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2011年3月23日 (水)

セシウムは0.013をかける

かなり高濃度の放射性セシウム137が茎立菜(くきたちな)などから検出されています。セシウム137の場合の実効線量係数をおさらいしておきますと 0.013μSv/Bq となっています。これは1Bq(べクレル)のセシウム137を口から食べた場合に、人体が受ける通算のダメージ(預託実効線量といいます)をμSvを単位として表した値となります。 したがって、放射性セシウム137の量を示すべクレル値に0.013をかけると、それを口から食べたときに人体が受ける通算ダメージがわかります。たとえば今回見つかった茎立菜1kgあたり82000べクレルの場合、この野菜を100g食べると8200べクレルのセシウム137が体内に入ります。これによるダメージは係数をかけて 8200×0.013=106.6μSv と求めることができるわけですね。 原子力安全委員会は年に5mSv(5000μSv)を年間限度量としているようですから、毎日このくきたちなを100gずつ食べると 5000÷106.6=46.9日 で年間限度量を越える計算になります。まあ、毎日100g食べたりする作物でもないかもしれませんが、以上の方法で他の作物についても測定されたべクレル値から人体の受けるダメージを自分で計算することができますね。 ただしこれはセシウム137の場合で、ヨウ素131の場合は0.022をかけるとμSvに換算できます。ヨウ素131は半減期が短いのでまだましですが、セシウム137の半減期は30年もあるので気が重いです。

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コメント

情報有難うございます。
人体の受ける通算のダメージ(預託実効線量)の意味が良く理解できないのですが教えてください。
仮に一定量汚染された食物を毎日摂取し続けるとその影響は普通の積算ではなく総和計算をしなければいけないと思うのですが、このへんのところは考慮されているのでしょうか。

投稿: KHORIE | 2011年5月31日 (火) 08時06分

KHORIEさま

質問ありがとうございます。
預託実効線量は今摂取した放射性物質が大人の場合は現在から50年の間人体に与える影響を積算した値で、子供の場合は摂取した歳から70歳になるまでの影響の積算値として計算されています。
(http://www.remnet.jp/lecture/b05_01/4_1.html)

セシウム137の場合、係数が0.013μSv/Bqなので今日セシウム137を例えば100ベクレル摂取すれば、それが今日から50年間に渡って人体に与える続ける影響の積算が1.3μSvとなります。

今日から10日間、毎日100ベクレルのセシウム137を摂取し続けると、それらが今日から50年間に渡って人体に与える影響の積算は約13μSvとなります。正確には今日から10日後に摂取するセシウム137の場合、今日から50年後まででは49年355日しか体内に影響を与えませんのでその間の影響の積算は1.3μSvよりほんの少し少なくなりますが、それはほとんど無視できるほどの違いなので約1.3μSvとみていいでしょう。そんな訳で10日間とり続けたセシウム137の影響の50年間の積算は大体13μSvと見積もることができます。

毎日摂取すると積算する期間が微妙に変わってきて面倒なのですが、積算日数の微妙な違いを無視すると何日かかけて摂取したセシウム137の合計量に0.013をかければ人体に与える長期的な影響を概算することができます。ややこしい話で申し訳ありません。分かりにくい点がありましたら、またご質問ください。

投稿: くじょう | 2011年6月 2日 (木) 09時27分

こんにちは、ブログを拝見しました。
質問ですが、セシウム137の体内に取り込
んで、体外に排泄されるまでの期間は
70日から90日であるそうです。50年間
影響がある事がここのブログで指摘されて
いたのですが、どのような影響力が続いて
行くのでしょうかね。お答えください。

投稿: | 2011年7月24日 (日) 19時19分

ご質問、ありがとうございます。

<50年分の影響の積算>をとるのは預託実行線量を求めるときの「お約束」なので、実際にセシウム137の影響が50年間つづくとは限りません。セシウム137の生物学的半減期は70日程度ですから、1年もたてば30分の1、2年で1000分の1の濃度に減っていくことになります。実質的には1年もたてば今摂取したセシウム137の影響は消えると考えられます。

他方、たとえばストロンチウム90の生物学的半減期は49年ぐらいですので実際に50年影響は残ると思われます。このように放射性物質の種類によって実際に影響をあたえる期間はまちまちですが、「一旦体内に入ったとき、十分長い期間にどのような影響を生体に与えるか」を示す預託実行線量を求める際に、「十分長い期間」の具体的な値として「50年」という数値が統一的に使われているのです。物質によって定義を変えるのも煩雑ですしね。

投稿: くじょう | 2011年7月25日 (月) 17時07分

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