【ゲゲゲの女房】 第119話 修理屋貴司くん
貴司くん、暇かと思っていたら忙しそうでしたね。洋裁屋に養子に出て、家庭の苦労もありそうでしたが、ミシン屋の仕事の方も新機種は次々でるは既製服には押されるはで大変そうです。そんな中でも簞笥を直したり、ミシンの手入れに励む貴司くん。
「油も刺さず、糸くずの詰まったミシンを見ると悲しくなるわ」
道具や機械への深い愛着があるんですね。そんな貴司くんには茂さんとゆっくり食事する機会もない藍子ちゃんたちが「手入れしてもらえないミシン」のように感じられたのかもしれません。修理屋貴司くんの出番です。
喜子ちゃんと藍子ちゃん、貴司くんにおもちゃの電話とオルゴールを買ってもらいました。「貴司おじさんといくと、おもちゃ売り場も文房具売り場もゆっくり見て回れる」。藍子ちゃんも満足そうです。その一方で貴司くん、藍子ちゃんの<不具合>にも気付いていました。
「商店街で子供達がゲゲゲの歌をうとうとったんだ」
「藍子、俺の後ろに隠れたぞ」
ゲゲゲの娘としていじめられている藍子ちゃんに布美枝さんもようやく気がつきました。鈍いといえば鈍いといえますが、「漫画は低俗」という批判を受け続けて漫画家という職業に誇りを持ってもらおうと苦心していた布美枝さんには、有名がゆえの苦しみは盲点だったのかもしれません。<妖怪先入観>に取り付かれると自分で退治するのはなかなか難しいものです。まして<妖怪先入観>と<妖怪いそがし>がタッグを組むと絶望的かもしれません。
貴司くんという当事者でも部外者でもない2.5者の視点が先入観退治に役立ちました。自分亡き後に世話かけないようにイトツ父さんを仕込むイカル母さんの考え方も布美枝さんには新鮮だったことでしょう。2.5者の視点に支えられた布美枝さん、今度は藍子ちゃんを支える番です。
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