パックテスト
共立理化学研究所が発売している簡易水質検査キットの「パックテスト」を東急ハンズの夏休みの宿題コーナーでみかけたので買ってみました。いくつか種類があるのですが、今回買ったのは「川の水検査セット」という環境調査用のキットです。
これは水中の大まかな栄養塩濃度を示すCOD(化学的酸素要求量)、アンモニウム性窒素(NH4性窒素)、亜硝酸性窒素(NO2性窒素)、硝酸性窒素(NO3性窒素)、リン酸性リン(PO4性リン)の5つの濃度を測るもので、それぞれを測るチューブが2本ずつと説明書、反応色対照表が入っていました。水の大まかな汚れ具合を示すCODと汚れの内訳を各種の窒素とリンの濃度でしることのできるキットです。検査2回分で1860円也。ちと高いですが5回分で6300円という「お徳用」も発売されているようです。
そんなわけで今日の夕方、多摩川の水質検査に行ってきました。小さなバケツに川の水をくんで、それを5つの小さな紙コップにわけ、それぞれから検査用チューブに水を吸い込みます。「チューブの半分まで吸い込んで所定の時間待って下さい」とのことでまずCODから始めました。
チューブの中に過マンガン酸カリウムの試薬が少量入っています。チューブ先端の緑のピンを抜いて空気を少し抜いてから川の水をチューッと吸い込むとたちまちピンク色になりました。おっ!と思っているとだんだん色が薄くなっていきます。水中の栄養塩を酸化して過マンガン酸カリウムが減っているのでしょう。水温30℃で反応時間4分とのことなので、4分後の色を対照表と比べるとほとんど色がない6mg/Lのものとほぼ一致しました。COD6mg/L(=6ppm)と判定できます。
ちなみに日本の河川の水質基準では
BOD1mg/L=AA 水道1級
BOD2mg/L=A 水産1級
BOD3mg/L=B 水産2級
BOD5mg/L=C 工業1級
BOD8mg/L=D 農業用水
BOD10mg/L=E
となっています。BOD(生物化学的酸素要求量)とCODは若干違うのですが河川ではおおむね同じとすると、聖蹟付近の多摩川はC~D評価、工業用水か農業用水向けの水質ということになりますね。見た目はそこそこ綺麗な多摩川ですが水質はそんなによい訳ではなさそうです。
次に汚れの内訳を測定します。まず窒素ですが
NH4性窒素=0.2mg/L
NO2性窒素=0.02mg/L
NO3性窒素=0.4mg/L
ということで主力は硝酸性窒素(NO3性窒素)であることが判明しました。窒素は汚染源に近い所ではアンモニウム性窒素(NH4性窒素)で、川を流れ下るにつれて酸化されてNO2性窒素からNO3性窒素に変わって行くのですが、NO3性窒素が主力ということは、汚染源が比較的遠くにあることを示しています。あるいは測定地の1kmほど上流にクリーンセンター(下水処理場)がいくつかあるのでそこから硝酸性窒素が流れ込んでいるのかもしれません。
リンについてはリン酸性リン(PO4性リン)が0.2mg/Lでリンとしては比較的濃いめでした。下水処理水や肥料の流入の影響かもしれません。
そんな訳でぱっと目で見るだけでは分からないことがあれこれ分かるのは面白いですね。来週は中国に行くので機会があれば水質の測定をやってみたいです。
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