2009年8月 6日 (木)

正直者は馬鹿をみるか その2

目の前にいる人に貢献する<見える貢献>と、目の前にはいない人々に貢献する<見えない貢献>について、それぞれをする人としない人の利得を比較してみましょう。

今回は利得として、一ヶ月に自由に使えるお金、アルバイトによる収入、友人の数を測定しています。経済的な利得と社会的な利得の指標としてきいてみました。それぞれの単純集計は次の通りです。

 Q あなたは1ヶ月自由に使えるお金はどの程度ありますか

  1万円未満        8%
  1万円~2万円   22%
  2万円~4万円   31%
  4万円~7万円   25%
  7万円~10万円    9%
  10万円以上       5%
 (平均 4.1万円  標準偏差 2.9万円)

 Q アルバイトによる1ヶ月の収入は何円ぐらいですか。
 
  していない      31%    
  2万円未満     1%
  2~4万円      8%
  4~6万円    18%
  6~8万円    18%
  8~10万円   14%
  10~15万円    7%
  15~20万円    1%
  20万円以上    2%
 (平均 7.4万円  標準偏差 3.9万円)

 Q あなたは日頃から付き合いのある友人が何人ぐらいいますか。            
  0~2人     8%
  2~5人     30%
  5~10人    36%
  10~15人   16%
  15~20人    6% 
  20~30人    4%
  30~50人    0%
  それ以上    1%
 (平均 8.5人  標準偏差 7.7人)

1ヶ月に自由に使えるお金(可処分所得)は2~4万円という学生が最大ですが、平均は4.1万円となっています。アルバイトは69%の学生がやっていて収入は、4~6万円、6~8万円という学生がともに18%で最大となっています。中には20万円以上という学生もいて、平均は7.4万円でした。ちなみにアルバイトをしていない学生を含めて計算すると、平均アルバイト収入は5.1万円となります。このうち1万円を生活費などに回して、4万円強を可処分所得にするのがおおまかな学生の所得構造になりますね。

友人の数は5~10人が最大で36%、2~5人が次に多くて30%となっています。10人未満という学生が7割強を占めていて、この程度の人数が主な交友範囲といえそうです。

これらの経済的、社会的利得は<見える貢献>や<見えない貢献>の高低によって違いがあるのでしょうか。<見える貢献>として、「お年寄りに席を譲る」「困ってる人に声をかける」「何か社会に役立ちたい」の4点尺度の平均(α=0.66)、<見えない貢献>として、「献血する」「募金する」「冷房を控える」「使い捨て製品は避ける」の4点尺度の平均(α=0.61)をとり、可処分所得、アルバイト収入、友人の数との相関係数を求めてみると

         見える貢献  見えない貢献
  ----------------------
  可処分所得   0.02      0.02
  バイト収入     0.00      -0.01 
  友人の数     0.17*      0.15*

となり、友人の数とのみ有意な相関がみられました。どうも社会貢献意識や社会貢献行動と経済的な利得とは関連がないようです。一方、社会的な利得である友人の数とは相関がありましたので、<見える貢献>、<見えない貢献>の得点でサンプルを高、中、低に三分割して友人の数を比較してみました。その結果は次の通りです。(友人数の平均±標準偏差を示す)

        見える貢献   見えない貢献
 ----------------------
    高   10.7±10.4人  10.0± 9.9人
    中    8.0± 6.8人   7.9± 5.4人
    低    7.1± 5.3人   7.5± 5.9人

標準偏差がかなり大きいので明瞭な結果ではありませんが、危険率10%程度で有意な違いが見られました。<見える貢献>については、貢献度の高い人は低い人より平均して3.6人、友人の数が多くなっています。<見えない貢献>については平均して2.5人の増加ですから、見える貢献の方が友人を増やす効果が若干大きいようです。

友人の数というのは、社会的なネットワークの大きさを示す指標で、楽しみの大きさや情報の多様性、困ったときのサポートの大きさと関連をします。サポートは受けることもあれば提供することもあるので差し引きの収支は自明ではありませんが、困ったときにサポートを受ける利益は一般にかなり大きいものですからまあプラスと考えられるでしょう。社会的な貢献性の高い人はこれらの利益を低い人に比べて友人3人分ほどたくさん享受できるといえそうですね。

友人の数の違いは選択的相互作用という観点から説明できそうな気がしますが、その辺は今後の課題としてさしあたり分かったことをまとめてみますと、社会的な貢献性の高い人は低い人に比べて経済的には損でも得でもありません。その意味では貢献のコストを埋め合わせる利益もありませんので「正直者は馬鹿を見る」といえるかもしれません。ただ、社会的な利得という点では友人と言う無形の財産を3人分ほど多く獲得できますので「正直者が必ずしも馬鹿をみるとは限らない」ということができそうです。

なお、見える貢献と見えない貢献の違いは利得についてはほとんど見られませんでした。友人の数について見える貢献の効果が若干大きかったので、見える貢献が社会的利得の増加を通じて見えない貢献の維持に結びついているという図式を描けるかもしれませんが、統計的に検証できるほどの違いではありませんので、その辺も今後の課題となりますね。

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2009年7月30日 (木)

見える貢献と見えない貢献

学生の社会貢献意識について、少し質問項目を増やしてきいてみました。調査は2009年7月下旬に社会調査の授業中に実施し、サンプルは男性157名、女性29名、不明4名の190名です。経済学部が中心で男性が84%を占める偏ったサンプルですが、ある程度の傾向を見ることはできるでしょう。

質問項目と「はい」の割合(4件法で、とてもそう思う、ややそう思うの合計パーセント)は次の通りです。

 プレゼントをして、相手が喜ぶのを見るのが好きだ   (86%)
 電車の中で音楽をきくときは
  周りに音漏れをしないように気をつけている      (83%)
 電車ではお年寄りに席を譲る                (74%)
 日頃から、何か社会のために役立ちたいと思っている (58%)
 みんなで食事をするときサラダを取り分けたりする   (50%)
 困っている人がいたら声をかける             (50%)
 使い捨ての商品はなるべく買わないようにしている  (38%)
 冷房の温度は28℃以上に設定している         (34%)
 募金にはなるべく応じるようにしている          (25%)
 学校に献血車が来たときは献血をするようにしている (9%)

 掃除当番などの義務はなるべく避けたい[逆転]     (56%) 
 給料が同じならば、必要以上には働きたくない[逆転] (66%)

逆転項目を除いて「はい」の割合の多い順に並べてあります。<プレゼント>とか<音漏れ配慮>とかは社会貢献というよりは対人配慮に近いですが、比較のためにきいてみました。

この中で端的に社会貢献意欲を示すのが「日頃から何か社会のために役立ちたいと思っている」で、58%の学生が「はい」と答えています。この数字は男性では56%、女性では69%で女性の方が危険率5%で有意に高いのですが、6割近い学生が社会貢献意欲を持っているというのは、若年層の社会への無関心が言われる中では少々意外な結果でした。

<音漏れ配慮>や<席を譲る>も7~8割の学生が「はい」と答えていて、実際の行動は別かもしれませんが意識のレベルでは貢献や配慮をしようとしているようです。一方で、<使い捨て買わない>や<冷房控える>は3~4割で、かなり少なくなっていますし、<募金>や<献血>に至っては1~2割の少数派に留まっています。また<義務いや>や<余分に働きたくない>も6~7割の多数派を占め、社会貢献したいが6割という数字とのギャップが感じられる結果となりました。

そこで次にこれらの項目を因子分析にかけて、社会貢献意識の構造を探ってみることにしました。プロマックス回転で得られた4因子解(累積寄与率57%)を以下に示しましょう。

         1   2   3  4
 -------------------
 献血     0.76  0.35  0.02 -0.13
 募金     0.73  0.40 -0.01 -0.08
 冷房     0.69  0.00 -0.21  0.11
 使いすて  0.51  0.32 -0.18  0.34
 -------------------
 声かける  0.33  0.80 -0.18  0.01
 席譲る    0.12  0.75 -0.27  0.27
 社会貢献  0.45  0.67 -0.17  0.20
 -------------------
 掃除当番   -0.08 -0.15  0.90 -0.13
 給料同じ   -0.18 -0.35  0.87 -0.12
 -------------------
 プレゼント   -0.02  0.23  0.00  0.67
 サラダ     0.07  0.14 -0.15  0.66
 音漏れ配慮  -0.01  0.00 -0.10  0.63
 -------------------

第1因子は<献血>、<募金>、<冷房>、<使い捨て>といった「はい」の率の低い項目が並びました。これらは率が似通っているだけでなく、背後に共通の因子が存在しているようです。この4項目についてα係数を求めてみると0.61となりました。そこそこまとまりのよい尺度も構成しているようです。

第2因子は<声かける>、<席譲る>、<社会貢献>という比較的「はい」の率が高い項目群になりました。α係数は0.66で第1因子よりまとまりがよいことが分かります。互いの相関は0.36~0.42でこちらの面でもまとまりのよさが裏付けられます。

第3因子は<掃除当番いや>、<給料以上に働きたくない>という逆転項目たちで、互いの相関は0.62、α係数は0.76となりました。フリーライド志向を示す項目群です。第4因子は<プレゼントするのが好き>、<サラダを取り分ける>、<音漏れに配慮する>ですが、α係数=0.41、互いの相関も0.15~0.22と低く、残余項目といった趣です。

そんなわけで、「はい」の率が低い第1因子の項目群と「はい」の率の比較的高い第2因子の項目群は背後に別々の促進要因を持っているらしいことが分かりました。第1因子の方がどちらかというと社会貢献っぽい項目群なのですが、学生の<社会貢献意欲>は第2因子に含まれています。第2因子の他の項目は「困っている人に声をかける」「お年寄りに席を譲る」という、貢献する相手が目に見えるところにいる項目になっています。その意味で第2因子は《見える貢献》を示す項目群からなると考えられます。助ける相手は知人ではなく見知らぬ他者が想定されますので、その意味で社会貢献と呼んでもおかしくはないのですが、相手が見えるところに居てくれると実行率が高くなるようです。

一方、第1因子は献血にしても募金にしても省エネにしてもゴミの削減にしても、貢献する相手が目に見えるところには居てくれません。同じ見知らぬ他者への貢献でも、不特定多数を対象としたこういう《見えない貢献》の場合は実行率が低くなってしまうようです。第3因子の場合も、義務を進んで果たすことや給料以上の仕事を進んで行うことで貢献できる相手が見えにくいという点で《見えない貢献》のバリエーションといえそうです。この種のフリーライド志向の高さも《見えない貢献》の難しさと関連があるのかもしれません。

第4因子の<プレゼント>や<サラダの取り分け>は見知らぬ他者というよりは知り合いへの配慮や貢献を示す点で他の因子とは異質です。これらに「はい」と答える率が高いのは知り合いへの貢献である点と関連があるのでしょう。音漏れ配慮がこの因子に入っているのは不思議な気もしますが、通学の車内を想定すると知り合いへの配慮が音漏れ配慮の促進要因になっていることもありうる気はします。いずれにしろ要検討ですが。

以上のように今回調べた項目は、知人への貢献や配慮、目の前にいる他者への貢献や配慮、目の前にいない他者への貢献や配慮を示す項目に分類できると言えます。学生が「何か社会のために役立ちたい」というときの社会貢献意欲は目の前の他者に対する《見える貢献》のことを意味しているのでしょう。これは社会一般に対する《見えない貢献》とは関連はあるものの別物で、この違いが最初に紹介した「はい」の率の違いに反映しているのだと考えられます。社会一般に対する貢献をうまく「見える化」できれば貢献率を引き上げることができるかもしれませんね。

第1因子と第2因子の間には貢献対象の可視性の他に、貢献のコストや対象の数(1人か多数か)の違いもあり、対象の数の違いは一般交換かN人ジレンマ回避かの違いにも結びついています。これらの要素が貢献率や促進要因(阻害要因)の違いにどう結びついているのかといった問題は今後の課題にしたいと思います。

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2009年6月 3日 (水)

正直者は馬鹿を見るか?

「正直者は馬鹿を見る」という言葉がありますが、実際のところどうなのか、手持ちのデータで検証してみました。使用したのは09年4月に授業中行ったアンケート(サンプル数、男性194名、女性70名、計264名)のデータです。

まず

 「日頃から、何か社会のために役立ちたいと思っている」
 「掃除当番などの義務はなるべく避けたい」(逆転項目)
 「給料が同じならば、必要以上には働きたくない」(逆転項目)

の3項目を用いて、社会貢献尺度を作ります(とてもそう思う~全くそう思わないまで5件法で測定した得点を合計。α=0.68)。この尺度によって、サンプルを社会貢献意識が高いグループ、中間のグループ、低いグループの3つに分割しました。社会貢献意識の高いグループは、社会に役立ちたいと思っているし、義務を進んで遂引き受け、給料が同じでもそれ以上に働こうとする<正直者>のグループですし、貢献意識の低いグループは社会の役に立ちたいと思わないし、義務はなるべくさけて給料分以上には働こうとしない<自己中>なグループということになります。

<正直者>のグループが<自己中>のグループより馬鹿を見ている(=損をしている)かどうかは、いろいろな尺度で測ることができるはずですが、今回のアンケートでは「1ヶ月に使えるお金」(小遣い)をきいてますので、小遣いの多い少ないで比較してみることにしました。小遣いは2万円未満、2万円~4万円、4万円~8万円、8万円以上の4つから選んでもらっています。それぞれをとりあえず1万円、3万円、6万円、10万円とみなして、正直者グループ、自己中グループ、中間グループの平均の小遣い額を求めてみました。

その結果、各グループの平均小遣い額は

   正直者グループ 5.5万円 (標準偏差2.8万円、66人)
   中間グループ  4.1万円 (標準偏差2.8万円、122人)
   自己中グループ 4.2万円 (標準偏差2.4万円、70人)

Photo となり、正直者グループが最も小遣いが多いことが分かりました(分散分析によるとp=0.003で1%水準で有意)。2008年のデータ(サンプル数335人)でも同様に正直者グループが最も小遣いが多いという結果になりましたので(ただしp=0.07で10%水準の傾向性)、正直者は馬鹿を見るのではなく得をする傾向がどうやら存在するようですね。

このデータでは小遣いの内訳をきいてませんので、正直者は例えば仕送りが多いのか、それともバイトの収入が多いのかといったことは分かりません。もし仕送りが多いのであれば、正直な子には親が多くの仕送りをしてくれるのかもしれませんし、多額な仕送りができる裕福な家庭の子は正直になるのかもしれません。バイトの収入が多いのであれば、正直な人は勤勉に働くためにバイト先の評価が高くなって時給が上がったり、時給の高い仕事に就けてもらったりしているのかもしれません。今回の分析ではそういった正直者が得をするメカニズムまでは分かりませんが、なにはともあれ正直者が馬鹿を見るとは限らないことが分かったのは結構なことでした。

今後は正直者が得をするメカニズムの解明や、社会人一般に広げた場合にも同様の結論となるのかどうかの確認、さらに人間関係における損得などお金以外の次元でも馬鹿をみないのかといった事柄の検討が課題となるでしょう。

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2009年4月25日 (土)

ネット利用1日103分

今年も学生にテレビとインターネットの利用時間調査を行いました。その結果、1日のテレビ視聴時間が121分、ネットの利用時間が103分でネットとテレビがほぼ並んだことが判明しました。(男性194名、女性70名の平均。男女で有意差はなし)

この調査は06年から継続してやっていて、このときはテレビ137分、ネット62分でダブルスコア以上の差があったのですが、その後テレビが少し時間を減らし、ネットが時間をのばして3年でほぼ追い付いたことになります。05年以前はネットの利用時間が多少伸びてもテレビの視聴時間が減ることはなかったのですが、07年以降ネット利用が1時間を越すようになると、さすがにテレビ視聴に影響が出だしたようですね。

Photo_2

よく見られているテレビ番組はバラエティが73%、ニュースが64%、深夜番組が48%、ドラマが42%となっています(09年データ。以下同様)。一方、インターネットでしていることは調べ物が74%、動画を見るが63%、ニュースを読むが42%、音楽ダウンロードが33%となっています。テレビの場合、視聴時間と相関が高いのがバラエティ0.40、深夜番組0.23、ドラマ0.23で特にバラエティをよく見る人がテレビの長時間視聴者になっています。

ネットの場合、利用時間と相関が高いのは動画を見る0.37、掲示板を使う0.24、ニュースを読む0.23、調べ物をする0.22で、動画を見る人がネットの長時間利用者になっています。ちなみに動画の利用形態ごとでは、動画を見ない人のネット利用時間の平均が70分、動画を見る人の平均が115分、動画をよく見る人の平均が141分で、動画を見る人は毎日2時間前後をパソコンを眺めて過ごしていることになりますね。

動画を見ない人の平均値70分は、ネット動画が普及する以前の06年の平均値62分とあまり変わりません。ここ2,3年の動画利用の急速な普及がネット利用時間増加の主な要因と推定してよいと思われます。掲示板のユーザーもネットのヘビーユーザーなのですが、掲示板の利用は09年でも14%にとどまり、掲示板利用の増加がネットの平均利用時間を押し上げたとは考えられません。掲示板の利用は積極性を要する活動で、多くのネットユーザーにとっては敷居が高いのでしょう。その点、動画はお勧めの動画をクリックしていけば見られる受動性の高い利用法なので多くのユーザーを獲得どきたのだと考えられます。

テレビ視聴はネットの動画閲覧と競合する部分がありますので、動画閲覧の普及につれて「テレビ離れ」が進んできているように見えます。上のグラフを延長すると来年にもテレビ視聴時間とネット利用時間が逆転すると予想されますが、はたしてどうなるでしょうか。

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2008年12月20日 (土)

あなたにとって音楽とは?

調査実習と並行して進めている社会調査法の授業では音楽をテーマにした調査を行いながら質問紙の作り方やサンプリング、実査の方法、集計・分析の方法について教えています。この音楽調査から「あなたにとって音楽とは?」について調べた結果を紹介しましょう。

音楽調査は2008年7月上旬に割当法によって得た大学生のサンプル260人(男性140人、女性120人)に調査を行いました。「音楽とは?」の質問は自由回答による予備調査で得た15の選択肢に複数回答で回答してもらう形式で行いました。まず、単純集計は次の通りです。

1 「リラックスできる」が当てはまる(○)、特に当てはまる(◎)を合わせて55%、「楽しくなれる」が同様に41%、「元気が出る」が40%の対象者に選択されました。以下、「心の癒し」、「暇つぶし」、「テンションを上げる」が30%以上で、リラックスや癒し、元気付け、暇つぶしが音楽の主な効用となっているようです。

「感動をくれる」、「勇気をくれる」、「悲しい時の支え」といった回答は2割以下で比較的少数であり、音楽を「自己表現」の方法ととらえている人は1割以下の少数派になっています。音楽に心を癒されたり気分を盛り上げてもらったりすることはあっても、心の支えとまでは言えない人が多いようです。

次にこれらの項目を主成分分析した結果を示しましょう。

Photo 第1主成分を横軸に、第2主成分を縦軸にとって各項目を図示してあります。(寄与率は第1主成分が21%、第2主成分が9%)。

「勇気をくれる」、「感動できる」、「ワイワイできる」といった項目が第1主成分の値が大きく、「暇つぶし」、「リラックス」が小さな値になっています。第1主成分は「暇つぶし」が突出して小さく、「リラックス」がそれに次ぐことから、音楽をどの程度主観的に重要なものと考えているかを示す成分と解釈することができるでしょう。

一方、第2主成分については「リラックス」、「生活を豊かに」、「心の癒し」といった項目の値が大きく、「楽しくなれる」、「元気がでる」、「テンションを上げてくれる」といった項目の値が小さくなっています。このことから第2主成分は音楽に活動性を求めるか、癒しを求めるかにかかわる成分と解釈することができると思われます。

単純集計において30%以上の回答があった6項目は、主成分のグラフの左上に位置する「リラックス」、「暇つぶし」のグループと右下に位置する「楽しく」、「元気」、「テンション」のグループ、および右上の多くの項目が位置する領域にある「心の癒し」の3つに大きく分類できます。このことは音楽リスナーをリラックスや暇つぶしのために聴くボリュームゾーンのグループ(半数程度。それほど音楽を重視しているわけではない)と、楽しさやテンションを求めて聴く次に大きなグループ(4割程度。音楽を重視する)、および癒しや悲しい時の支え、勇気づけのために聴く比較的少数のグループ(2割~3割。音楽を最も重視する)に大きく3分類できることを示していると考えられます。

次にこれらのグループごとに、好きな音楽ジャンルや好きなアーティストがどうなっているかをみていきましょう。

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2008年12月17日 (水)

血液型占いを信じるのは?

調査実習で「血液型占いを信じるのはどんな人か」についての調査を行いました。不安、人間関係の悩み、他人指向傾向、権威主義傾向などが関連があるだろうとの仮説を立てて質問紙を作成し、180人の学生にアンケート行ったところ、次のような結果が得られました。

Photo_2 「血液型占いを信じる」という質問と相関のあった項目を挙げると左のように、アルバイトや友人関係や恋愛の悩みがある、不安を感じるといった悩みや不安の項目、周りと意見が違うと自分が間違っていると思うという他人指向の項目、話のたねになるというコミュニケーション指向の項目が正の相関を持ち、占いは非科学的だ、あてにならないといった 項目が負の相関を持っていました。一般に占いと相関のある権威主義の項目とは相関が見られませんでした。

性別では女性の方が若干信じる人が多い傾向があり、親友の数や協力的な方だという社交性の変数とも相関がありました。

次に、これらの変数を説明変数とし「血液型占いを信じる」を目的変数とする重回帰分析を行ったところ次の図のような結果が得られました。

Photo_3 ステップワイズ法で残った変数は「アルバイトで悩みがある」「周りと意見が違うと自分が間違っていると思う」」「協力的な方だ」「占いは話の種になる」の4つで、重決定係数R2=0.12となりました。<対人関係の悩み><他人指向><協調性><コミュニケーション指向>が血液型占いを信じる傾向の規定要因となっているようです。他人の意向に配慮する傾向の強い他人指向的な人や、周りとの協調性の高い人が対人関係上の悩みを感じたとき、コミュニケーションの手段として血液型占いに依存するという構図を読み取ることができるでしょう。

ただし、いずれの変数もβ係数が小さく、重決定係数(説明力)も12%に過ぎませんので、他にも多くの要因が血液型占いを信じるかどうかに関与していると考えられます。

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2008年9月17日 (水)

MP3プレーヤーじゃなくて…

音楽意識調査では、日頃何で音楽を聞いていますかという質問もしているのですが、これは選択肢の作成に失敗しましたね。

<テレビ、ラジオ、CD、MD、カセットテープ、パソコン、携帯電話、MP3プレーヤー、その他>からいくつでも選んで○してもらう形で、大体の可能性はカバーしているつもりでした。ところが調査してみると、MP3プレーヤーに○をしないでその他に○をして[i-pod]と書く人の多いこと多いこと‥。どうも、i-podというジャンルがあると思われているようです。

次やるときには、i-podとi-pod以外の携帯音楽プレーヤーという聞き方をした方がよさそうですね。MP3プレーヤーという言い方も理解されなくなってきているようですし。あと、カセットテープは30才以下では使用者0ですので、削ってよしでしょう。

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2008年9月16日 (火)

ケツメイシって‥

音楽意識調査のデータ入力をしています。とりあえず120人ほどできたので、チョロチョロ分析してみました。その中でちょっとウケたのがケツメイシ。

あなたにとって音楽とは、という質問の中に「暇つぶし」という選択肢があるのですが、これと唯一有意な相関があったアーティストがケツメイシでした(r=0.29)。せっかく歌ってるのに暇つぶしで聞かれてるのかと思うと気の毒ですね。それ以外では「雰囲気を盛り上げる」とも相関があった(r=0.23)のが救いではあります。

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2008年7月24日 (木)

キャリーオーバー効果とガソリン消費

キャリーオーバー効果の記事にアクセスが殺到してますね。前期試験の時期ということなのでしょう。皆さん、勉強がんばってください!

とくに関係はありませんが、ガソリン消費量についてのリンクを張っておきます。

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/result/ichiran/07_shigen.html

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2008年6月27日 (金)

情緒安定性と他人指向

Photo

今年の4月にビッグファイブの調査をした訳ですが(http://gyokuyo.tea-nifty.com/blog/2008/05/post_4a7a.html)、そのうち情緒安定性と他人指向傾向に強い相関が見られましたので、グラフにしてみました。

情緒安定性は「くよくよしない」 「気苦労が多い*」 「強気」「悩みがち*」「神経質*」「緊張しやすい*」の5項目で測定して(*は逆転項目 α=0.704) 平均値で情緒安定グループと、情緒不安定グループに分けてあります。 

グループごとに他人指向の質問項目

 「何かをする前に、周りがどう思うか気にする方だ」
 「自分の考えが周囲と異なると、自分が間違っていると思う方だ」
 「友人などと話をするとき、その場のムードで自分の考えを変える方だ」


についてイエスと答えた割合を求めたものが、上のグラフです。

こうしてみると、くよくよしたり、神経質だったり、緊張しやすい人はそうでない人に比べて、周りの評価を気にしたり、自分の意見を周りに合わせたりする傾向が20ポイント~30ポイントほど高いことがわかりますね。

周りの評価を気にして神経質になるのか、神経質だから周りの評価を気にするのか、因果関係の方向はにわかにはわかりませんが、ビッグファイブの方を基本的な性格特性だと考えると、くよくよしたり神経質だったりすることが、周囲への同調傾向を相当押し上げていると考えられます。

そもそも、情緒安定性の平均は1~4点の尺度で2.2点でしたから、中間値の2.5点よりかなり不安定の方に偏っています。この情緒不安が若い層における顕著な他人指向傾向の背景になっているようです。

   

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