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2019年1月28日 (月)

【再放送曲】『キャンディの夢』(1979年)



2003年以来15年ぶりに再放送しています。空也さんのブログによると5回目の再放送だそうです。人気曲だけあって、沢山再放送されてますね。今回はラジオのみの再放送で大井さんのアニメーションが見られないのが残念ですが、ラジオからイントロが流れると大井ワールドが目の前に広がる気がします。

♪ いたずらな瞳が涙で曇る
♪ キャンディ泣いちゃいけない

「キャンディ」というのはお菓子のことではなくって、女の子の名前です。初回放送当時、「キャンディ・キャンディ」というアニメーションをやっていて、混同されたこともあるようですが、特に関係はありません。

いたずらっぽい目でキラキラ輝くような笑顔を見せてくれたキャンディの瞳は、今は涙で曇ってしまっています。キャンディは不治の病におかされてしまっているのです。8分音符でタッタッタッタッと繰り返される伴奏はキャンディに鼓動でしょうか。力無くベッドに横たわる彼女を少年は懸命に励まします。

♪ さあ 目を閉じて
♪ ベッドの船は魔法の船


目を閉じれば病室の風景は姿を消し、楽しかった思い出が鮮やかに蘇ります。丘を思い切り駆け回り、花を集めて髪に飾った日々…。病室のベッドも時空を越える魔法の船に早変わりです。

♪ 熱にうなされ僕の名を呼ぶ
♪ キャンディ 負けちゃいけない

病状は一段と進み、キャンディは高熱にうなされるようになってしまいます。自分の名をすがるように呼ぶ彼女を、少年はありたけの想像力を駆使して慰めます。二人で雲の城を訪れたり、虹の彼方を飛翔してみたり…。もう一度彼女の笑顔を見たい。その一心なのでしょう。大井さんのアニメーションも明滅する意識のなかで、空想の翼を目一杯広げています。

♪ まだ行かないで
♪ 誰にも渡しはしない


少年の悲痛な願いも虚しく、キャンディはおそらく帰らぬ人となってしまいました。みんなのうたの中でも屈指の救いのない結末となっていますし、この記事によると尾崎亜美さん自身、この曲を歌うのが辛くてアルバムにも収録していなかったそうです。なぜこんな救いのない作品が放送されていたのか、以前から疑問に思っていました。

上の記事にある別バージョンの『キャンディの夢』はこちらのブログで紹介されています。1978年1月2日にNHKーFMの「今様小町初音競」という番組で放送されたものなので、みんなのうたバージョンの初回放送より、2年ほど前になりますね。おそらくこちらが原型なのでしょう。この「初夢バージョン」とでも呼ぶべきバージョンは次のような歌詞です。

いたずらそうな 君の笑い顔
くるくる巻き毛が ほどけてる
………(中略)……
二人飛行機に乗って
空を駆け回ろう
キャンディ ンー キャンディ
光の中を駆ける君が好きさ


メロディーは ♪二人飛行機に乗って、の辺りが少し違うだけで、ほぼ同じです。歌詞も、いたずらな笑い声とか駆け回る姿とか、共通する部分もありますし、二番でも「ベッドの船」という表現が出てくるのですが、病気の要素は全く出てきません。元気いっぱいで幸せそうな少女の姿が目に浮かんできます。イントロや伴奏にも悲壮感や切迫感は感じられません。『キャンディの夢』は文字通り、楽しい夢、将来の希望だったのです。

思うにそれから2年ほどのうちに、キャンディは病に侵されてしまったのでしょう。80年のお正月は病床で迎えることになります。そのキャンディを少年は楽しかった日々を思い出しながら懸命に励ましているのです。そう思いながらみんなのうたバージョンを聴き直すと、♪もう一度だけ 笑顔見せて という願いや ♪夢の中でさえ ほほえむことを知らない という少年の嘆きが、一段と胸に迫ってきます。

初回放送時のテキストの解説の中で尾崎亜美さんは

「キャンディの夢」を聴いてくれた人が少年のきらきらと輝く瞳を想像してくれたらうれしい。

と書いてらっしゃいます。厳しい中でも最後まで希望を捨てなかった少年の姿。それにこたえようとしたキャンディの姿が聴く人の心を打つのでしょう。それが今に至るまで根強い人気のある理由なのだと思います。

『キャンディの夢』
作詞:尾崎亜美
作曲:尾崎亜美
うた:尾崎亜美
編曲:小六禮次郎
映像:大井文雄
初回放送:1979年12月、1月

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