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2009年6月 3日 (水)

正直者は馬鹿を見るか?

「正直者は馬鹿を見る」という言葉がありますが、実際のところどうなのか、手持ちのデータで検証してみました。使用したのは09年4月に授業中行ったアンケート(サンプル数、男性194名、女性70名、計264名)のデータです。

まず

 「日頃から、何か社会のために役立ちたいと思っている」
 「掃除当番などの義務はなるべく避けたい」(逆転項目)
 「給料が同じならば、必要以上には働きたくない」(逆転項目)

の3項目を用いて、社会貢献尺度を作ります(とてもそう思う~全くそう思わないまで5件法で測定した得点を合計。α=0.68)。この尺度によって、サンプルを社会貢献意識が高いグループ、中間のグループ、低いグループの3つに分割しました。社会貢献意識の高いグループは、社会に役立ちたいと思っているし、義務を進んで遂引き受け、給料が同じでもそれ以上に働こうとする<正直者>のグループですし、貢献意識の低いグループは社会の役に立ちたいと思わないし、義務はなるべくさけて給料分以上には働こうとしない<自己中>なグループということになります。

<正直者>のグループが<自己中>のグループより馬鹿を見ている(=損をしている)かどうかは、いろいろな尺度で測ることができるはずですが、今回のアンケートでは「1ヶ月に使えるお金」(小遣い)をきいてますので、小遣いの多い少ないで比較してみることにしました。小遣いは2万円未満、2万円~4万円、4万円~8万円、8万円以上の4つから選んでもらっています。それぞれをとりあえず1万円、3万円、6万円、10万円とみなして、正直者グループ、自己中グループ、中間グループの平均の小遣い額を求めてみました。

その結果、各グループの平均小遣い額は

   正直者グループ 5.5万円 (標準偏差2.8万円、66人)
   中間グループ  4.1万円 (標準偏差2.8万円、122人)
   自己中グループ 4.2万円 (標準偏差2.4万円、70人)

Photo となり、正直者グループが最も小遣いが多いことが分かりました(分散分析によるとp=0.003で1%水準で有意)。2008年のデータ(サンプル数335人)でも同様に正直者グループが最も小遣いが多いという結果になりましたので(ただしp=0.07で10%水準の傾向性)、正直者は馬鹿を見るのではなく得をする傾向がどうやら存在するようですね。

このデータでは小遣いの内訳をきいてませんので、正直者は例えば仕送りが多いのか、それともバイトの収入が多いのかといったことは分かりません。もし仕送りが多いのであれば、正直な子には親が多くの仕送りをしてくれるのかもしれませんし、多額な仕送りができる裕福な家庭の子は正直になるのかもしれません。バイトの収入が多いのであれば、正直な人は勤勉に働くためにバイト先の評価が高くなって時給が上がったり、時給の高い仕事に就けてもらったりしているのかもしれません。今回の分析ではそういった正直者が得をするメカニズムまでは分かりませんが、なにはともあれ正直者が馬鹿を見るとは限らないことが分かったのは結構なことでした。

今後は正直者が得をするメカニズムの解明や、社会人一般に広げた場合にも同様の結論となるのかどうかの確認、さらに人間関係における損得などお金以外の次元でも馬鹿をみないのかといった事柄の検討が課題となるでしょう。

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