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2010年9月19日 (日)

[一般信頼の構造3] 第1、第2クラスターの独立グラフ

一般信頼と近所、知人、初対面、外国人に対する個別の信頼との相関係数を求めてクラスター分析を行った結果、5つのクラスターが得られました。ここでは、各クラスターについて一般信頼の構造を「独立グラフ」というものを描いて探ってみることにしましょう。

手順としては、まず各クラスターで相関係数の平均をとり、平均相関行列を求めます。ある程度相関係数が大きいと、変数間に有意な相関があることになりますが、その場合でも第3の変数を媒介としたみかけの相関(偽相関)があるだけで、変数間には直接の因果関係などはない可能性があります。このとき、第3の変数を固定した相関係数を求めると偽相関の可能性を排除できる場合があります。

第3の変数を固定して、その変数を媒介とした相関の成分を除去した相関係数を「偏相関係数」といいます。相関行列があるときに、ある2変数以外の変数を固定して偏相関係数を求めていくと偏相関行列が得られますが、これは残りの変数を媒介とした相関の成分を除去した2変数間の直接効果の有無をある程度表現したものになっています。(偏相関が有意でないと直接効果はなしと判断できる。偏相関が有意だと直接効果がある可能性があるが、統制しなかった変数を介する間接効果がある可能性ものこる)

偏相関行列を求めて、有意な偏相関が見られる変数を線で結んでできる図が「独立グラフ」です。線で結んだ変数に直接の因果関係があるとは限りませんが、結ばなかった変数には直接の関係がないことを示す図と解釈することができます。もとの相関行列からできる範囲で偽相関を除いて描いた図ともいえるでしょう。

第1クラスター(欧米化しつつある非欧米諸国のクラスター)について独立グラフを描くと図のようになります。有意な偏相関は実線で示し、強い偏相関は太線で示してあります。図のように、知人信頼と近所信頼、及び、外国人信頼と初対面信頼の間に強い偏相関が見られました。前者は身近な人に対する信頼、後者は知らない人に対する信頼と解釈できますが、それぞれは強い偏相関で結ばれていて何らかの直接的な関係があることが伺われます。

Photo

身近な人に対する信頼と知らない人に対する信頼の間にもある程度の有意な偏相関がみられました。これらの信頼の間にも少なくとも部分的には共通の基盤があるようです。ただし、近所信頼と外国人信頼の間には有意な偏相関はみられず、これらが別々のメカニズムで生じていることが示唆されます。

これら個別の信頼と一般信頼の間にはほとんど有意な偏相関は見られません。唯一の例外は初対面信頼と一般信頼の間の偏相関で、これらの間の関連は偽相関ではない可能性があります。言い換えると、第1クラスターの国々では一般信頼は初対面信頼の強さをある程度反映する指標だが、他の個別信頼とは直接の関連はないことが示唆されます。ただ、初対面信頼と一般信頼の間の偏相関は小さいので、これらの関連性はあってもあまり強くはないといえるでしょう。

第2クラスター(欧米クラスター)の独立グラフは図のようになります。個別信頼間の構造は第1クラスターとほぼ同じです。近所信頼と初対面信頼の間の偏相関が第1クラスターの場合よりも強くなっている点が異なっていて、身近な人に対する信頼と見知らぬ人に対する信頼が共通のメカニズムに由来する程度が高くなっているようです。

Photo_2

第1クラスターとの違いは一般信頼の位置づけについてはより顕著で、一般信頼は知人信頼との間に有意な偏相関を持ち、初対面信頼の間に強い偏相関があることが分かりました。一般信頼が初対面信頼の代理指標である度合いは第2クラスター諸国でより高いが、一部知人信頼の強さも反映した指標になっているといえそうです。

このように第1クラスターと第2クラスターでは個別信頼の構造はほぼ同じだが、一般信頼の位置づけが異なること、一般信頼は第2クラスターでは初対面信頼の比較的よい指標となるが第1クラスターでは部分的にしか反映しない指標であることが分かりました。

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