2013年6月10日 (月)

対応分析を覚えた

最近、ようやく対応分析が出来るようになってきました。コレスポンディング分析、略してコレポンともいいますが、行数や列数の多いクロス表の情報を縮約するのに便利です。ただ、SPSSのベースには入ってないようなので、フリーの統計分析ソフトRでできる方法を模索してました。

基本は x にクロス表行列を入力して
library(MASS)
x.ca <- corresp(x,nf=2)
biplot(x.ca)

を実行すれば、次のようなグラフを出力してくれます。(データは内閣府の「国民生活に関する世論調査」2012年版、日ごろの悩み)

Photo

ただ、Rの場合、データの入力が結構面倒で早くできる方法を探していたところ

x <- read.table("clipboard",header=TRUE)>

をコンソール画面に貼り付けてから、エクセル上のクロス表をコピーして、それからリターンキーを押せばよいことが判明しました。

あとbiplotで作図したものは文字が重なって見にくかったりしますので、

x.ca$cscore

x.ca$rscore

のコマンドで成分を出力してからエクセルで散布図をつくると、もうすこし見やすい図がつくれることもわかりました。

Photo_2

日常生活の悩みは、性別による違いよりも年代による違いが大きく、若年層では自分の生活、高年層では自分の健康が主な心配事項であるのにたいし、中年層では家族や仕事など幅広いことがらが悩みの対象となっていることが伺われる分析結果となっています。面白い分析方法なので、また使っていきましょう

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年5月 9日 (木)

男性LINEユーザーのプロフィール

女性がLINEユーザーの主力で、親密な他者と占いや流行や恋愛などの身近な話題について頻繁にコミュニケーションを交わす傾向があることを見てきました。では、男性のLINEユーザーはどのような特徴を持っているのでしょうか。

2013年度4月の調査(男性310人、女性117人回答)では、男性LINEの利用率は58%となっていました。女性の76%に比べると低いですが、それでも相当の高率です。Facebookの男性使用率27%やmixiの10%に比べるとはるかに高い利用率といえます。

Line

この男性についてLINE利用と相関の高い項目を拾ってみると上のようになります。まずネット利用関連の項目についてみるとTwitter利用が0.44、Facebook利用が0.39の比較的高い相関となっています。LINEを使う男性はTwitterやFacebookのようなコミュニケーションサービスを同時に使う傾向が高いようです。mixi利用とも0.20の相関がありますので、mixiから乗り換えつつまだmixiを使っている人が男性の中にはいるようですね。メール利用とも0.29の相関がありますのでコミュニケーション志向は一般に強そうです。

携帯・スマートフォンによるネット利用時間とは0.30の相関ですが、携帯電話所持とは-0.28の負の相関ですので主にスマートフォンを用いてLINEを行っていると考えられます。PCネット利用とは-0.28の負の相関でパソコンは余り使わない傾向があります。アンドロイド型タブレット利用との相関が0.20ありましたので、情報収集もPCよりタブレットでということかもしれません。

Line2

次に興味関心事項や態度指標との相関を見てみましょう。男性のLINE利用と相関が高い項目は「ファッション」への関心(相関係数0.30)、「スポーツ番組を見る」(0.26)、「流行」「恋愛」への関心(共に0.25)となりました。「スポーツ」を除くとほぼ女性のLINEユーザーで見られた項目と一致しています。ファッション(関心率男性60%、女性82%)や恋愛(男性60%、女性74%)は女性の関心が高い項目ですので、女性と関心が近い男性が男性LINEユーザーには多いといえるでしょう。女性との交際のツールとして使われている可能性も考えられます。

他方「スポーツ番組」は男性(43%)が女性(18%)より良く見ているジャンルです。同様に男性のLINE利用と正の相関の見られる「野球」への関心(相関係数0.23)、「サッカー」への関心(0.21)も男性の方が20ポイントほど関心の高い項目となっています。これらの野球やサッカーに関心がありスポーツ番組を良くみる男性LINEユーザーは、女性とのコミュニケーションというよりは男性のスポーツファン同士で交流するツールとして使っているのかもしれません。「クラブ活動に打ち込んだ」とも0.20の相関が見られていますが、男性の場合スポーツ系のクラブ活動参加者が多いですので、これもスポーツ系のつながりでLINEを利用している可能性を示唆します。

男性LINEユーザーについては「政治」や「経済」といった社会の動きへの関心との負の相関は見られません。非LINEユーザーと同程度の関心を持っているのでしょう。はっきりした負の相関が見られるのは「アニメを見る」で相関係数は-0.23でした。男性の場合、アニメ視聴は「漫画」「ゲーム」への関心と正の相関があり(それぞれ0.36、0.27)で「深夜番組を見る」(0.19)、「PCネット利用」(0.19)とも弱いながらも正の相関が見られる項目です。総じてインドアのライフスタイルと結びついているのが「アニメを見る」なのですが、これがLINE利用と負の相関があるということは男性のLINE利用とインドアのライフスタイルとは相性が悪いことを示しています。

考えてみればスポーツはアウトドア型の行動ですし、スマートフォンやタブレットの使用もアウトドアの行動に向いています。こうしてみると、男性のLINEユーザーはインドア型で内向的なライフスタイルの持ち主というより、女性との交際やスポーツに積極的なアウトドア型で外向的なライフスタイルの持ち主である傾向が高いといえそうですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年5月 8日 (水)

女性LINEユーザーのプロフィール

年度初めの定点観測データから、スマホ利用が伸びるつれてLINEやTwitterといったコミュニケーションサービスの利用が伸びてきていることが分りました。では、どのような人がLINEやTwitterを利用しているのでしょうか。

Line

まず、昨年の分析からTwitterについては男性(31%)よりも女性(66%)の利用が多いことが判明していますので、今年も男女別の利用率を求めてみたところ図のようになりました。LINEは男性58%に対し女性76%の利用率、Twitterは男性53%に対し女性74%の利用率で、いずれも女性優位の利用率となっています。ただTwitterについては昨年より男女差が縮まっていて、男性での利用も進んでいることがわかります。Facebookは男性27%、女性33%で男女差は顕著ではなく、mixiでは男性10%、女性4%と男性の方が利用率が高くなっています。mixiからは特に女性が離脱してLINEやTwitterに流れているようです。

Photo

次に男女別に分けてLINE使用者のプロフィールを見ていくことにしましょう。まず、LINEのメインユーザーである女性についてLINE使用と絶対値で0.2以上の相関のあるネット利用に関係した質問項目を拾ってみると図のようになります。LINE使用とTwitter使用の相関が0.50と大きな値となり、LINE使用者とTwitter利用者は概ね重なっていることが分ります。携帯・スマホネット利用とFacebook利用との相関はそれぞれ0.30と0.29でLINE利用者は携帯やスマホを使い、Facebookも同時に使う傾向があるようです。ただ、携帯電話所持とは-0.38の負の相関がありますので、使っているのは従来型の携帯電話(ガラケー)ではなくてスマートフォンということになるようです。iPhone所持、アンドロイドスマートフォン所持とは相関がありませんので、どちらかに偏って使っているわけではないようです。

他方PCネット利用とは-0.25、「調べ物する」とも-0.25の負の相関となっています。LINEを使う女性はパソコンではネットを使わないし、ネットで調べ物をすることも少ないないようですね。

2

次に興味関心のある事柄や、その他の態度項目との相関をみると上のようになりました。これも相関係数の絶対値が0.2以上の項目が拾ってあります。LINE利用と最も相関が高いのは「占い」への関心であることが分りました。相関係数は0.33でアンケート調査で見られる相関の中では高い部類です。占いへの関心は、これ自体男女差の大きい項目で男性では15%しか占いに関心を持たないのに対し、女性では44%が関心を持っています。女性は一般に社会的な立場が弱く、周囲に人生を左右される傾向が強いので占いに関心を持ちやすいのだといわれることがありますが、この占いへの関心がLINE利用と大きな相関を持つというのは興味深い現象です。

以下、女性のLINE使用との相関の高い項目を見ていくと「音楽」「ドラマ」「バラエティ」「流行」「恋愛」「スポーツ」「映画」と身の回りの事柄に集中しています。社会的な事柄については「テロ・戦争」が-0.22、「政治」が-0.25、「経済」が-0.26と軒並み負の相関となっています。「街頭募金に協力する」とは0.22の正の相関がありますのでLINEユーザーの女性が全く社会的な関心を持たないわけではありませんが、社会の動きや仕組み自体には興味を持たず、もっぱら恋愛や流行など身の回りの事柄に関心を持つ傾向が強いことが伺われます。

もう一つ、「中学、高校の頃はクラブ活動に打ち込んだ」「高校時代は楽しい思い出が多い」という質問とも0.2程度の正の相関が見られました。クラブ活動に打ち込んで充実した高校生活を送った女性がLINEのユーザーになっているようです。これはおそらく交友関係の広さと関わりがあるのでしょう。今回、友人の数やサークル活動への参加については質問をしていないのですが、大学においてもクラブやサークルに参加し、多くの友人と連絡をとる機会の多い女性がLINEを使っていることが予想される結果です。

LINEの開発者が、東日本大震災をきっかけに見知らぬ人というよりも、身近な人と気軽につながれるメディアを作りたいと思ったと述べているのを読んだことがありますが、とりあえず女性については狙い通りのユーザーが獲得できているようです。広く社会に目を向けるというよりも、親密な他者と身近な事柄について濃密に連絡を取り合う。そんなユーザー像が伺われる分析結果でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年5月 6日 (月)

LINE利用63%、mixi利用8%

Photo

Photo_3

2013年度初め調査の結果、スマホによるネット利用時間が急激に伸びる一方で、PCによるネット利用時間は若干減っていることが明らかになりました。スマホ・PC込みでネットの利用内容をきいたところ、調べ物が67%でトップ、LINE63%、Twitter59%がそのあとについでいました。調べ物が多いのは以前から共通していますが、LINEが2位に入っているのが注目されます。

去年は「mixiなどのSNS」という形で質問をして46%という数値でした。mixi、Facebook、LINEにわけてきいたのは今年が初めてですが、去年のLINEの利用者数は今年の4分の1程度ですから、そんなに大きな利用率ではなかったでしょう。それが今年、Twitterをも上回る利用率になりました。2011年のサービス開始後2年にしてSNSのトップに立ったと言えそうです。対照的にmixiの利用率は8%に落ち込んでいます。去年の46%のうちかなりの部分はmixiだったと思われますから、急激な落ち込みといえるでしょう。Facebookは29%で、去年のデータはないものの伸び悩みを思わせる数値ではあります。

その他については、動画の利用率は去年51%に対し今年は52%で横ばいです。動画の利用は飽和状態といえるでしょうか。掲示板は去年22%に対し今年21%でこれも横ばいです。メール、ニュース、音楽についても去年との変化は少なく、利用状況は安定しているといえそうです。

Photo_4

各項目の利用とPCネット利用時間との相関をみると図のようになります。動画、音楽、掲示板の利用がPCによるネットの利用時間と正の相関を持ち、これらが主にPCによって利用されていることを示しています。特に動画はPCによって見られているようです。PCによるネット利用が減る傾向にありますので、動画の利用も減っていくのかもしれません。あるいは、動画の利用がPCネット利用の減少に歯止めをかける可能性もあります。スマホ普及率が9割に達しても動画がPCで見られているということは、やはり大きな画面で動画を見るのが好きな人が多いことを示しているのでしょう。

Photo_5

一方、携帯・スマホによるネット利用時間との相関をみるとLINE、Twitterの相関が特に高くなっています。これらのサービスは主にスマートフォンによって場所を問わずに利用されているのでしょう。これらはPC利用時間とは負の相関になっていますので、PCネットユーザーはLINEやTwitterをしない傾向があるともいえそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年5月 3日 (金)

スマホ利用時間急増

Photo

毎年恒例の年度初め調査ですが、今年は他の調査も合わせて実施したり、テキストマイニングをやったりしていて入力・分析が遅れています。先週ようやく入力が出来たので少し分析してみました。

サンプル数は男性310人、女性117人で合計427人です。人数は去年と似たようなものですが、男性73%、女性27%で男女の比がやや偏っています。男女差がある項目については男女比を1:1としたときの換算値も適宜しめしていきたいと思います。

とりあえずやってみたのは、テレビ・ネット利用時間の集計です。テレビの1日の利用時間は去年103分で今年も103分となり横ばいでした。11年の119分から12年にかけて大きく減ったのが13年は歯止めがかかった格好ですね。このまま100分余りで推移するのか、さらにまた減っていくのか気になります。

ネットの利用時間は11年からパソコンによる利用と携帯電話による利用に分けてきいているのですが、今年は後者を「スマートフォンや携帯電話による利用」としてきくことにしています。PCによる利用は、去年の97分から今年は92分と5分減になっています。これに対しスマホ・携帯による利用は11年109分、12年127分、13年153分と大幅に伸びました。平均26分の伸びは驚異的です。05年のテレビの利用時間をも抜いて、いまや学生にとっての主力メディアといってもいいでしょう。

スマホや携帯利用の内訳は、iPhoneの利用者が46%、アンドロイドスマートフォンの利用者が42%、従来型の携帯電話(ガラケー)の利用者が21%となっています。これは複数回答なのでiPhoneとガラケー、アンドロイドとガラケーの利用者も若干含まれますが、9割近い学生がスマートフォンを利用し、従来型携帯電話の利用者はスマホとの重複利用を含めても2割と急速に少数派になっていることが分ります。

このスマートフォンの急速な普及がスマホ・携帯からのネット利用時間の急激な伸びにつながっているといえそうです。スマホの普及自体は9割近くなりほぼ飽和しましたから、スマホによるネット利用時間も150分程度で頭打ちになる可能性もあります。来年、どうなるかが楽しみですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月22日 (木)

アーティストマップ2012年版

2012

アーティストマップの2012年版を作ってみました。データは2012年7月に学生244人(男性132人、女性112人)に質問した音楽調査の結果を使っています。自由回答で名前が多く上がったアーティスト20組について、好きなアーティストに○、特に好きなアーティストに◎を複数回答でつけてもらいました。○を1点、◎を2点として主成分分析を行い、横軸を第1主成分、縦軸を第2主成分にとってプロットしてあります。

大きくみて、左上にMr.ChildrenやB'zといったロック系アーティスト、右下に西野カナや加藤ミリアといった女性ソロアーティスト、中間にSMAPやAKB48、嵐といったアイドル系アーティストが位置しています。主成分分析では好かれ方の似通ったアーティストが近い位置にプロットされますので、この図で近い位置にあるアーティスト同士は似たファン層を持ち、離れた位置にあるアーティスト同士は異なるファン層を持つことを意味しています。

大まかには納得できる配置ですが、SKE48がAKB48よりはロックグループに近い位置にあったり、ももいろクローバーZがサザンオールスターズと近かったりという点がやや意外ですね。今回「特に好き◎」と「好き○」を合計した割合が最も多かったのはMr.Children(計30%)でした。通常、一番人気のアーティストは幅広い層の支持をうけるため、マップの中央付近に位置することが多いのですが、Mr.Childrenはマップの左上端に位置しています。個人的はこれが一番意外でした。ロック支持層を結集して3割の支持を集めているようですね。Mr.Childrenの凄さともいえますし、中央に位置するアイドル系アーティストの弱さを示すともいえるでしょう。

人気の二~四番手はAKB48(計26%)、嵐(計23%)、EXILE(21%)です。いずれも中央のアイドル系ブロックに位置しています(EXILEをアイドルというのはやや抵抗がありますが)。Mr.Childrenとの差はわずかですので、アイドル系で支持が分散した結果、ミスチルが1位になっているともいえるでしょう。ちなみにいきものがかりとSMAPはともに18%で同率7位となっています。SMAPの人気はやや衰えていますが、まだまだ健在ですね。

人気の五番手はB'z(計19%)でミスチルとロック系の双璧をなしています。B'zと同率五番手に安室奈美恵、いきものがかりとSMAPと同率7位に西野カナが入りました。女性ソロアーティストのブロックには加藤ミリア(計14%、12位)、浜崎あゆみ(計11%、16位)も入っています。恋愛のせつなさを歌い上げて「ギャル演歌」とも呼ばれる楽曲を提供するアーティストたちが似たファン層を持っていても不思議ではないのですが、ここにKARA(計15%、11位)や少女時代(計12%、15位)といった韓流アーティストが位置するのは少し意外でした。女性の支持が厚いという点で共通しているのでしょうか。

アーティストマップをつくるのは3年ぶりで、AKB48の勃興過程を追うことができなかったのがやや心残りではありますが、現状ではSMAPと並んでしっかりマップ中央に位置を占めて確固たる地位を確立していることが分りました。始めからここにいたのか、それともどこかから移動してきたのか。きゃりーぱみゅぱみゅ(計10%、18位)が真ん中のブロックにいますので始めから真ん中にいたような気もしますし、マップ左端に位置するももいろクローバーZ(計11%、17位)のように、周辺域から中央に移動してきたような気もします。少なくともミスチルや安室奈美恵のような位置から移動してきたのではないような気はしますね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年7月 1日 (日)

好きなアーティストランキング(暫定版)

サンプル数98人ですが、とりあえず2012年の好きなアーティストランキングの調査をしてみました。性別は男性53名、女性44名、不明1名で2~4年の大学生のデータです。

  合計
Mr. Children 10% 36% 46%
いきものがかり 4% 31% 35%
5% 24% 30%
ゆず 3% 22% 26%
AKB48 6% 15% 21%
ももいろクローバーZ 4% 17% 21%
サザンオールスターズ 2% 15% 17%
レディガガ 4% 13% 17%
SMAP 2% 14% 16%
B'z 4% 12% 16%
浜崎あゆみ 1% 12% 13%
KARA 0% 13% 13%
少女時代 3% 9% 12%
SKE48 1% 10% 11%
きゃりーぱみゅぱみゅ 1% 10% 11%
EXILE 1% 9% 10%
安室奈美恵 0% 10% 10%
西野カナ 2% 8% 10%
加藤ミリア 1% 3% 4%
倖田來未 0% 3% 3%
その他 32% 17% 49%

前回収集した「人気があると思うアーティスト」ベスト20を選択肢として、好きなアーティストにいくつでも○を、最も好きなアーティストに一つ◎をつけてもらう形式できいています。その結果、◎(一番好き)と○(好き)という回答のあった割合の合計が一番多いのはMr. Childrenで46%、次に多いのはいきものがかりで35%、三番目が嵐で30%となりました。

「人気があると思うアーティスト」ではダントツだったAKB48は21%で5位に終わっています。21%という数字は小さくはないのですが、世間で思われているほどには人気がないようですね。4年前の調査で1位だったEXILEは10%で16位。人気を長続きさせるのがなかなか難しいなかで結成から24年、メジャーデビューから20年、innocent world からでも18年になるMr. Childrenが半数近い支持を得て1位となったのは驚きです。

2位のいきものがかりは結成13年、2008年調査と2009年調査ではランク外だったのですが、今回は大きく躍進しました。個人的には好きなユニットなのでちょっとうれしかったりします。この人気が続くかどうか気になったりもしますが。3位の嵐も結成13年ですね。2008年調査ではランク外でしたが、2009年調査では19%で11位。今回はさらにランクアップしています。

Photo

これらのアーティストがどのようなファン層をもっているのかを探る試みとして支持率が10%以上の18アーティストについて主成分分析を行ってみました。第1主成分得点を横軸、第2主成分得点を縦軸にとってマッピングしてみると図のようになりました。この方法を使うと「好き」のパターンが似通ったアーティストが近くにマッピングされますので、近くに配置されたアーティストはファン層が似通っていると考えられます。

この図を見ると、Mr.ChildrenはサザンオールスターズやEXILEやB'zの近くに位置しています。男性グループロックアーティストの代表格という位置づけになるでしょうか。08年、09年のEXILEのファン層をミスチルは受け継いでいるのかもしれません。

いきものがかりはゆずの近くで確かに方向性が似通っている気がしますね。嵐がSMAPに近いのもうなずけます。SMAPが占めていた男性アイドル枠のファン層を継承しているのでしょう。

AKB48はこれらのアーティストとは離れて図の右上に位置しています。SKE48が近くにあるのは予想通りですが、少女時代やKARAというKpop女性アーティストと近いのはやや意外な気がしました。女性アイドルグループという点でファン層が共通しているのかもしれませんね。モーニング娘。のファン層をついでいるのかいないのか気になりますが、モー娘。は08年時点で選択肢作成のランク外でデータがなく確認するすべがありません。

浜崎あゆみや安室奈美恵といったavex所属の女性ソロアーティストは右下の領域を占めています。西野カナやきゃりーぱみゅみゅといった今回ランクインした女性ソロアーティストもこの領域ですね。浜崎あゆみや安室奈美恵のファンだった層を受け継ぎつつあるのかもしれません。音楽的な傾向が似ているのかというと微妙ですが。ももいろクローバーZは女性アイドルグループの中ではソロアーティストに近い位置を占めているのが興味深いですね。

マップをおおまかにみると右側に女性アーティスト、左側に男性アーティスト、上の方にグループアーティスト、下の方にソロアーティストが位置する傾向が見られます。音楽的な傾向性以前に性別やアーティストの形態によってファン層のおおまかな方向が決まっているようです。今回は98名のサンプルによる暫定的な分析ですが、サンプル数を増やしてそれぞれのファン層の内訳を探ってみたいです。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2012年6月 7日 (木)

<人気があると思うアーティスト>予備調査

Photo

今年は3年ぶりに音楽について調査をしています。「好きなアーティスト」について選択肢をつくるために、<人気があると思うアーティスト>を学生に自由にあげてもらう形で予備調査を行いました。その結果、総選挙が行われたばかりのAKB48がダントツの1位、ついで嵐、EXILE、SMAP、Mr.Childrenまでがベスト5に入るという結果になりました。

去年、一昨年とスポーツ調査を行っていたのでアーティストの予備調査も3年ぶりとなりますが、2008年、2009年がEXILEがトップだったことを思えば様変わりをしていますね。毎年続けていればAKB48が勃興してくる過程を追うことができたろうと思われますが、いつの間にかすっかり政権交代していました。1割以上が名前をあげたグループにSKE48やNMB48も入ってますので、今後このあたりも順位を上げてくる可能性もあります。

2位が嵐で男女ともグループアイドルがトップを占めることになりました。EXILE、SMAP、Mr.Childrenもグループですからグループアーティスト全盛といえるでしょう。EXILEは順位を落としたものの3位でSMAP、Mr.Childrenといった「老舗」も頑張ってますね。なんとなく嬉しいです。サザンオールスターズも健闘しています。

単独アーティストでは浜崎あゆみ、西野カナ、倖田來未が上位にあげられていました。浜崎さん、倖田さんは3年前も名前があがってましたが西野さんは今回初登場です。どんな層が支持しているのか興味があります。単独アーティストはいずれも女性で男性で単独で名前のあがった人はこの中にはいません。これが何を意味しているのかも気になりますね。

本調査は2012年7月を予定しています。今回は予備調査で「好きなアーティスト」のランキングではなく、あくまで「人気があると思うアーティスト」のランキングです。本調査では、この選択肢から好きなアーティストに複数回答で○をつけてもらいますので、7月の後半には「好きなアーティスト」ランキングをご紹介できるでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月31日 (木)

社会貢献意識の構造

2012年初年度調査(2012年4月実施、男性284人、女性147人、計431人)では「日頃から、何か社会のために役立ちたいと思っている」という質問文で社会貢献意識について測定しています。今年については「そう思う」が50%、「そう思わない」が16%、「どちらともいえない」が34%という結果になっています。

この「そう思う」の割合は2010年4月調査では42%、2011年4月調査では51%でしたから、震災後9ポイント上昇した後、今年も昨年の水準を維持しているようです。中間選択肢の「どちらともいえない」がある条件で質問してなおかつ「そう思う」という人が50%いるというのは、かなり社会に貢献しようという意識が高いといえるでしょう。

では、この社会貢献意識はどのようにして形成されるのでしょうか。また、具体的にはどのような社会貢献行動と関連を持つのでしょうか。今年の調査から、社会貢献意識と有意な相関のあった質問項目をピックアップしてパス解析を行ってみました。

Photo

図のように「初対面の相手でも信頼する方だ」(初対面)、「自分の出身中学や出身高校を誇りに思う」(誇り)、「自分たちの名誉が侮辱されることは、我慢できない」(名誉侮辱)、政治に関心がある(政治関心)、「身寄りのないお年寄りを見ると、かわいそうになる」(お年寄り)といった質問がプラスの効果を持ち、「給料が同じならば、必要以上には働きたくない」(給料同じ)がマイナスの効果を持っています。

最もパス係数が大きいのは「お年寄り」で高齢者への共感を測定する質問項目です。社会貢献意識が社会的に弱い立場の人に対する共感に根ざしている可能性をしめす結果といえるでしょう。次が「出身校への誇り」です。自らが所属する集団を肯定的に評価し自信を持つことが社会貢献意識を高めるようです。

「名誉侮辱」も社会貢献意識にプラスの効果を持っています。この質問は権威主義的攻撃性を測定する項目なのですが、権威主義的服従性(上下のけじめは必要など)や偏見(弱者と強者がいるなど)といった他の権威主義指標は社会貢献意識と相関をもっていませんので権威主義的な側面よりも自分の所属集団に誇りを感じる側面が社会貢献意識に寄与しているのかもしれません。

あと「政治関心」と「初対面信頼」もプラスの効果があります。「政治関心」は社会への関心の代理指標と解釈できるでしょう。社会への関心が社会貢献意識を高めるようです。「初対面信頼」は人間一般への信頼で、人間一般を信頼する人は不信感を持つ人より社会貢献意識が高くなるのでしょう。

「給料同じ」は個人的な合理性の指標です。職場の他のメンバーにとってプラスになる作業があっても給料が変わらないのであればやりたくないと解釈すれば、個人合理性を所属集団への配慮より優先する態度と捉えることもできるでしょう。この項目はマイナスの効果を持ちますので、個人合理性を優先すると社会貢献意識が低くなると考えられます。

このように、社会的に弱い立場の人に対する共感や社会全体への関心、人間一般への信頼といった広い意味で社会を肯定的に捉える態度と、自らの所属集団への誇り、さらに個人的な合理性を重視しすぎないことが社会貢献意識を形成するといえそうです。

社会貢献意識が高い人は社会に対してどのような行動をとるのかという行動レベルの質問項目が「寄付」と「街頭募金」です。「寄付」は「社会に役立つ活動に寄付する機会があればどの程度寄付したいか」を一ヶ月あたりの金額できいたもので、月430円ほどが平均値でした。「街頭募金」は「街頭募金にはなるべく協力する」かどうかをきいたもので「する」が26%、「しない」が45%、「どちらともいえない」が29%でした。社会貢献意識の高さに比べて行動レベルの質問には消極的な回答が多くなっています。

社会貢献意識と「寄付」には0.21の相関、「街頭募金」には0.41の相関がありました。いずれも有意な相関なのですが、パス解析をすると社会貢献意識から「寄付」へのパスは有意となりませんでした。代わりに「お年寄り」「政治関心」「初対面信頼」「給料同じ」からのパスが有意にきいています。社会貢献意識と寄付意図金額との相関はこれらを介した偽相関だったようですね。興味深いのは寄付意図金額には「誇り」「名誉侮辱」といった所属集団への誇りの変数からのパスがないことで、寄付意図金額の方がより純粋に社会全体への関心や立場の弱い人への共感を反映しているといえるでしょう。

「街頭募金」には社会貢献意識をはじめとして「寄付」「お年寄り」からのパスが有意でした。街頭募金への協力には社会貢献意識が直接反映しているようです。さらに寄付意図金額が大きいことや立場の弱い人への共感という要素がプラスされると実際に街頭募金に協力するようになるという構図が存在するようです。

以上のように、社会貢献意識は社会全般に対する関心や信頼、自集団に対する誇り、個人合理性の抑制によって形成され、すくなくとも街頭募金への協力という形で実際にコストを伴う貢献行動を促進することを示す結果が得られました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年5月17日 (木)

最近のネット利用状況

12年度4月調査(男性286人、女性147人、計433人)のデータからネットの利用状況についてみていきましょう。パソコンを使ったインターネットの利用時間の平均は1日97分、携帯電話・スマートフォンを使ったインターネットの利用時間の平均は1日127分となっています。PCによるネット利用は去年から余り変わっていませんが(平均3分増)、携帯・スマホによる利用は28分増で、テレビの1日103分(去年から16分減)を抜いて1日の主要な活動になっています。

Photo

ネット利用の内訳はグラフのようになっています。PCと携帯とをあわせて質問した結果ですが、調べ物をする人が66%、動画を見る人が51%、ニュース、SNS、メールが46%、ツイッターが43%で、これらが主要な使い道となっているようです。去年からの変化を見ると、ツイッターが20ポイント増、メールが4ポイント増、音楽ダウンロードが8ポイント減、SNSが5ポイント減でツイッターの増加が目を引きます。

ツイッターは女性の利用が顕著で男性の利用率が31%であるのに対して女性の利用率は67%にのぼっています。去年の数字が男性19%、女性33%でしたから去年から女性優位のメディアだったのですが、そこから男性は12ポイント増に対し女性は34ポイント増で一段と男女の利用率に差がつきました。ツイッター利用率の20ポイント増は女性の利用率増が牽引しているといえるでしょう。

ちなみにSNSとメールも女性の利用率が高い項目です。SNSの減少はmixiなどからツイッターへのシフトによっておきたと解釈できます。メールが増えているのはちょっとわからないですね。

Pc

各項目の利用の有無とPCでのネット利用時間との相関係数を求めると上のようになります。PCネット利用時間と掲示板利用との相関が0.22、動画利用との相関が0.21で正の相関が見られます。これは掲示板の利用や動画の視聴をする人はパソコンによるネット利用時間が長い傾向があることを意味していますので、掲示板なり動画なりはパソコンのキーボードや大きな画面があった方が利用しやすいということなのでしょう。

動画の利用率は去年と比べてほとんど変化はなく頭打ちの傾向が見られます。パソコンによるネット利用の停滞とパラレルな現象なのでしょう。携帯やスマホでも動画は見られますが、通信速度や電池の持ちの関係なのでしょうか、そちらで見る人はあまりいなくてパソコンからの視聴に偏っているようです。パソコンで見るには家にいないといけませんから、これ以上は利用が増えないかもしれません。

メールやSNSの利用はPCによるネット利用時間と負の相関があります。メールやSNSをよく使う人(女性が多い)はパソコンではネットをあまり使わない傾向があるようです。彼女らはもっぱら携帯やスマホでメールやSNSを利用しているのでしょう。

Photo_2

利用項目と携帯・スマホによるネット利用時間との相関をとると図のようになります。予想通り、SNSとメール、そしてツイッター利用と高い正の相関が見られました。SNSやメールといった親密性を高めるネットサービスは携帯電話やスマートフォンによる場所を選ばない高頻度の利用と相性がいいようですね。そしてツイッターもこの範疇の親密性メディアとして女性に受容されつつあるのでしょう。

スマートフォンの普及によって、これらのサービスの利用者はまだ増えていく可能性があります。他方、ツイッター増加によってSNSが減少しているらしいことが示すように利用の飽和の兆しもみられます。今後もう少し増えて頭打ちになるのではないでしょうか。それに伴ってテレビ視聴の減少も減速するかもしれません。まあ、今後どんなネットサービスが出現するか分かりませんのでそれ次第という部分も大きいでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧