどおかしくないモデルができたといえるでしょう。もちろん、いつも従来のモデルと同じ結果になるのであれば新しいモデルを立てる必要はないのですが、たとえば囚人のジレンマゲームについて分析してみますと多少従来のモデルとは違った結果になってきたりもします。その辺はまたおいおい書いていくことにしましょう。
とりあえず、今日はこの辺で。続きは旅行から帰ってきてからになります。
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