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2016年6月16日 (木)

【再放送曲】『算数チャチャチャ』(1973年)

今月は『算数チャチャチャ』が再放送されてますね。どの辺が算数なんだ??ということで大変インパクトの強い作品です。1973年6、7月の初回放送のあと、74年、76年に再放送されました。その後も視聴者の印象に残りつづけ、最近では2010年と2016年に再放送となりました。

♪ ルート2プラス1分の チャチャ
♪ 2プラスルートの2 チャチャチャ

いきなり判じ物のような歌詞で始まります。算数チャチャチャで解きましょう、といってますので、算数の問題らしいのですが、どうみても算数ではないですね。

映像の方では(2+√2)/(√2+1)という分数の式が示されています。これを簡単にせよということのようですね。私が習った当時では中学3年の範囲になります。やっぱり算数ではありませんでした。

標準的な解き方では、分母と分子に√2−1をかけて分母を有理化します(無理数の√を消して有理数にすることを有理化といいます)。この場合は分母が1になり、分子は(2+√2)(√2−1)を展開して整理すると√2が残ります。そんな訳で答えは√2となるのですが、この解き方は歌詞にするにはちょっと長すぎますね。

そこで本作では、分子を√2でくくり√2(√2+1)と変形する道を選びます。かえって複雑になったようですが、分母が√2+1であることを思い出せば、この値で一気に約分できることが分かります。タンタンと斜線を引いて分母と分子を約分すれば、答えは簡単たったわずかの√2となるのでした。こちらは鮮やかですね。まさに光速の寄せといってもいいでしょう。

いつも解ける標準的な解法を身につけることも大事ですが、最短距離があるときはズバッと踏み込む。臨機応変の大切さを教えてくれる1番です。

♪ サインθがコサインの チャチャ
♪ ルートの3倍 チャチャチャ


2番ではサイン、コサイン、タンジェントのいわゆる三角関数が登場します。自分がこの歌を最初にきいたのは、76年の再放送のときで、今に至るまで『ユミちゃんの引っ越し』の一つ前の曲としてカセットテープに収められています。当時はまだ中学生で2番の歌詞は全くわからなかったのですが、毎日録音を聴いているうちにすっかり丸暗記してしまいました。これが高校に入ってから役に立ちます。

2番は要は sin θ = √3 cos θ を解けといいたい訳ですね。普通はこの方程式を満たすθを求めるのですが、本作では sin θ と cos θ の値を求めています。sinとcosの二つがあると面倒なのでsin θ2+ cos θ2 = 1 の公式に代入してsinを消してしまうのが一つの解き方でしょう。本作では両辺をcos θ で割って tan θ に統一する方法を取っています。こちらも十分に使い勝手がある方法です。

♪ サインを割ることコサインは チャチャ
♪ タンジェントのことさ チャチャチャ


tan θ = sin θ/cos θ の公式のことですね。これを丸覚えしてたおかげで高校時代はずいぶん助かりました。どっちをどっちで割るのか悩まなくて済みますからね。この辺の宿題をやるときはいつも鼻唄まじりで解いてました。チャチャチャという余分な合いの手がもれなく入るのもご愛嬌です。

♪ 2辺が1対ルート3 チャチャ
♪ 斜辺が2となるね チャチャチャ


tan θ が√3なら、直角を挟む2辺は1対√3の割合です。三平方の定理を使うと斜辺は2とわかります。3辺の割合が分かったのでsin θ 、cos θ もわかりますね。

♪ サインは2分のルートの3で
♪ コサイン0.5 チャチャチャ


sin θ は 斜辺/対辺 なので √3/2、cos θ は斜辺/隣辺 なので 1/2 ということで一件落着となりました。ここもなにげにお役立ちフレーズで、sin と cos が「どっち割るどっち」だったかわからなくなったときに、このフレーズで確認することができました。

もともとは「あなたのメロディ」の作品なので、数学の先生がつくったのかと思ってテキストの解説(73年6、7月号は手元にないので74年8、9月号)を見てみたところ、中学生と高校生の娘を持つお父さんが、娘たちの勉強を見ているうちにできた曲だということでした。お父さんの愛情が生んだ作品だったのですね!


『算数チャチャチャ』
作詞:山口和義
作曲:山口和義
うた:ペギー葉山、ヤング101
編曲:一ノ瀬義孝
映像:スキャニメート
初回放送:1973年6、7月

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コメント

1ヶ月半ぶりですな。

この歌は、当時小学生の私にとっては何の事かワケの分からん歌でしたが、その一方で「スキャニメイト」という映像が斬新でした。後に「タイムボカン」や、「少年探偵団」(OPや怪人二十面相が変装を解く場面)などといったテレビ番組や、CMで使われる様になりました映像です。今のCGから見れば随分単純ですけど。

この後21世紀になっても再放送はされてますが、さすがにデジタルリマスター化はされてません。今のテレビで見ると違和感あります。

この時放送されたのは、他にはこんなのがあります。
*美しい星
*谷茶前の浜(「お国めぐりシリーズ」所属曲。沖縄民謡)
*さらばジャマイカ
*大きな古時計(立川版。初のリメイク)
*森の熊さん(これもリマスター化しなかったな)
*はつ夏の潮騒
「美しい星」と「谷茶前」以外は再放送経験有り(「谷茶前」はポリドールからのLPで聴いた)、特に「大きな古時計」はこの時が初めてです。こちらの方が懐かしかったです(平井版はおとなしかった)。

投稿: マーチャン3 | 2016年6月17日 (金) 00時02分

お久しぶりです。その後、お加減いかがでしょうか。

そう、この作品ではスキャノメイトという技術が使われているんですよね。タイムボカンとかテッカマンとかで、時間移動や空間移動の演出で使われてたクニャクニャした画像をつくる技術です。ウィキペディアによると、画像信号を歪める電子回路を通してからスクリーンに映した映像を、フィルムに撮影してつくっていたようですね。この方法だとコンピュータを使わなくてもCGっぽい映像がつくれるのでしょう。

『算数チャチャチャ』は1973年の作品なのでスキャノメイトの使用例としても初期のものだと思われます。先進的な映像技術を進んで取り入れる「みんなのうた」らしいですね。80年代から90年代にかけて盛んに使われ、CGが普及するにつれて使われなくなっていったようです。「みんなのうた」のCG初出はどの作品だったのでしょうね。

投稿: くじょう | 2016年6月20日 (月) 15時07分

完全に数学ですね。
今となっては1番の歌詞にある計算式しか理解できないるんるんです。
同級生による温泉旅行の際に、バス車中で1番の歌詞の計算を出題しました。
手を挙げた者がいたので指名すると、「2」と間違った答えでした。
そこで、正解発表です。
♪ルート2プラス1分の2プラスルートの2チャチャチャー……答えは簡単たったわずかのルートの2となるねー♪
ここぞとばかりに歌ったるんるんです。(^^)

ところで還暦を迎えて初めて知ったのがコメント中の「判じ物」という言葉です。
さすが九条兼実さんは数学だけじゃないってところを知らしめてくれますね。

投稿: るんるん | 2016年7月28日 (木) 09時15分

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