【ゲゲゲの女房】 第156話 ありがとう!!
終わってしまいました。始まりあれば終わりありといいますが、それにふさわしいエンディングでしたね。
アシスタントの皆さん、業界関係の皆さん、ご近所の皆さん、読者の皆さん。沢山の人たちにありがとうを伝えてきた最終週でしたが、最終話の主役は「見えんけどおる」皆さん方でした。
「源兵衛さんと仲良くやってごしなさいよ」
イトツの遺影に語りかけるイカルさん。見えんけどそこにいらっしゃるのでしょう。
「用事があるときはラッパを吹くんです」
貴司くんのラッパを吹いて家人を呼ぶ源兵衛さん。最後まで一個分隊を率いていたんでしょうね。飯田家の家長として戦前、戦中、戦後を生き抜き、娘たちの縁談を調え、沢山の孫たちに恵まれ・・。彼岸花の咲く頃、おばばや貴司くんやご先祖様と彼岸へ旅立った源兵衛さん。たくさんの見えんけどおる皆さんのお陰を感じられる最終話でした。
お酒の飲めない茂さんも子供たちに漫画の腕を披露してましたね。見えんけどおる人たちとの団欒。日々の暮らしが静かな海のように続くこと。それらが何よりの供養、何よりのご恩返しとなることでしょう。
ラストシーンの舞台は、幼き日の布美枝さんがべとべとさんと不思議な少年にあったあの森です。ここに帰って来たんですね。あのとき少年がスケッチブックに筆を走らせていた神社の階段に、茂さんが腰掛けて絵を描いてました。
「お父ちゃんはやっぱり絵がうまいねえ」
「当たり前のこというな」
あれから50年近くずっと描き続けてきたのですからね、確かに当たり前のことなのでしょう。布美枝さんに出会うまでの25年、出会ってからの25年。変わらず描き続けてきたのです。
「私でよかったのかな」
お見合い以来初めて茂さんと一緒にきた安来。ここで布美枝さんはきいてみたかったんでしょう。本物の漫画家と信じて自分はついてきたけれども、茂さんにとってはどうだったのか。
「そげだなあ」
「良かったんじゃないか。お前で」
肩に手をおいて茂さんは答えました。ふすまの隙間からのぞいた目玉を見たときから、きっとそう思ってたんでしょうね。でも、改めて言葉にすることの大切さを布美枝さんの表情が物語っていました。
昔と同じようにべとべとさんをやり過ごしたとき、茂さんは50年前にも同じ女性と手をつないだことを思い出したかもしれません。見えんけどあるご縁の糸。見えんけどおる、鬼太郎や悪魔くんや河童の三平たち。
「まだまだこれからだ」
たくさんの見えんけどおるものたちに見守られながらまた二人は歩きはじめました。だんだん。
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