サークル活動シミュレーションの結果
何はともあれ、シミュレーションの結果を紹介しておきましょう。
1月3日の項に書いたセッティングでサークルの名簿上の参加者を100人とし、参加の満足度とコストをいろいろ変えてシミュレーションを行ってみました。
参加の満足度は参加者が少ないと0に近く、十分多いと10に近くなるように設定してあります。また、満足度が5になる人数を「中央値」として、中央値より20人少ないときの満足度が1、中央値より20人多いときの満足度が9になるような満足度関数を仮定しました。たとえば、中央値が30人のときは、参加者が10人のときの満足度が1、30人のときの満足度が5、50人のときの満足度が9となります。この中央値を10人から90人まで変えてシミュレーションを行いました。
参加のコストは1から10まで変化させてあります。参加コスト3で中央値が30人の場合についてシミュレーションを行った結果の一例が図1です。満足感の初期値を10として走らせてあるので最初の参加人数が80人ほどですが、その後少し減って参加人数は60数人前後で安定します。参加人数が50人を超えてますので参加者の満足度は10より少ないもののそれに近い値となり、コスト3を気にしてお休みする人が30数人いても活動が維持されていると考えられます。
参加のコストを5にした場合の結果が図2です。コストが大きい分、毎回お休みする人が増えますがそれでも50人前後の参加人数で安定しました。参加者50人のときの満足感が9ほどですので、コストが5あってもそこそこの活動が維持されています。
参加のコストを7にした場合が図3です。さすがにコストが大きいため参加者が少なくなります。50人のラインを割り込んで30人余りになったあたりでいったん踏みとどまる気配を見せましたが、150ターン付近で30人を切るとずるずると人が来なくなってしまいました。30人の時の満足度を5と設定していますので、30台半ばの人数では満足度が6ぐらいです。コスト7には及びませんがそれでも6/(6+9)=0.4なので40%ぐらいの確率では人が来てくれる満足度を維持しています。
それが30人あまりの人数でしばらく踏みとどまった要因ですが、40%というのは平均した参加確率なので個別の会合ではそれより多かったり少なかったりします。たまたま、30人を切るような会合が何回か続くと満足度は5を割ってしまい、せっかく来てくれた参加者が失望して会合に足を運んでくれなくなります。こうなるといけません。30人の参加者がさらに減って、また参加者の満足度が減り、それでまた次に来る人が減り‥という悪循環で、サークル活動が停止してしまったと考えられます。
このようなシミュレーションを、参加コスト、中央値をさまざまに変えながら行いました。その結果が図4です。横軸が参加コスト、縦軸が満足度が5になる参加人数を表します。それぞれの条件で500ターンずつシミュレーションを走らせたときの最後の50ターンの参加人数の平均が薄緑、黄色、赤、青の色分けで示されています。このうち、色が青で表される領域は参加人数の平均が20人以下となっていることを表していて、実質サークル活動が停止する領域となっています。
この結果、中央値が20人以下の場合は参加コストが10になってもサークル活動がある程度維持されることがわかりました。中央値より20人すくないときの満足度が1になる満足度関数を用いてますので、中央値が20人以下ということは参加者が1人や2人でもある程度の満足感が得られることをしめしています。この場合は、参加コストが満足度の最大値を上回っていても2割以上の参加を得て、活動が維持されうるようです。
中央値が30人の場合が図1~3で示した場合に相当しますが、参加コストが6程度を境にして活動が維持されなくなっています。中央値があがるにつれて、活動停止の領域が広がっていって中央値が50人のときはコスト3、中央値が60人のときはコスト2で活動が停止してしまいます。中央値50人とは名簿上の参加者の半数が参加しているときの満足度が5(最大値の半分)になっている場合で、この場合は参加コストが満足度の最大値の3分の1を越えると活動が維持できません。6割参加時の満足度が最大値の半分のときは、コストが満足度最大値の5分の1に達してもだめで、活動維持のハードルはかなり高いといえるでしょう。
このようにサークル活動の持続可能性は参加人数に対してメンバーがどの程度満足感を感じるかという点に敏感に影響されるようです。少ない人数でも満足感の得られる活動はコストがかなり高くても存続できますが、人数がかなりいないと不満がでるような活動では相当コストを減らすか、満足度の最大値をあげて大きな達成感を得られる活動でないと持続可能にはならないと言えそうです。
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