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2011年9月 2日 (金)

生活満足度の規定要因

データのそろった42カ国について生活満足度の規定要因を探ってみました。いろんなモデルを試した結果、判明したのは、近所信頼や知人信頼、初対面信頼といった信頼の変数は有意な効果が見られないことです。信頼というものは生活満足という側面については、人々の幸福に貢献していないようです。やや意外な結果ですが、そういうものなのでしょう。

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その他の社会指標や経済指標を使ってモデルを作った中で、適合度が比較的良かったのが図のモデルです。これによると生活満足度に一番大きな影響を持っているのはやはり一人当たりのGDPでした。プラスの係数ですので一人当たりGDPが大きいほど生活満足度が増すことになります。

次に大きな影響力があったのは「政府の効率」ですが、係数がマイナスでした。これは政府の効率が良いほど生活満足が下がることを意味しています。主に行政の効率のよさを示す指標なのですが、なぜマイナスに効くのかにわかには分からない結果ですね。政府の効率は一人当たりGDPには正の効果を持ってますので、一人当たりGDPの増加を通じて生活満足にプラスの間接効果を持っている一方で、その効果を除いた直接効果ではマイナスになっています。

一つには中南米諸国に政府の効率が悪い国が多く、にもかかわらずこの地域の生活満足が高いからかもしれません。要検討ではありますが、政府の効率のマイナスの直接効果は中南米の地域要因の反映という可能性が考えられます。それにしても絶対値が大きいのですけどね。

次の影響が大きいのは第2次産業の人口比率で、これもマイナスに効いています。つまり第2次産業の人口比率が高いほど生活満足度が低い傾向があることになります。この変数の場合も一人当たりGDPを介した間接効果はプラスなのですが、直接効果はマイナスです。工場が増えたり工場労働者が増えたりすることは、生活環境の悪化や労働環境の厳しさを介して生活満足を下げる効果を持つということでしょうか。

第3次産業の人口比率には、そのような負の直接効果はありません。正の直接効果もないのですけどね。第3次産業人口の増加はそれ自体では生活満足に影響を与えず、一人当たりGDPの増加を通じた間接効果では生活満足度にプラスの効果を与えているといえます。可能であれば、工業化よりはサービス産業化で経済発展を図る方が、生活満足度を高める上ではのぞましいといえそうです。

「法の支配」は弱いながらもプラスの直接効果を持ちます。法治国家の枠組みが整うことは生活満足を高める効果を持つといえます。ジニ係数もプラスの効果を持つのですが、これは不平等の大きさを示す係数ですので、経済的な不平等が大きいほど生活満足が高いということを意味します。ちょっと首をひねってしまう結果ですね。中南米諸国にジニ係数の大きな国が多い影響かもしれません。

このようにどうも中南米ファクターが影を落としている関係ですっきりした結果がでないように思われます。地域とか宗教とかのダミー変数はあまり入れたくないのですが、入れないとしょうがないかもしれませんね。

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