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2011年7月13日 (水)

<みんなそれぞれのうた>

昨日のクローズアップ現代『「みんなのうた」が見つめた50年』は流石に良くできた番組でしたね。『山口さんちのツトムくん』(1976)『北風小僧の寒太郎』(1974)といった定番曲を紹介する一方で、会社での失敗を暗示する『パパとあなたの影ぼうし』(2001)、シングルマザーの結婚をうたった『ママの結婚』(2002)、いじめ自殺をあつかった『ノックは3回』(2007)といった時代を反映した曲を取り上げて、うたと社会とのかかわりを考察するという構成になっていました。

高度成長期に『地球を七回半まわれ』(1965)『それ行け3組』(1971)といった元気のよい歌がうたわれ、バブル前夜に『スシ食いねェ!』(1985)にように豊かさを示す曲や『メトロポリタン美術館』(1984)といった海外を意識した曲が、バブル崩壊後に『名もない花のように』(2000)、前述の『パパとあなたの影ぼうし』といった各自の心情に寄り添い応援する曲が現れた、というのはまあそんな気のするまとめかたです。

厳密には84年をバブル前夜とか2000年代をバブル後とかいうのは、やや荒っぽい時代区分ですし、『一円玉の旅がらす』(1990)は消費税を意識してつくった訳ではないという制作者の証言もあったりしますので、首をひねる部分も散見します。また最近でも元気のいい歌や昔でも心情に寄り添う歌はいくらもありますので、そういう意味で恣意的に感じる部分もあります。

本当は定量的にどのような歌がどの程度あったかを見て行く必要があると思われますけど、それでも人気のあった歌や話題にのぼった歌のレベルでは確かにこのような変化はあったような気がします。この点をゲストのつんく氏は端的に「バブル以前は<みんな一緒のうた>だったのが、バブル以降は<みんなそれぞれのうた>に変わった」と表現していました。

確かに上昇局面や総中流時代のうたには求心力が働きやすいのに対し、飽和から格差時代のうたには求心力は働きにくく、それぞれのおかれた状況に寄り添おうとすると逆に遠心力が働きやすくなるということはできるでしょう。さらに商業ベースから一応離れた場所で、どのうたも同じ回数放送されるという条件では、通常の商業歌曲では対象になりにくい層にアピールする曲に挑戦できるとつんく氏は力説してました。

遠心力の働く時代では<それぞれのうた>がさらに<バラバラのうた>になっていく可能性も考えられます。<それぞれのうた>がそれでも<みんなそれぞれのうた>であり続けるには、つんく氏のいうようなある種の社会性や公共性を意識した楽曲作りが必要だろうと思われます。それも単に社会問題を歌うメッセージソングでは共感が広がりませんので、「高い芸術性をもったメッセージソング」というのが今後の<みんなのうた>の進む道ということになるかもしれません。まあ、そんなのばかりではなく色々な実験的な作品もどんどん見せて欲しいものですが、社会性や公共性をもった作品というものも大きな柱であり続けると思われます。

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コメント

明日で2017年度ですね。1971年度から1980年度までのみんなのうたで、映像・音源共に残っていないのは、この3つです。
1973年8・9月 「ブランコ」
1973年8・9月 「シング」
1974年10・11月 「いろんな木の実」
この3つのどっちか、映像が見つかるか、音源だけ見つかるか、それとも共に全部見つかるか、そんなことがあったら奇跡ですね。nhkに現存してる1961年度から1970年度までの映像で、まだ流していないのは、ラジオとお楽しみ枠で放送された「雨の遊園地」、特集・懐かしで放送された「ア・ア・ビ・チ」、同じく特集・懐かしで放送された「森の教会」の3つです。テレビの再放送枠で、放送されるといいですね。くじょうさん、あなたもびっくり国道のくーやさんみたいに、何年度の何月の再放送の曲を予想してみては、どうでしょうか?

投稿: モグるんるん | 2017年3月31日 (金) 15時05分

73、4年って妙に端境期なんですね。多分、残してらっしゃる方のカバーする年代からちょうど外れたりしてるのでしょう。70年代初頭の映像は個人の収録ではないのかもしれませんが、見つかっているのはありがたいです。他方、76、77、78年あたりでも映像未発掘の曲があって、個人的には大変残念です。再放送の予想は予想というより希望になりそうですね。

投稿: くじょう | 2017年4月 2日 (日) 22時30分

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