今月放送してる『エレファン』は、久々に初見でショックを受けた作品です。いじめ自殺をテーマにした『ノックは3回』(2007年)以来の衝撃ですね。
物悲しいタンゴのメロディーに乗って「月を食べたい」と子象のエレファンが駄々をこねるところから物語は始まります。『カメレオン』(1984年)みたいだなあと思いつつ、そういえばシュガーは‥とか考えていると、お母さんが月を探しに森に入って行くではないですか。悪い予感が走ります。
暗い森の中、母親を追うエレファン。ミミズクがママは湖だと知らせてくれました。お月様を中心に回る世界が不気味です。
♪ さみしい夜道で一人願った
♪ 「ママに会いたい‥」
♪ そして湖に落ちた‥
このくだりで「ああ、ママは湖に落ちちゃったか」と思いましたが、そこでエレファンが目にしたのは、湖に落ちた月に鼻を伸ばすママの姿でした。
「無事だったか」と思う間もなく、銃声に倒れるママ。明るい月夜に水場で待ち伏せしていた密猟者の餌食になったのでしょうか。安心させておいてやっぱり突き落とす展開にガックリきます。優しいママは月にメッセージを残して帰らぬ象となってしまいました。
見終わってしばし茫然としましたね。これは一体なんだったのか。震災で母親を亡くした子供にむけた作品にしてはシビア過ぎます。NHKはどういうつもりで、この作品をつくったのか。2、3度再生ボタンを押しても、やっぱり腑に落ちません。
そこで公式HPで『エレファン』をみてみたところ、次のような解説が載ってました。
>大切なもの、かけがえのないものが何なのか、それを涙とともに教えてくれた名作たちは、安易なハッピーエンディングで片付けないからこそ、幼い心に深く刻まれます。そのような寓話を“みんなのうた”に久々に登場させたい。その思いから生まれたのが、「エレファン」です。
(エレファン)
かけがえのない母の愛。その尊さを際立たせるために、あえてバッドエンドにしたということみたいですね。狙いは分かりましたが、ちょっと薬が効き過ぎのような気もします。子供たちの反応が気になりますね。
放送開始から一ヶ月近くたって個人的には耳に馴染んできました。手嶌さんの儚げな歌声。松本さんの流麗なピアノ。ドラマを盛り上げるパーカッション。手練れの作品だと思います。みんなのうたは「2ヶ月聴いてなんぼ」という部分がありますので、11月末時点の評価はまた変わっているかもしれません。
少なくとも現時点では、とても野心的な作品だということはできるでしょう。こうした冒険心もまた、みんなのうたの伝統かもしれませんね。
『エレファン』
作詞:松本俊明
作曲:松本俊明
編曲:松本俊明
うた:手嶌 葵
ピアノ:松本俊明
パーカッション:斉藤ノヴ、
コントラバス:渡辺等
バンドネオン:三浦一馬
イラスト:後藤貴志
初回放送:2011年10,11月
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