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2011年4月25日 (月)

共感、勉強と原発への態度

男性では原発への態度と社会貢献意識、共感、勉強の得手不得手などに相関があり、女性では他者への共感とのみ有意な相関があることが分かりました。これらの要因が、具体的にどのように原発への態度に影響しているのかを見てみましょう。

Photo_2

図は男女別、勉強の得手不得手別、共感の高さ別に「原子力発電は次第に縮小していくべきだ」に「そう思う」と答えた割合を示したものです。青線は「勉強が苦手」、赤線は「苦手でない」人を示します。

左側が男性ですが、確かに勉強が苦手な男性の方が苦手でない男性より10ポイントほど、原発縮小の割合が高くなっています。また、他者への共感の低い男性より他者への共感の高い男性の方が15ポイントほど原発縮小の割合が高くなっています(いずれも5%水準で有意)。男性の中では勉強が得意で他者への共感の低い人が最も原発の維持を望む一方で、勉強が苦手で他者への共感が高い人が最も原発の縮小を望んでいて、縮小に賛成する割合は24ポイントも異なることが分かりました。

女性については男性とは異なり勉強が得意な人の方が4ポイントほど原発縮小に賛成する傾向が高いのですが、この違いは有意ではありません。女性については他者への共感の高低のみが有意な要因で共感の低い女性に比べて、共感の高い女性の方が20ポイントほど原発縮小に賛成する割合が高くなっています。

興味深いのは共感の高い男性と共感の低い女性では原発縮小に賛成する割合がほとんど変わらない点です(高共感男性で43%、低共感女性で41%。有意差なし)。男女の差が共感レベルの違いでは説明がつかないことを示しています。経済への関心や災害への関心など男女差を媒介しそうな変数をいれて分析を行っても、同様に男女の差を説明できないことが分かりました。

今回のアンケートでは質問していないので確認することはできないのですが、放射能への漠然とした不安が男女では異なっていて、それが男女差の原因になっている可能性は考えられます。子供を産むという生理的な役割の違いが反映しているのかもしれません。男性は比較的そういう点に無頓着なのかもしれませんし、勉強の得意な男性は放射線の影響についても情報を調べて比較的冷静な対応をしているのかもしれません。

「放射能への不安」というファクターが本当に男女差を媒介しているのかどうかは今後の調査での検討課題ですが、今回の調査で明確になったのは「他者への共感」が原発への態度の大きな規定要因になっている点です。現実に多くの人が原発の事故によって避難をし不便な生活や社会的、経済的な不利益を強いられているわけですから、こうした人たちや、あるいは将来の事故によって被害を受ける人たちに対して共感的苦痛を感じる人が原発の縮小を望んでいるといえそうです。逆に被害を受ける人に余り共感しない人が原発の維持を望む傾向があるともいえるでしょう。

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コメント

 玉葉さんは楽観的すぎると思いますよ。
 「勉強の得意な男性は放射線の影響についても情報を調べて比較的冷静な対応をしているのかもしれません」とは何をバカなことをいっているのですか。「比較的冷静」どころか、原発容認はキチガイですよ。
 玉葉さん。原発の成り立ちを勉強してください。底辺作業員の被曝を前提とし、貧しい地区に金をばらまいて立地し、俺たち都会の人間が贅沢を謳歌しているのですよ。石原がいうバチに一理あるとすれば、バチが当たるべきは東京の人間です。
 ということをいわなくとも、さっき書いたことで「人が人を食って(人間性を殺して)成り立っている」のが原発です。「子供を産むという生理的な役割」は人類生存の基本ですよ。それを忘れて人は生きていけるのですか?
 こんな目に遭っても……信じられない。それともあなたは滅びの美学にでも酔ってるつもりですか。

投稿: 本間康二 | 2011年4月26日 (火) 01時15分

本間さま
先日に引き続きコメントありがとうございます。

手元のデータでは原発を縮小すべきと思う人が41%、維持すべきと思う人が23%で、どちらともいえないと思う人が36%が「縮小すべき」は割と多いのですが過半数に達せず、すぐに縮小に向かうという状況でもないようです。そこで、どのような人が縮小の意見を持ち、どのような人が維持あるいは迷っているのかを調べて見たのがこの記事です。

その結果まず「他者への共感」の強さが原発への態度に大きな影響力を持っていることが分かりました。他者への共感が強い人ほど「縮小すべき」という意見を持ち、共感しない人は「維持すべき」あるいはどうするか迷うという傾向が明らかに見られます。それゆえ本間さまのように、現場で働く人や事故で避難を強いられた人に強い共感を持つ人が増えれば「縮小すべき」という意見を持つ人が増えると期待できます。

一方で男性においては「勉強が得意」という要因が無視できない影響力を持っていて、得意な人ほど原発の維持に賛成する傾向が見られました。これがなぜなのかは今一よく分かりません。放射能への不安という要素を仮にあげて見ましたが、実際にそうなのかどうかは今後の検討課題です。ただ、勉強の得意な人が原発の維持を望む傾向があるというのは実際にありそうなことですので、それがなぜなのかを明らかにしていくことがこれらの人を説得していく上で必要だろうと考えています。


投稿: くじょう | 2011年4月27日 (水) 13時39分

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