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2012年5月 3日 (木)

【みんなのうた50年史】『オナカの大きな王子さま』(1975年)

お馴染み、小椋佳さんの作品です。小椋さんの作品としては『さらば青春』(1975年初回放送)についで二作目になりますね。疾走感溢れる前作とは打って変わったスローバラードです。

♪ オナカの大きな王子さま
♪ 白いお洋服が破れそうだよ

三連符のアルペジオにのってはち切れそうなオナカをした王子様が登場します。ハンモックに揺られるような三連符のシンコペーション。空飛ぶ絨毯で空中を漂っているような気分になりますね。

映像はのちに『メトロポリタン美術館』を制作される岡本忠成さん、「怪物くん」などのアニメ作品を手がける秦泉寺博さんと、人形の関節造形のスペシャリスト小前隆さんの担当です。歌の中には王子様と魔法使いが出てくるのですが、画面には執事みたいなお付きの女性や犬や猫、それにサイババみたいなヨガの修験者が登場します。

ガリガリの身体で仙術を使う修験者が強烈ですね。飲み込んだ金のボタンを蝶の群れに変えて吹き出したり、逆立ちしてジュースを飲んだり。空飛ぶ絨毯でフワフワ飛んだかと思えば、ライオンのようにタテガミを生やして犬を追っ払ったり。相当の修行を積んだのでしょう。

もとの歌詞では空飛ぶ絨毯は魔法使いが持ってくることになっています。王子様はこの絨毯に乗りたくてダイエットを思いつくのですが、放送バージョンでは2番がカットされたため王子様は修験者に触発されて今夜のご馳走をやめようかと思案します。

♪ オナカの大きな王子様
♪ いつまでたっても食べてるんだね

ここも4番の「ちょっとだけなら食べようかな」というくだりがカットされています。ちょっとだけ…と思いながらいつまで食べてしまうありがちな心理が描かれていないのが少し残念ですけど、その代わり空飛ぶ絨毯に乗ろうと苦労したり、犬猫が暴れてももくもくとご飯を食べ続けたりする姿が可愛いですね。

♪ オナカの大きな王子様
♪ 空飛ぶ絨毯に乗りたいな…

減量に失敗した王子様は飛行機に乗って空の旅です。飛行機の中でも機内食を延々と…。ふと窓の外を見ると修験者が絨毯に乗って悠々空を飛んでいます。ああなりたい…。けど目の前のご馳走も捨てがたい…。王子様の思いをよそに修験者は再び生命の木の下で座禅を組み始めるのでした。

この曲は小椋佳さんが1973年6月に出したアルバム「ほんの二つで死んでいく」に収められています。第一次石油危機直前、高度経済成長最末期にあたりますね。高度成長の影で激しい公害を経験して方向転換を図りつつあった時期でもあります。今夜のご馳走やめようかな。ちょっとだけなら食べようかな。そんな葛藤を感じつつあった時期ともいえるでしょう。

ちょっとだけ…と思いながら、いつまでたってもやめられないもの。それが経済成長であり飛行機に象徴される現代文明そのものなのかもしれません。オルタナティブ(代替案)の存在を知りつつ、なかなか今の暮らしを変えられない。この作品をそんな現代の寓話と見るのは読み過ぎかもしれませんが、『まだ遅くは』(1981年)や『山に抱かれて』(1994年)といったすぐれた環境ソングをつくられた小椋さんなら、ありうるかなという気もしますね。


『オナカの大きな王子さま』
作詞:小椋佳
作曲:小椋佳
編曲:所太郎
うた:川津恒一
動画:岡本忠成、秦泉寺博、小前隆
初回放送:1975年12- 1月

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コメント

今 動画で さらば青春を 聞いています いい歌ですね。私的に最高です。小椋さんというと 東京キッドブラザースを 思い出します。音楽同好会(名前検討中 小椋ケイを 語る会

投稿: 村石太マン | 2012年5月13日 (日) 21時42分

東京キッドブラザーズには違う名前でも書いてらっしゃるのですね、小椋さん。Wikipediaをみてはじめて知りました。『さらば青春』はネガティブな歌詞と爽快なメロディーのギャップが魅力的な不思議な作品ですね。

投稿: くじょう | 2012年5月14日 (月) 22時18分

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