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2011年3月 1日 (火)

一人当たりGDPと初対面信頼

世界銀行が出している人間開発報告書2010に載っている各国の一人当たりGDPのデータと、世界価値観調査(WVS)第5波調査から分かる各国の初対面信頼のデータを用いて散布図をつくってみました。横軸が一人当たりGDPですが、対数変換してありますので3だと一人当たり1000ドル、4だと1万ドル、5だと10万ドルにあたります。

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縦軸が初対面の相手に対する信頼で、とても信頼できるを3点、やや信頼できるを1点、あまり信頼できないを-1点、まったく信頼できないを-3点として国ごとの平均を求めてあります。この値がプラスだと初対面の相手を信頼する、マイナスだと信頼しない傾向が強いと解釈できます。一般的信頼(たいていの人は信頼できると思いますか)よりも、より明確に<見知らぬ人>に対する信頼を測定したものと考えられるでしょう。

散布図を見ると、一人当たりGDPと初対面信頼の関係は単純ではありません。一人当たりGDPの対数値が2.5から4にいたる間はGDPの増加につれてどうやら初対面信頼は低下しています。他方、4を過ぎたあたりから5にかけては初対面信頼が急激に増加しています。全体としては少し右に寄ったU字曲線、あるいは少し開いたJカーブのような曲線になっているようです。

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やや見づらくなるのですが、国名をいれると上のようになります。log(GDP)が2.5~3(GDP300~1000ドル程度)の領域にはエチオピア、ルワンダ、マリ、ブルキナファソといったアフリカの低開発国が並びます。これらの国では、初対面信頼指数がマイナスですから見知らぬ人を信頼しない傾向が見られるのですが、強い不信というほどではなくどちらかというとという程度の不信にとどまっています。

log(GDP)が3.5~4(GDP3000ドル~1万ドル程度)の領域にはブラジル、ロシア、南アフリカ、中国、タイ、マレーシアといった新興国や中開発国が並んでいます。これらの国々では押しなべて見知らぬ人に対する不信感がつよく-1(余り信頼しない)以下の信頼度となっています。中南米の国々は一般的信頼を調べたときも低かったのですが、初対面信頼でもペルーを筆頭にブラジル、チリ、メキシコ、コロンビアといった国々が顔を見せていますね。中南米の中開発国の中でもウルグアイやアルゼンチンが比較的初対面信頼の高い国になっているのは興味深いところです。

log(GDP)が4.5~5(GDP3万ドル~10万ドル程度)の領域がいわゆる先進国の領域となります。先進国の中でもばらつきは大きいのですが、イタリア、ドイツ、オランダ、スペインといった比較的初対面信頼の低い国々でもその水準は中開発国で最高だったウルグアイやアルゼンチンと同程度で、その他の国々はすべて-0.5より大きな値となっています(WVSには日本の初対面信頼のデータはないのですが一般的信頼の値から推測して多分この領域に入るでしょう)。

スウェーデン、ノルウェーは先進国の中でも別格でデータのある49カ国の中でも唯一初対面信頼指数がプラス(どちらかというと信頼するという傾向)を示しています。フィンランドがわずかにマイナスですがこれらノルディックの国々が初対面信頼でもトップグループを形成しています。その次が、オーストラリア、カナダ、スイス、フランス、イギリス、アメリカといった欧米諸国でノルディック諸国を除いても初対面信頼のトップになります。北欧の国々はやや例外的ではありますが、それらの国々を除いても一人当たりGDPと初対面信頼にはU字型の関連が見られることを上の散布図は示しているといえるでしょう。

それがなぜなのかを考えていく必要があります。

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