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2010年9月29日 (水)

[一般信頼の構造4] 第3~第5クラスターの独立グラフ

少し間が開きましたが、一般信頼の構造の続きです。前回は第1、第2クラスターの独立グラフを紹介しましたが、欧米クラスターである第2クラスター諸国では一般信頼が初対面信頼との強い結びつきを持っていました。欧米化しつつある非欧米クラスターの第1クラスター諸国では、個別信頼の構造は第2クラスターと類似していますが、一般信頼と初対面信頼との結びつきはより弱いものになっていました。

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今回はアフリカクラスターである第3、第4クラスターとアジアクラスターである第5クラスターの独立グラフをみていきましょう。第3クラスターでは、知人信頼と近所信頼が強い結ぶつきを持ち、外国人信頼と初対面信頼も同様に強い結びつきを持つという点で第1クラスターと同じの個別信頼の構造を持っています。

異なっているのは一般信頼の位置づけです。第1クラスター諸国では一般信頼は初対面信頼と関連を持っていましたが、第3クラスターではこの関連はみられません。その代わり、一般信頼は近所信頼と有意な偏相関を持っています。ガーナ、エチオピアといった第3クラスターに含まれるアフリカ諸国では「大抵の人は信頼できると思いますか」ときいたときに、近所の人のことを思い浮かべながら「大抵の人」が信頼できるかどうかを答えるのかもしれません。その割には、近所信頼と一般信頼の水準が違いすぎますが・・

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第4クラスター諸国(チリ、南アフリカ、ルワンダ)では、一般信頼と個別信頼の偏相関がなくなります。これらの国々では「大抵の人」といったときに思い浮かべる対象が人によってまちまちで、特定の傾向性がないのかもしれません。個別信頼の構造は基本的に他のクラスターと同じ(友人と近所、外国人と初対面に強い結びつきがある)なので、信頼の質問自体は機能していると考えられます。他方で一般信頼の質問については、何を測定しているのか実態が不明なものになってしまっているようです。

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第5クラスターは中国やインド、トルコといったアジア・イスラム諸国クラスターですが、独立グラフの構造は第1クラスターとほとんど変わりません。違いは知人信頼と外国人信頼の間に偏相関がない点だけで、他の個別信頼の構造や一般信頼が初対面信頼と弱い結びつきをもつ点は同じです。伝統的なアジア諸国ではこの形がデフォルトで、近代化がすすむと外国人に対しても知人に対するものと共通の基盤で信頼感を持つようになるのかもしれません。

以上、5つのクラスターについて信頼の構造をみてきましたが、一般信頼は強い、弱いの区別はあるもののおおむね初対面信頼と結びつきがあり、ある程度は初対面信頼の代理指標になっていると考えられそうです。ただ、アフリカ諸国では一般信頼が近所信頼と結びついたり、どの個別信頼とも関連を持たなかったりする場合があるので注意が必要です。

個別信頼についてはどのクラスターでも知人信頼と近所信頼、外国人信頼と初対面信頼の間に強い偏相関が見られます。前者は2者信頼やn者信頼(集団内信頼)に対応し、後者はN者信頼(集団間信頼)に対応します。2者信頼とn者信頼は共通の心理的基盤を持ち、N者信頼同志はまた別の心理的基盤を持っていることが伺われます。

N者信頼はn者信頼の延長、あるいは使いまわしであって、集団内信頼の高い人はついでに集団間信頼も高いという考え方もありますが、独立グラフを見る限り両者は別物みたいですね。知人信頼や近所信頼の副産物で初対面信頼や外国人信頼が生じているのであれば、初対面信頼と外国人信頼の間に強い偏相関が見られる可能性は低いでしょう。実際にはどのクラスターでも初対面信頼と外国人信頼には強い偏相関が見られますので、N者信頼独自の心理モジュールがある可能性は高いように思われます。

一般信頼がN者信頼モジュールと強い偏相関を持つのは第2クラスターの欧米諸国です。一般信頼をN者信頼の代理指標として経年変化や加齢による変化を見るにはまず欧米諸国について見てみるのが吉といえそうです

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