【ゲゲゲの女房】 第144話 イトツ物語終幕
「なんだ、もう終わりか」
「あーあ、おもしろかったなあ」
人は亡くなるとき、それまでの人生を走馬灯のように思い浮かべるといいますが、活動写真のように思い浮かべるところがイトツらしいですね。花の都で芝居と活動写真に情熱を傾けた日々。
「妻と3人の子宝に恵まれ、ふるさとに活動写真館を開いた彼の心はいつもほがらか」
「希望に包まれていたのであります」
それから60年余り。人生クライマックス、いよいよ集大成、というところで
「手前、受け持ちはこれまで」
「この場を持ちましての大団円であります」
あっけないといえばあっけない、でも多くの人に支えられて自分の持ち場を全うする人生。振り返れば両親も文人のおじさんも一学さんも惜しみない拍手を送ってくれていました。見えんけどおる。皆さん、ずっと見守っていてくださったんですね。ありがたくて、涙が出ます。
イトツが大事にしていたかばんにはおじさんから受け継いだ万年筆が入ってました。受け持ちはこれまで。作家の魂は今度は茂さんに受け継がれました。それをさらに受け継ぐのは藍子ちゃんでしょうか。喜子ちゃんでしょうか。それぞれ「未完のシナリオ」の続きを書いてくれることでしょう。きっとイトツも拍手をしてくれるはずです。
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