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2011年3月 2日 (水)

ジニ係数と初対面信頼

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ジニ係数(大きいほど不平等)を横軸、初対面信頼の指数(大きいほど信頼)を縦軸にとって散布図を描くと図のようになりました。予想通り、右下がりのグラフになっています。ばらつきはありますが、一人当たりGDPと初対面信頼のような曲線的な関係は見られず、ジニ係数が増えるにつれて初対面信頼は直線的に減少していくようです。相関係数は-0.53、R2は0.28でかなり強い負の相関がみられるといえるでしょう。

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国名をつけると上のようになります。一人当たりGDPが300~1000ドル程度の低開発国に赤、3000~1万ドル程度の新興国や中開発国に黄、3万ドル以上の先進国に青の色をつけてあります。赤の国々がグラフの真ん中あたり、黄色の国々が真ん中から右下にかけて、青の国々がグラフの左上から中 央にかけて分布していることが分かりました。

これもクズネッツ曲線から予想される通りで、低開発の国々では所得分布の不平等が比較的小さく、それに対応して初対面信頼も中間的な値になっています。中開発の国々では、国によってばらつきはあるものの不平等が大きく広がる国が現れて特にそういう国で初対面信頼が低下しています。先進国になると所得格差が小さくなり、それに対応して初対面信頼が改善しているようです。

それぞれのグループの中でも右下がりの配置が見られますので、ジニ係数の増加(所得の不平等の増加)が初対面信頼に悪影響を与える傾向は一人当たりGDPを統制しても残るといえます。一方で、たとえばジニ係数40前後の国を見てみますと、赤色の低開発国は中信頼、黄色の中開発国は低信頼、青色の先進国は高信頼という傾向が見られますので、ジニ係数を統制しても一人当たりGDPと初対面信頼のU字型の関連は残るともいえるでしょう。

結局、ジニ係数と初対面信頼の間には線形の直接効果、一人当たりGDPと初対面信頼の間にはU字型の非線形な直接効果が存在し、さらに一人当たりGDPとジニ係数のあいだにクズネッツ曲線のような非線形な関係があることが組み合わさって、一人当たりGDPと初対面信頼のU字曲線が出来上がっていると考えることができます。

先にパス解析を用いて一人当たりGDPやジニ係数と信頼の関係を調べてみましたが、パス解析は線形モデルを仮定して行う分析なのでU字曲線のようにはっきりした非線形な関係があるときには適切な結果が得られません。そこでいささかローテクですが散布図による分析を試みてみました。今後は、ジニ係数と信頼や一人当たりGDPと信頼の間に見られる直接効果の中身を考察していくことが重要な課題になっていくでしょう。

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