« 東京大神宮 | トップページ | 初対面信頼とGDP内訳 »

2012年1月11日 (水)

一人当たりGDPの内訳

一般的信頼と一人当たりGDPの間に正の相関があることと、詳しく見ると中程度の一人当たりGDPの国では一般的信頼が低いくなるU字型の関係であることを前に紹介しました。GDP(国内総生産)は国内で生産された最終財やサービスの総額ですが、このうちどの財やサービスの生産が一般的信頼の水準と関連が深いのでしょうか。それが分かると、GDPと信頼の関係についてもう少しよく分かってくるはずです。

ここでは手始めに一人当たりGDPの内訳をみてみることにしましょう。総務省統計局HPの「世界の統計」に32ヶ国の経済活動別粗付加価値構成比のデータが出ています。これの2009年のデータを用いて各国の一人当たりGDP内訳のグラフを作成してみました(単位ドル)。

Photo

一人当たりGDPの大きい順に並べてありますが、スイスがトップで欧米諸国が上位に並んでいます。日本はこの中では11番目ですね。先進国ではどの国も「金融・不動産等」が5割前後を占めています。1ドル80円換算で先進国平均(スイスからスペインまで)を求めると一人当たり164万円にあたる効用がこのセクションで生み出されている計算になります。

先進国で次に多いのが「鉱工業」で一人当たり58万円程度の生産、「製造業」と「流通・飲食等」が46万円、43万円程度の生産で続いています。他方、農林水産業の第1次産業は先進国平均で一人当たり5.6万円の生産にとどまっていました。第1次産業は少ないだろうなとは思ってましたが、それにしても予想外の少なさでいささかびっくりです。

逆に金融・不動産等が先進国を通じて半分を占めるのもやや意外でした。金融というのは当座の資金に余裕のある家庭や企業から資金の不足する家庭や企業に資金を融通することで資金の有効利用を図るという働きがあって重要なのですが、資金の有効利用によって国富が倍になるほどの効果があるものなのでしょうか。このセクションについては付加価値の求め方など、もう少し調べてみる必要がありそうです。

第1次~第3次産業という形で構成比を集計してみると、先進国平均で第1次産業が2%、第2次産業が34%、第3次産業が64%となります。この比率自体は産業別人口比率と大体同じで割と納得できる数字になるのですが、人口比で15%ほどの金融・不動産が金額で50%を占めているのはこう集計すると見えなくなりますね。

上のグラフではブラジルからガクンと一人あたりGDPが少なくなります。ブラジルから南アフリカまでが新興国といえるでしょうか。普通は中国やインドも新興国に含めますけど、一人あたりGDPからみると両国とも新興国というより途上国の水準です。農村部の膨大な貧困層のなせるわざでしょう。

ブラジルから南アまでGDPの内訳も似たような構造になっています。全体に先進国より値が小さいのですが、金融・不動産のセクションが小さいのが目に付きますね。6ヶ国で新興国平均を求めてみると一人あたり24万円となりました。鉱工業が16万円、製造業、流通・飲食業がともに11万円で順番は先進国と変わらないものの、金融・不動産との差は先進国ほどついていません。

新興国と先進国との違いをみると金融・不動産のセクションでは6.8倍の違いが見られます。これが鉱工業では3.6倍、製造業で4.1倍、流通・飲食業で3.8倍となり3~4倍の違いが見られるのですが、金融・不動産では7倍近い違いとなり、金融市場の発達が新興国と先進国の主な相違点であることが分かります。

タイからインドまでを途上国として平均を取ってみると、金融・不動産のセクションは5万円となりました。先進国・新興国との差が顕著ですし、鉱工業が8万円ですから途上国の中でもトップのセクションではなくなっています。製造業が4万円、流通・飲食が3万円ですから金融・不動産とほとんど違いません。農林水産業も3万円で、途上国においては他のセクションと並ぶ主要セクションといえるでしょう。逆にいうと他の産業セクションが農林水産業と同程度の付加価値しか生産していない点が途上国の特徴といえるかもしれません。

|

« 東京大神宮 | トップページ | 初対面信頼とGDP内訳 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121873/53712167

この記事へのトラックバック一覧です: 一人当たりGDPの内訳:

« 東京大神宮 | トップページ | 初対面信頼とGDP内訳 »