【ゲゲゲの女房】 第113話 ゼタ破談
「成田出版との合併、破談になりました」
ゼタの人気漫画家目当ての成田出版と若手の登竜門としたい深沢さん。売り言葉に買い言葉で提携破談となったのでしょう。そして「やっと決心した」加納さんの辞職。深酒のあげく酒場でけんかして・・。
そうなるんじゃないかなとは思ってましたが、もう少し何とかならなかったんでしょうかね。編集権が深沢さんにあるということは、誰の原稿を使うかについても深沢さんの裁量に委ねられることになります。もちろん額面どおりには受け取れないとしても、成田出版側も青年漫画誌という新ジャンルに先行投資しようという意思があるわけですから、将来新ジャンルで活躍するかもしれない若手を発掘する枠を設けるように交渉することはできたような気がします。
もちろん従来のゼタのように若手中心というわけにはいかないでしょうけどね。ゼタに寄稿してくれる漫画家の原稿料を引き上げるために譲るべきところは譲る。茂さんだったらそういう判断をしたかもしれませんが、意地の人・深沢さんには妥協は似合わないようにも思います。その辺が人生難しいんですよね。ゼタは深沢さんの意地があればこそ創刊できた雑誌です。でもその意地がかけがえの無いパートナーの離脱を招き、ゼタを窮地に追い込む。正解のない判断に茂さんは寄り添います。
「深沢さんがいる限り、ゼタに描き続けますよ」
豊川さんが最初に村井家にきたとき、宇宙物の企画を引き受けていたら。あるいは豊川さんが編集長にならずに少年ランドから二度目の依頼が来なかったら。今の深沢さんの姿は茂さんの姿だったかもしれません。厳しい戦いを自分は生き残れたが無念の挫折をした仲間が沢山いる。その仲間のためにも描き続けたい。南方の戦場から生還したときと同じ思いが茂さんを動かしているのでしょう。
働くということ。支えるということ。意地ということ。自分のやりたいことをやるということ。沢山のことをいずみちゃんは学びました。今の自分の姿も素直に受け入れることもできます。
「自分も何かはじめなきゃ」
納得の帰郷です。一足先に歩き始めている倉田くんを追いかけたいという気持ちもあることでしょう。でも、まずは自分が歩き始めることです。笑顔で歩き始めてほしい。倉田くんが手渡した似顔絵にいまの精一杯の思いがこめられていましたね。いつか二人が一緒に歩ける日がきますように。
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