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2011年5月19日 (木)

【今月のうた】 『誰かがサズを弾いていた』(2011年)

今月(2011年4,5月)は『サズ』と『ピースフル』というロングバージョン2曲の構成になっています。なかでも『誰かがサズを弾いていた』は非常にインパクトの強い作品ですね。

 ♪ まあるい月を乗せた船が
 ♪ 静かに川を西へ行く

「月を乗せた船」という表現がすでに非凡ですが、川を下る月を乗せた船からカメラが引いていくと、それは美しい女性の頭の中で、やしの木の二倍はありそうな巨大なその女性の頭部が砂漠にごろりと横たわるありさまは一度見ただけで忘れられないインパクトを持っています。

映像を担当されている岡野正広さんはブログ(http://okaboo.jugem.jp/?eid=98)の中で、『子供がトラウマになるような作品にする!』と書いてらっしゃいますが、確かに『メトロポリタン』や『まっくら森』に匹敵するトラウマ感があるシーンですね。女性の大きな上目づかいの瞳が印象的です。よく見ると砂漠のなかに『メトロポリタン』の天使の像みたいなのが埋もれていたりもして、本歌取りみたいな構図にもなっているようです。

 ♪ 眠れ眠れ 子羊たちよ
 ♪ 眠れ眠れ 瞳を閉じて
 ♪ 旅から旅の物語

透き通った歌声でシュールな子守唄を奏でるのは、サラエボ出身のシンガーソングライターのヤドランカさんです。ユーゴスラビア内戦のあと各国を点々とし、現在は日本に拠点を置いているそうで、さしずめ現代の吟遊詩人といったところでしょうか。元サッカー日本代表監督のオシムさんとも親交があるそうです。

サズはヤドランカさんが愛用するボスニアの民族楽器です。イラン、トルコ、バルカン半島といった地域に分布するといいますからオスマントルコの時代に広まったのかもしれません。Wikipediaによると「馬の頭蓋骨にタテガミが絡みついて風に鳴っていたことから考案された楽器」だそうで、砂漠の風が歴史を越えてさらさらと流れるような響きをもっています。

 ♪ 絹の道行くキャラバン
 ♪ 駱駝の背には宝物
 ♪ ルビー サファイア トルコ石

長い旅の途中、若者はオアシスでとても可愛い白い花をみつけました。摘んでいこうかいくまいか。迷う若者に花は「遠くへ連れて行かないで」と首を振ります。せめて今夜は愛の歌、あなたのために歌いましょう。七五調のレトロな響きが遠い昔の恋物語を伝えてくれます。『月のワルツ』のように空を飛び、『マントヒヒ』のように光に溶けた儚い恋。イスラムの朝の祈りを呼びかけるアザーンの声が響くなか、サズの音だけがさらさらと流れていきます。

儚いゆえの永遠。再びごろりと転がり目を閉じる女性の頭部が永遠の儚さを悲しんでいるかのようでした。

『誰かがサズを弾いていた』
 作詞:友利歩未
 作曲:ヤドランカ
 うた:ヤドランカ
 編曲:渡辺俊幸 
 イラストレーション:宇野亜喜良
 映像:岡野正広
 初回放送:2011年4,5月

ヤドランカさんのインタビュー記事
http://konohoshi.jp/interview/091217/

アザーン(エザーン)の響き
http://www.hinatabi.com/blog/20100910_turkyezan.html

サズ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%BA

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