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2012年1月 5日 (木)

【みんなのうた50年史】『鳩笛』(1974年)

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♪ 鳩笛は 日の暮れの音色
♪ 忍び寄る 冬の足音

この曲を初めて聞いたのは大学生のころです。74年の本放送を聞いた記憶はなくて、大学のころに買ったみんなのうたのカセットテープで初めて聴きました。

津軽平野を吹き渡る風のようなイントロ。そして透明感と郷愁あふれるメロディーラインをすっかり気に入ってしまったのを覚えています。

ソドファミソー(鳩笛は)
ソソシ♭ーシ♭(日の暮れ)
ラソファソー (の音色)

いきなりドファソのサスフォーの和音を駆け上がり、ドミソの和音に解決します。ソに全音でぶつかるファの音が一瞬の浮遊感を醸し出してますね。

解決したと見る間に繰り出されるシ♭の響き。これがとてもノスタルジックです。楽譜をみると、ドシ♭レファの和音が当ててあります。基音のドに全音でぶつかるシ♭の音。フラットがかかる分、さきほどのファよりも異空間の響きがします。おそらくこれが過去から時を越えて響いてくる鳩笛の音を表しているのでしょう。

岩木山が雨にけぶる冬もちかい日、遠い国に旅立っていった友。形見の鳩笛が当時の思い出にいざなってくれます。

♪ 鳩笛を くちびるにあてる
♪ 思い出は 雲と流れて‥

伴奏がそれまでのアルペジオから8ビートを刻み始めました。気持ちの高鳴りとともに、ラドミ→ソ♯ラドミ→ソラドミ→ファ♯ラドミとラから半音ずつベースが下がっていきます。過去への回帰を表す分数進行なのでしょう。

そして数々の思い出が溢れ出すラド♯ミソの和音。ド♯の働きでラド♯ミソ→レファラ→ソシレファのドミナント進行が動き始めました。想いは現在に戻り雲と流れていく思い出たち。サスフォーの繰り返しがたゆとう雲と心の高ぶりを示しているようです。

♪ 鳩笛に 涙する人よ
♪ 君もまた 津軽生まれか‥

作詞の清水さんは津軽生まれというわけではなく浜松の方だそうです。でも鳩笛のやさしい音色に心ひかれ、そっとくちびるに当てているうちにふと、この詩句が心に浮かんだとテキストの解説に書いてらっしゃいました。「急いでそれをメモして、あとで読み返してみたが、素直にうけとめられるものだった」

この詩に、東京生まれの長谷川さんが巧みな技巧を凝らしつつそれを感じさせない美しいメロディーをつけることで、弘前生まれの素朴な鳩笛は多くの人の心を打つ歌に生まれかわったのでした。

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『鳩笛』
作詞:清水みのる
作曲:長谷川きよし
編曲:乾裕樹
うた:長谷川きよし
映像:林静一(イラスト)と実写
初回放送:1974年12-1月

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コメント

不涸井荘というHPの掲示板で大いに話題になったことのある名曲ですね。
けっこうファンが多いようです。

作詞の清水みのるさんについては、「森の水車」が代表作ですね。
「みんなのうた」では、お国めぐりシリーズに2曲提供されています。
『博多人形に寄せて』と『津軽りんごうた』ですが、後者はやはり津軽を題材にしています。
何か思い入れがあるんでしょうね。

2009年に『津軽りんごうた』など、このお国めぐりシリーズで発表された曲を集めたオペラコンサートがあったようです。
http://chamber-opera.jp/cgi-bin/concert.cgi?page=large&id=145
事前にわかっていたら聴きに行ったかもしれません。
それほどこのシリーズの曲が大好きなのです。

この曲に話題を戻しますが、長谷川きよし歌唱3部作で、最も人気の高い曲のようです。
『遠い風紋』『南風』も、もちろん素晴らしい曲ですね。

投稿: るんるん | 2012年1月 6日 (金) 19時33分

『遠い風紋』『南風』そして『鳩笛』。『鳩笛』だけ歌詞に風が出てきませんが、でもメロディーは風のイメージに満ち満ちていますね。透明感あふれる歌声とあいまって長谷川さんは〈風のミュージシャン〉という印象が強いです。

この中でも『南風』(1977年)は幻の名曲といえるかもしれません。

鶏よ北の空を見る
ブリキの風見よ
錆びた足を回せいま

スペインかどこかでしょうか。激しく吹き渡る南風が草原をおおきく揺らす映像だったと記憶しています。スケール感と爽快感のある素敵な曲でした。また日の目を見て欲しいものです。


投稿: くじょう | 2012年1月 9日 (月) 14時57分

「映像 : 林静一(イラスト)と実写」とありますが発掘スペシャルでは林静一さんの絵がありませんでした。
この映像が林静一さんだったという情報はどこで知りましたか?

投稿: せんせ | 2016年9月 8日 (木) 08時44分

せんせさま

コメントありがとうございます。
楽曲情報は公式HPかみんなのうたデータベースに依拠して書いているのですが、いま確認してみるとどちらも単に「実写」になってますね。発掘映像にもイラストは登場しません。

ただ、初回放送時にはイラストがあったという人がいらっしゃいますし(
http://www.nhk.or.jp/e-tele/onegai/detail/9408.html)、ウィキペディアの林静一さんの項にも作品として「鳩笛」があげられていますので、発掘版とは別の映像があった可能性があります。発掘が進むと別バージョンが見られるようになるかもしれませんね。

投稿: くじょう | 2016年9月10日 (土) 11時16分

回答ありがとうございます

なるほど、公式サイトでも当初は「林静一、実写」と書かれてたのですね。「逃げた小鳥」「なかよしファミリー」「はるかなあなた(ポ・カレカレ)」も発掘される前と後では映像のタグが違ってました。
いずれも当時のテキストなら何か手がかりがあると思いますが・・・

投稿: せんせ | 2016年9月10日 (土) 20時43分

そうですね。今となっては確認できないのですが、この記事は発掘スペシャル(2012年3月)の放送前に書いてますので、おそらくその時点では公式HPにも「林静一(イラスト)」の文言があったのだろうと思います。

ちなみに初回放送時のテキストは手元にあるのですが、それには映像についての情報は載ってません。なので、公式HPに林静一さんの名前があったとすると、それがどの資料によっていたのかは謎となります。どなたかの記憶に依拠した情報だったのかもしれませんね。

投稿: くじょう | 2016年9月12日 (月) 23時20分

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