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2011年6月19日 (日)

『マネーの進化史』(2008年)

『マネーの進化史』(ファガーソン 2008年)を半分くらい読みました。<おはなし金融史>という趣きの本で特に時系列にはこだわらずに、重要エピソードが紹介されてます。

第1章は通貨と銀行の登場で小麦と交換できる古代メソポタミアの粘土板からはじまり、ベニス商人のように、貿易商に当座の資金を貸し付ける高利貸しからメディチ家のような銀行が誕生するまでが描かれます。

第2章は債券の誕生で、スペインからの独立戦争の費用を国債の発行でまかなったオランダ、ナポレオン戦争の費用をコンソル公債の発行でまかなったイギリスの事例が紹介されます。いずれものちの税収で償還する約束で当座の資金を集めるのですが、このようなシステムを構築できなかったスペインやフランスを資金力で圧倒することで「債券」という戦略とそれを可能にするシステムが模倣されるようになっていったようです。

国債発行を請け負ったロスチャイルド家や、綿花債の発行に失敗して資金が調達できなかったアメリカ南部連合のエピソードも興味深いものでした。第一次大戦中のドイツ戦時公債のように償還が困難となった債務はときにハイパーインフレをうみ、1兆倍に達した物価上昇のため事実上帳消しになった事例もあります。現在の日本が背負う債務もそのような形で帳消しになる可能性もなくはありません。

第3章は株式会社の誕生で、東アジアに送る商船団の費用を調達するため最初の株式を発行したオランダ東インド会社と、その株を取引するアムステルダム証券取引所の誕生が語られます。手持ちの資金だけではなく、金を借りて株を売買することがまもなく始まりますが、銀行が株価の値上がりを期待して積極的にお金を貸すようになるとバブルが発生します。フランスのミシシッピ会社バブルやイギリスの南海泡沫事件、さらに1929年の大恐慌から2001年のエンロン倒産までバブルその崩壊の事例が詳しく紹介されていました。サブプライム危機はこの本の出版時に始まりかけでまだ深刻化していなかったようで触れられていません。

バブルの生成と崩壊は金融システムにはつきもののようで、そのリスクを避けるために保険によるリスクヘッジが発達した、というのが次の章の展開っぽいですがまだ読んでいません。このリスクヘッジのシステムの発展形としてサブプライムローンが考案される展開になりますので、リスクヘッジがさらに巨大なリスクを産むということかもしれません。

ともあれ、数学もモデルも使わずにエピソードだけでこういったアイデアを説明していく手腕は大したものです。また、おいおいモデルを立てながらロジックの検証をしていくことにしましょう。

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