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2012年5月 7日 (月)

みんなのうたオフ会 その2 映像の行方

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みんなのうたのディレクターをされていた志村さんのお話の続きです。

曲が決まると外国曲の場合は作詞が必要になります。身近な方にお願いすることも多かったようで、『線路は続くよどこまでも』の場合は後藤田さんご自身が「みんなで」「手をつなぎ」「明るく」といった<みんなのうた用語>を散りばめながら作詞されたそうです。楽譜集では『線路』の作詞は「佐木敏」さんになっていますが、これは後藤田さんのペンネームで「さきびん」と読むのだそうです。

「さきびん」は「さけびん」にちなんだのだと志村さんはおっしゃってました。お酒好きな方だったのでしょうね。「さけびん」は高見のっぽさんのペンネームでもあったそうで、のっぽさんもみんなのうた創設当時から製作にかかわってらしたのでした。『グラスホッパー物語』に先立つこと40数年前のお話です。

『線路』のうたは元気のいい歌声をということで、今回定期演奏会を聴きに伺った西六郷少年少女合唱団に依頼されました。このあと西六郷で当時の収録に参加された方にお話を伺う機会がありましたが、日曜の朝早くから夜遅くまでかかったうえ、次の日は学校で朝練があり大変だったとのこと。当時は土曜も学校でしたから、休みなしのハードスケジュールだったようですね。録音は編集しないでそのまま放送される「準生放送」。2分半、アクシデントなく収録できるまで何度も録り直しされたそうです。いやいやお疲れ様でした。

『線路』の映像は実写ですが、志村さんはこのロケにも行ってらっしゃいます。当時はまだ東海道新幹線の工事中で、東海道線の特急だった「こだま」でロケに行かれたそうです。12月からの放送ですがロケに行ったのは11月。日程がないにもかかわらず天気が悪くてこのときは撮影を断念。2回目に静岡県の函南付近でようやく撮影ができました。確かにススキが写ってますので秋の風景ですね。手を振る子供たちはエキストラの皆さんなのでしょう。アルバイトで雇うこともあったとおっしゃってました。

撮影した16mmフィルムは編集して字幕をいれて、「キネダコ」というビデオテープに写すのだそうです。普通にフィルムを映写したものをテレビカメラで撮影したようですね。このキネダコを使って放送するのですが、当時のビデオテープは大変高価なものだったので、放送終了後に別の番組のために次々と上書きされていったのでした。そんなわけで初期のみんなのうたの映像はほとんど残っていないのです。

キネダコに写す前の16mmフィルムは残ってないのですかときいてみたのですが、ロケの映像は単なる素材なので編集が終わるとすべて破棄するとのことでした。編集済みのフィルムも音が入っていないのでキネダコ作成後は原則破棄された模様です。ビデオテープは高価でもフィルムやフィルム素材だったら残っていて、再構成できる可能性はないかと思っていたのですが、それも望み薄なようですね。

ちかちゃんさんによると8mmと違って16mmフィルムは場所をとるし、フィルムの素材自体も劣化したりカビが生えたりしやすく、温度や湿度をちゃんと管理しないとすぐに痛んでしまうのだそうです。言われてみるとそうですね。当時の番組の素材となるフィルムは膨大な量に上ったと思われますし、次の番組の製作に手一杯で放送済みの素材を管理するマンパワーも場所もなかったことでしょう。当時の映像がほとんど残っていないのも致し方のないことだと納得しました。

大体、このような感じで当時のみんなのうたはつくられていたわけです。これを二ヶ月に7曲ずつ、後藤田さんと志村さんのお二人で担当されていたというのは、全く頭の下がるお話です。志村さん、貴重なお話をありがとうございました。

(画像は水星社楽譜集より)

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コメント

昨年、志村さんからお話を聞いたとき、ビデオテープベースで送出されていたことが確認し、音源が残らなかった原因にも少し納得しました。この送出用ビデオテープで音と映像が合わされるので、フィルムも6ミリも素材でしかない・・たぶん何年かはおかれていて、再放送や特別番組ではビデオテープに落とされたのだと思ってます。現在ではフィルムからビデオテープに落とす作業を普通テレシネと言ってます。

投稿: 初恋天使 | 2012年5月 7日 (月) 02時30分

なるほど。ビデオテープにしておけば放送の際にテープを再生機にかけて映像や音の電気信号にかえたものをそのまま流せばいい訳ですから、作業はかなり簡単になりますね。フィルムのままでは映写したものをテレビカメラで撮影する作業を放送ごとにしなければならないので実質不可能でしょう。

このテレシネ(テレビシネマ?)あるいはキネダコ(キネマレコード?)をつくる際にアナウンスの録音や本編の録音に合わせて無声の映像が上映されて、それをテレビカメラで撮影したものがビデオテープに収められていたのでしょうね。この無声の映像フィルムが残っているケースもあるのでしょうけど、「素材」を場所や手間をかけて残す必要なしということで大半は破棄されたということだと理解しました。今から思うと残念なことですけど、当時の現場の判断としては止むを得ないことだったのでしょうね。

投稿: くじょう | 2012年5月 7日 (月) 08時43分

くじょうさんならではの、くじょうさんらしい詳細かつ明晰なレポートに拍手!!
志村さんの真ん前で熱心に質問されメモを取っておられた様子を思い出しました。
私はメモはおろか、カメラも持って行かず、全て脳内録音、録画です。(笑)
初恋天使さんの専門用語のフォローもすごい。
「みんなのうた」ファンは、理系の方が多いのかな?
ふと、そう思いました。

正直に言うと、私の場合映像は無くても構いません。
歌が聴ければ満足するのです。
古い像発掘は不可能であることが判明しましたから、今後は録音発掘の奇跡を待ちたいと思います。
志村さんの後を受けたディレクターさんとか、NHK元職員のどなたかが持っておられないんでしょうか?
発掘プロジェクトにどのぐらい協力があったものか?
実態がわかりませんが、音が悪くても何でもよいので、聴かせてほしいですね。

投稿: るんるん | 2012年5月 7日 (月) 08時51分

そうですね。いくつか聴かせて頂いた当時の音源は短時間で制作されたとは思えないほど趣向を凝らした完成度の高いものでした。是非ほかの作品も聴いてみたいものです。画像も何カットかでも残っていれば一緒に見て楽しむことができるのですが、どなたか写真に残してらっしゃる方がいないものでしょうかねえ。

投稿: くじょう | 2012年5月 7日 (月) 12時10分

fujiskと申します。

オフ会でのお話、大変興味深く読ませていただきました。
以前から60年代にあれだけの曲をどのような体制で
(人数や時間など)こなしていたのか、という点が
気になっていたものですから、今回の志村さんのお話で
そのあたりのことがわかったことをうれしく思います。

6日の演奏会にも出かけていまして、
合唱団のさわやかな歌声に感激しましたが、
私には特に1部で歌われた「逃げた小鳥」や
2部の曲、そしてアンコールの2曲目で歌われた
題名のわからない歌が印象に残りました。
終了後にオフ会があったことは後から知ったのですが、
こうしてその内容を報告いただいたことに感謝します。

投稿: fujisk | 2012年5月 7日 (月) 14時54分

fujiskさん。
るんるんです。
鑑賞されていたことに気が付かず、大変失礼しました。
合唱を楽しんでいただいたようですね。
今回のプログラムには「みんなのうた」が8曲も入っていましたね。
こんなことは滅多にないことです。
まるで大勢の「みんなのうた」オールドファンが駆けつけたのに応えていただいたかのようでした。
来年のことは日程も会場も未定です。

インターネットで知り合ったファンの集い(オフ会)があってもなくても、是非また西六の定演を共に楽しみましょう。
生はレコードやCDでは味わえない魅力がありますから。

投稿: るんるん | 2012年5月 7日 (月) 18時57分

fujiskです。何度もすみませんが、「線路は続くよどこまでも」の作詞が
後藤田さんということに関連した話題をひとつ。

2007年に日本訳詩家協会が創立45周年を記念して出版した
「世界の歌を美しい日本語で」というものがあります。
西洋音楽の普及・発展をささえた訳詞・日本語歌詞を集大成し、
後世に送り伝えるために、オフィシャルなテキストとして
出版したもので、明治期から1960年代ころまでの759曲が
収録されました。この中に、初期みんなのうたに登場した曲が
多数収録されていますのでご紹介します。
(みんなのうたの番組で放送された歌詞でない曲は除く)

<イギリス>ピクニック、<ドイツ>夏の山、山こそわが家、うるわし春よ、
山の音楽家、ゆかいに歩けば、<フランス>クラリネットをこわしちゃった、
アマリリス、粉ひきのおじさん、誰かが口笛ふいた、小さな木の実、
<オーストリア>ふるさとのヨーデル、<スイス>おおブレネリ、
ホルディリディア、アルプスの谷間、<チェコ>おお牧場はみどり、
気のいいあひる、牧場の小道、<ポーランド>森へ行きましょう、
ドナ・ドナ、<ロシア>トロイカ、一週間、ねこふんじゃった、
<イタリア>フニクリ・フニクラ、<スペイン>禁じられた遊び、
<アメリカ>駅馬車、アルプス一万尺、線路は続くよどこまでも、
大きな古時計、雪山賛歌、ドレミの歌、<アルゼンチン>花まつり、
<メキシコ>車にゆられて(ラ・クカラーチャ)、
<インドネシア>川で歌おう(ラサ・サヤン)、
<オーストラリア>調子をそろえてクリック・クリック・クリック、
<サモア>サモア島の歌、<フィリピン>田植歌

以上17ケ国の37曲、このうち「線路は続くよどこまでも」と
「車にゆられて」は佐木敏名義の後藤田氏によるものです。


投稿: fujisk | 2012年5月 8日 (火) 09時42分

fujiskさん

西六郷の定期演奏会きてらしたのですね。『逃げた小鳥』の豊かな歌声、よかったです。アンコールの曲名、知りたいですね。

訳詞のリストもありがとうございました。こうしてみると改めて沢山の曲がみんなのうたを通じて紹介されたのだなあと思いますね。大きな貢献だったと思います。

投稿: くじょう | 2012年5月 9日 (水) 15時52分

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