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2010年6月 9日 (水)

【ゲゲゲの女房】 第63話 絵に描いた菱餅

戌井さんが設立した北西出版はやはり苦戦で、入り口には返本の山が積み上げられていました。斜陽の貸本業界に新たに参入するからには、それなりの戦略があってしかるべきですが、「貸本文化を守りたい」というだけでは先が見えているというべきでしょう。他の出版社で漫画を出して得た原稿料を自分の出版社の運転資金にあてるというのが、唯一作戦らしい作戦だったでしょうか。それも

 「自分の漫画は自分の社で出しとくれ」

といわれて頓挫してしまいました。もともと売れる漫画だったら自社のメインコンテンツにすればいいはずですから、売れない漫画の出版を他社に依頼していたことになります。それで自社の運転資金を獲得しようというのは戌井さん、虫が良すぎましたね。

 「苦しいときこそ、弱小出版社同士助け合わなければ!」

商業ベースに乗らない出版文化を守りたいという戌井さんの気持ちは分かりますが、それで食べていける仕掛けをつくらないとなかなか人はついてきてくれません。商業ベースに乗るように工夫するか、どこかから補助金を引っ張ってくるか。あるいは読者を含めた出版文化保存会をつくって会費で運営するか、「フェアトレード」風に高値で買ってもらうか。浦木が出てきそうな展開ですが、それはそれで不正なことが起きそうでなかなか難しいですね。

そんなわけで茂さんの原稿料が増えるあてはなく、布美枝さんの実家から雛飾り用に送ってもらったお祝い金も不動産の支払いと生活費に消えていくことになりました。家の支払いは分割払いにしてもらってたのですね。20万円を1万円ずつの20回払い(利子つけて30回払いぐらい?)なら不動産屋にとっても悪い話ではないはずですが、不動産屋の親父さんは不服そうではありました。ちゃんと契約書を交わしてないっぽいので、力関係で支払期間とか変わってくるのでしょう。

不動産屋の心象をよくするために消えたお雛様の代わりに茂さんは七段飾りの雛飾りの絵を描きました。お雛様は布美枝さんが作った折り紙です。想像の白酒で酔っ払ったつもり、絵に描いた菱餅をのどに詰まらせたつもりになったおひな祭りはそれなりに楽しそうではありました。世が世であれば水木しげる直筆の雛飾りには高値がつきそうですが、そうなるのはもっともっと先の話でしょう。

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