2023年5月 3日 (水)

西六郷少年少女合唱団定期演奏会

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今年も西六郷少年少女合唱団の定期演奏会に行って来ました。まだ座席が一つおきだったりのコロナ対策が行われてましたが、かなり以前の雰囲気に戻ってきました。「みんなのうた」関連の皆さまとも3、4年ぶりに再会できたりして、とても良かったです。

第1部はたのしい歌・みんなの歌と世界の名曲です。「みどりいろの翼」と「私の回転木馬」がみんなのうたからの選曲でした。「みどりいろの翼」は初めて聴いた曲で、アルプスの少女ハイジの最終回でも使われていたそうですね。るんるんさんによるとほぼみんなのうたオリジナルの編曲だそうで、貴重な歌が聴けました。「青空に深呼吸」もいい曲で、今日の青空のように希望を感じさせる歌でした。世界の名曲は自然の美しさをアカペラで表現した曲が多くて聴きごたえがありましたね。綺麗な響きを堪能させていただきました。

第2部は日本の合唱曲。「城あと」では今年も居眠りしながら戦国時代にタイムスリップしてしまいました。日本の歌メドレーは「早春賦」「椰子の実」「我は海の子」とお馴染みの作品のメドレーです。「赤とんぼ」「砂山」では再びアカペラの美しい響きを楽しませていただきました。「村祭」ではピア伴の太鼓がドドドンと鳴り響くなか、にぎやかなお祭りが繰り広げられました。この辺は、今はあまりみられなくなった風景が蘇った思いがしましたね。世界の合唱で歌われたブルガリアの美しい自然の数々も今は貴重になっているのかもしれません。

アンコール曲では例年卒団生に花束が贈られるのですが、今年の曲目は「いい日旅立ち」でした。卒団生の晴れの舞台にぴったりの選曲ですね。♪いい日旅立ち 幸福をさがしに 子供の頃に歌った歌を道連れに…。 長い間お疲れ様でした!

今年も会食は見送って散会になりましたが、帰りの電車でいろいろお話できました。「地球を七回半まわれ」で首都高を走る車に乗ってらっしゃるのが後藤田さんではないかといった話題が出てました。それっぽい雰囲気はあるけどよく分からないという結論にはなりましたが、まだまだ隠れキャラが映像に残っているのかもしれないですね。

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2022年12月22日 (木)

『巣立つ日まで』カラオケ映像

『巣立つ日まで』のカラオケ映像というのを見つけました。

https://musicpost.joysound.com/music/musicId:150611

『巣立つ日まで』のカラオケ自体、かなり珍しいのですが、映像が輪をかけてサプライズです。コメント欄にはネタバレを書きましたが、サプライズを味わいたい方は、このまま映像をご覧頂ければと思います。私は何度も見てしまいました。

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2022年10月30日 (日)

【再放送曲】 『フルーツサラダの歌』 (1964年)

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                (Wikipediaより)

『フルーツサラダの歌』の再放送をやっていますね。土曜日夜11時35分からの1回きりの放送なので、すぐに聞き忘れてしまいますが、昨日ようやく聞くことができました。

 ♪ わたしのうちじゃ だれも
 ♪ フルーツサラダ だいすきよ

ペギー葉山さんの軽快な歌声が聞こえてきます。さすがに声がお若いですね。フルーツサラダが美味しそうです。Wikipediaに載ってる写真を載せてみましたが、色鮮やかで食欲をそそります。入れ歯のおばあさんにも喜ばれそうですね。おまけに栄養満点! おとうさんも弟も、もちろん私も大好きです。

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           (水星社テキスト第4集より)

 ♪ フルーツサラダ ジョリジョリジョリ
 ♪ すてきなのよ おいしいのよ

ペギーさんが得意げに歌う様子が目に浮かぶようですね。「フルーツサラダ」がとても早口なのが難しそうですが、「ジョリジョリジョリ」も気になります。野菜サラダだとジョリジョリするのかもしれませんが、フルーツサラダがジョリジョリするのはちょっと不自然です。検索してみると芦野宏さんが歌うバージョンの動画が上がっていて、こちらはフルーツサラダ好きの彼女と結婚して子供も孫もフルーツサラダ好きというストーリーになっていました。でも、芦野さんのバージョンも「ジョリジョリジョリ」です。「フランス こどものうた」という石井好子さんが歌うバージョンでは冒頭から「ジョリジョリジョリジョリジョリージョリ」と繰り返されています。これは一体何なのでしょうか。

ゼッキーノ・ドーロの曲っぽい気がするので原曲と原詞を探してみました。Salade de fruitsで検索するとフルーツサラダのレシピばかりヒットして少し手間取りましたが、「朝倉ノニーの<歌物語>」というサイトに原詞と訳詞が載っていました(http://chantefable2.blog.fc2.com/blog-entry-671.html)。「Salade de fruits」はブールヴィルBourvilというフランスのコメディアン兼俳優さんが1959年に歌った作品ということです。ゼッキーノ・ドーロではないようですね。みんなのうたの初回放送が1964年なので5年ほどたって紹介されたことになります。

 Ta mère t'a donné comme prénom,
 Salade de fruits, oh quel joli nom,
  君の母さんは君に名前をつけた
  フルーツ・サラダって、おー、なんてかわいい名前だ

これが歌いだしです。「君の母さんは君に名前をつけた、フルーツ・サラダ」…ということは「フルーツ・サラダ」は君の名なのですね。君は歌い手の彼女で、要は「フルーツ・サラダ」という名前の女性に求婚をする歌だったのです。なんじゃそれは、と思わず声に出してしまいました。「joli nom」の部分が「かわいい名前」なので、ジョリ(jolie)はかわいいという意味だと分かります。『走れジョリィ』のジョリィも同じ意味かも知れません。というわけで

 ♪ フルーツサラダ ジョリジョリジョリ

は恋人に向けて可愛い、可愛い、可愛いを連呼していたのでした。このあとめでたく結婚して、最後のシーンでは赤ちゃんも生まれています。上記のサイトにはブールヴィルが登場する動画も掲載されていますが、フルーツサラダさんに色目を使いながら迫っていて、あんまり子供のうたという感じではありません。みんなのうたで放送するにあたって、食べ物のフルーツサラダのうたとして翻案されたのでしょう。フルーツサラダ好きの彼女と結婚する芦野さんのバージョンの方が、原曲により近いと言えるかもしれませんね。翻案されても「ジョリジョリ」は残ったのでした。

『フルーツサラダの歌』(1964年)
作詞・訳詞:薩摩忠
作曲:カンフォーラ&ルー
うた:ペギー葉山
編曲:小森昭宏
映像アニメ:横尾忠則、みわとしこ
初回放送:1964年10月

【追記】
横尾忠則さんの映像の一部が水星社テキスト第4集に載ってました。こちらもなかなかジョリジョリしています。とても豪華なフルーツサラダですね!

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           (水星社テキスト第4集より)

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2022年8月 5日 (金)

Kindle版テキストのバックナンバー

Kindle版のみんなのうたテキストは電子版なのでいつでもバックナンバーを買えると思ってましたが、全然そんなことないのですね。在庫を抱える必要も配送の手間もないはずなので、主に権利の関係なのでしょうか。2022年8月現在で買えるのは以下の号のみのようです。

2022年8月・9月

2022年6月・7月

2022年4月・5月

2022年2月・3月

2021年12月・2022年1月

2021年10月・11月

これだけしかヒットしないということはないということなんでしょうね。後から買えるとか思わず、その都度買っておく必要があるようです。

 

 

 

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2022年3月28日 (月)

『今日の日はさようなら』 (1974年)

 ♪ いつまでも絶えることなく
 ♪ 友達でいよう

おなじみのメロディが再放送されています。映像つきでは1975年の再放送以来、47年ぶりになるようですね。駅のシーンは四谷駅みたいです。昔の中央線が懐かしいですね。公園のシーンは舞台や噴水が特徴的で、すぐにどこかわかりそうですが、存外分かりません。最後の電車が右に曲がっていくシーンも画面左上に「救世軍本営」、右上に「日刊工業新聞」の文字が見えて、すぐ場所が分かりそうですが、どちらも今は鉄道沿いにはなくて、やっぱりよく分かりません。50年近い時の流れを感じさせられます。

「みんなのうた」での初回放送は1974年で、私が小学校を卒業するときに流れていました。2,3月のうただったのも卒業シーズンを意識してのことかもしれないですね。当時のテキストには「学校で職場で愛唱されている歌です」とあります。森山良子さんの歌で知られるようになったのが1967年のことですから、すでに広く親しまれていたのでしょう。数年前まで私が参加していたうたの会のエンディングテーマもこの曲でした。最後に

 ♪ 今日の日はさようなら
 ♪ またあう日まで

とうたって解散する感じでした。そういう場面にピッタリの曲ですね。

作詞・作曲者の金子詔一さんがこの曲をつくられたのが1966年のことです。今回調べていて、曲が誕生した場所が調布市のつつじが丘であることをはじめて知りました。つつじが丘というと『おもいでのアルバム』がつくられたところで、京王線の駅の発車メロディーにも『おもいでのアルバム』が使われています。「みんなのうた」の楽曲が2曲もつくられた場所というのは、そうざらにはないのではないでしょうか。ちなみにつつじが丘駅の二つ新宿よりの千歳烏山駅は『それ行け3組』がつくられた烏山北小学校の最寄り駅ですから、3曲も近所でつくられている「みんなのうた」のホットスポットと言ってもいいかもしれません。

Wikipediaによると『今日の日はさようなら』がつくられたつつじが丘児童館に歌碑が建立されているということなので、見に行ってみました。つつじが丘駅から歩いて5分ほどでしょうか。確かに児童館の入り口の左わきに歌碑が建っていました。「今日の日はさようなら歌誕生ゆかりの地調布」という文字が刻まれています。

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左側には楽譜と3番までの歌詞と、歌がうまれたいきさつを記した金属板が掲げられています。「調布で青少年活動をしていたボランティアグループの若者たちが、つどいの最後に「また会おう」の思いを込め、作詞作曲した金子詔一さんのギター伴奏で、声を合わせて歌った曲です」と刻まれています。当時の様子が、目に浮かびますね。

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左側には鉄琴が設置されていました。ドレミファソラシドなのかと思ったら、左からソミファソラララソファ♯ソファミと並んでいます。リズムを合わせて順に叩くと、いーつまでもーたえるーことなくーとなるのでした。粋な仕掛けですね。

信頼、友情、自由、希望。『今日の日はさようなら』では、これらの大切さが平易な歌詞で表現されています。とても分かりやすい表現の背後には、これらが失われてしまうような厳しい状況があったようです。こちらの記事によると、金子さんは1963年に西ドイツに行かれて「ベルリンの壁」を目にされたそうです。散弾の跡がいくつも残る壁。壁を越えようと試みて、毎日、何人もの人が殺されていた…。厳しい現実を目の前にしつつも、ふと空を見上げると翼を広げた鳩が自由に壁の上を飛んでいたのだそうです。

 ♪ 空を飛ぶ鳥のように
 ♪ 自由に生きる

この歌詞はこのような体験を元にして生まれたものだったのですね。

それから56年。この曲の再放送に合わせるかのように、多くの人が切実に自由や希望を求めなければいけないような状況が再び生じてしまいました。偶然と呼ぶにはあまりに悲しいことですが、永遠に立ちはだかると思われたベルリンの壁が消え去ったように、事態が好転することを祈りながら歌わずにはいられません。

 ♪ 明日の日を夢見て
 ♪ 希望の道を…

 

『今日の日はさようなら』
作詞:金子詔一
作曲:金子詔一
編曲:福田和禾子
うた:本田路津子、東京放送児童合唱団
映像:実写
初回放送:1974年2,3月

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2022年3月 6日 (日)

空夢風花 ~60フィナーレ~

それで帰ってから録画しておいた「みんなのうた60フィナーレ」を見ました。フィナーレと言うだけあって、たくさんの曲が次から次へと少しずつ流れて、最終回の回想シーンみたいでしたね。84曲ほどが登場したと思いますが、数え間違いがあるかもしれません。フルで流れたのは芹洋子さんが生で歌われた『おもいでのアルバム』だけで、ワンコーラスも流れていない曲が大半でした。

今回もテキストマイニングの分析が紹介されていましたが、歌詞の頻出語の分析が面白かったです。「ママ」「パパ」が多いのはそんな気がしますが「おかあさん」「おとうさん」は10位以内に入らないのですね。『ママごめんなさい』とか『ママの結婚』とか確かに60年代から「ママ」は続けて登場するけど、最近は「おかあさん」は登場しないと言う事かもしれません。

「バナナ」が多いのは言われてみるとそうですね。「パン」は『パンのマーチ』ぐらいしか浮かんでこないです。名詞部門で9位は意外でした。というか、グラフによると「パン」は70回ぐらいになってますが『パンのマーチ』1曲で70回ぐらいは出てきてそうですね。『ママのママのママ』なんかも「ママ」が増えてる一因なのでしょう。

漢字一文字部門では「空」「夢」「風」「花」の順に多いのですね。これは何かわかる気がします。「空」は万人に開かれていて「みんなのうた」のコンセプトにぴったりの言葉です。「風」は「空」と相性が良いですし、人生の転変を感じさせる言葉でもあります。その先に「花」咲く未来を「夢」見る。これもまた多くの人々の希望ではないでしょうか。「みんな」のうたを象徴する言葉が歌詞に選ばれやすいのかもしれませんね。

日本の歌謡曲全般で分析すると「愛」や「恋」、「女」や「男」が多そうで、それも多くの人にとって大事なモチーフですが、「みんなのうた」はまた別の側面から人生を捉えようとしているのかもしれません。「空」が多いというのは、何かしら嬉しいですね。

ただ、年代別に見ると「空」が上位に入るのは、1990年代までです。2000年代は「風」が首位となり、社会の転変を表しているようです。2010年代は「風」も姿を消して、「笑顔」「優しい」「心」が上位に入っています。笑顔や優しさをダイレクトに歌わなければならない世の中になってきているということかもしれません。「今」「今日」「涙」「明日」「花」「夢」「見る」というワードも、今の生きづらさを暗示しているようです。

2010年代に引き続き、2020年代も早速前途多難ですが、「みんなのうた」も還暦でもありますし、最初のワードに戻って小田さんがおっしゃるように「声」を合わせてあの「歌」をいつかみんなでまた「歌う」ことができるようになって欲しいものですね。どこまでも続く「青い」「空」を見上げながら…

 

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2022年2月23日 (水)

みんなのうた名曲100歌

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昨日Apple Musicでみんなのうたの新曲を検索していたら、こんなのが見つかりました。レコード版の復刻版のようで、レコード自体は家にあるのですが、スマホでシャッフル再生できるのはありがたいですね。去年の暮れに追加されたようです。

おおむね1960年代の曲が100曲並んでいます。カバー曲も多いのですが、オリジナルの歌手が歌っているものも存外たくさん入ってるのがいいですね。再生時間は4時間を超え、一人みんなのうた三昧が楽しめそうです。

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2022年1月30日 (日)

みんなのうた60 セレクション2

セレクション2は90年代、00年代の曲も放送されてましたね。80年代以前5曲、90、00年代4曲、10年代以降3曲とセレクション1より満遍ない選曲だったといえるでしょう。ただ12曲縛りはあったようでロングバージョンの放送はありませんでした。

90年代代表は『アフターマン』。ロケット、コンピュータがザクザクならまだかっこいいですが、実際はプラごみザクザクになりそうですね。「プラ島太郎」というACのポスターで、玉手箱がプラごみだらけというネタを昨日見かけました。アフターマンのみなさんにも申し訳ない玉手箱になりそうです。

00年代からは『ぼくはくま』と『名もない花のように』『あさなゆうな』がエントリーです。まくまくんは三昧でも流れてました。『あさなゆうな』はうちが地デジ化前でアナログで録画していた頃の作品です。今日は綺麗な画像で録画できて良かったです。穏やかな気持ちになれる曲ですね。『名もない花のように』は番組冒頭では2010年と紹介されてましたが、実際は2000年が初回放送でした。

最後は『小さきものたち』。少しずつでも前に進んでいこうという気分になります。セレクション1の最後はエレカシの『風と共に』で「行き先は自由!」という歌詞が印象的でした。どちらもこれからのみんなのうたの決意表明のような気がしますね。

【放送曲一覧】

『ぼくはくま』(2006)

『ビーフストロガノフ』(2014)

『星うらないキラキラ』(1983)

『ラジャ・マハラジャー』(1985)

『アスタ・ルエゴ 〜さよなら月の猫〜』(1977)

『北風小僧の寒太郎』(1974)

『アフターマン』(1994)

『おはようクレヨン』(1987)

『うんだらか うだすぽん』(2017)

『名もない花のように』(2000)

『あさなゆうな』(2009)

『小さきものたち』(2021)

 

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2022年1月26日 (水)

みんなのうた60AI特番 続き

みんなのうた60 AIスペシャルの続きです。「気持ち」を表す語句と曲名の対応を一覧表にしてみました。番組では順位が示されていましたが、ここでは1位を5点、2位を4点…などの形で得点に換算してあります。

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こうすると『月のワルツ』は「好き」ポイントが5点、「不思議」ポイントが4点とか、『メトロポリタン美術館』は「好き」が4点、「楽しい」が4点、「懐かしい」が3点、「不思議」が3点だった、とか解釈することができるようになります。『月のワルツ』は不思議な世界観が好きだったという思い出が多かったようですね。『メトロポリタン美術館』は「不思議」「楽しい」「好き」「懐かしい」といった、多様な感情を喚起する作品だったようです。

気持ち得点の合計を求めてみますと、『メトロポリタン美術館』が14点で1位、『WAになっておどろう』が10点で2位、『月のワルツ』と『太陽と月の子供たち』9点で3位タイとなります。『WAになっておどろう』は楽しくて元気が出て笑顔になれる曲、『太陽と月の子供たち』は優しい気持ちなって元気が出て好きだった曲となりそうです。それぞれ納得できる気がしますね。

元データがあれば、もっと多くの曲についてこういう特徴づけができるのですが、放送で紹介されていたデータからだけでもこんな分析をすることができました。

表は省略しますが、学校に関する語句を加えて同様の一覧表を作成してみました。そして合計ポイントが上位の曲について語句との関連や曲と曲との関連を双対尺度法という方法で視覚化してみました。双対尺度法はザックリいうと似たパターンをもつ曲や語句を近くに、似てない曲や語句を遠くに配置する方法で、テキストマイニングするときの定番の分析方法です。

その結果が次の図になります。

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ちょっとごちゃごちゃしていて見づらいですが、右上の方に「笑う」「元気」「楽しい」といった語句が並んでいて互いに関連が深いことを示しています。もう少し、真ん中よりには「不思議」「好き」「小学校」「懐かしい」といった語句も見られます。『まっくら森の歌』『メトロポリタン美術館』『月のワルツ』はこの近くに位置していますね。小学校のころ好きだった、懐かしい不思議ソングということになるでしょうか。

左の方には「クラス」「先生」「卒業」といった学校生活を示す語句が並んでいます。「中学校」がここの近くにあるのが興味深いですね。『YELL』や『手紙』のような学校生活が一番実感されるのが中学生時代ということかもしれません。

『それ行け3組』『せんせ ほんまにほんま』『ありがとう・さようなら』は小学校時代を扱った楽曲なのですが、学校生活のカテゴリーとして思い出に残っているようです。「小学校」という語句は「小学校のころ好きだった曲」という意味合いでも使われるせいか『メトロポリタン美術館』や『北風小僧の寒太郎』の近くに位置していますが、『それ行け3組』とかはまた違った記憶への残り方をしているのでしょう。

図の右下方面に目を転じると「優しい」「幼稚園」という語句があり、『お弁当ばこのうた』が対応しています。子供が幼稚園のころ作った優しい思い出に結びついているのでしょうか。

さらに右下に離れて「泣く」があります。他の気持ちと比べて涙の要素がかなり異質であることが伺えます。この図で対応しているのは『きっとしあわせ』で、子育てに追われる慌ただしい日々のなかで、子供が生まれたときの感動を思い起こす曲でした。いっとき、ものすごい勢いで連続して再放送してましたね。確かに泣いてしまう親御さんも多かったことでしょう。子供が生まれるという、人生の大きな節目を思い起こさせる感情で確かに他の気持ちとは異なっています。

この図にはあがっていませんが、『こだぬきポンポ』や『小犬のプルー』も「泣く」に対応する曲でした。これらは別れという人生の大きな出来事を扱っています。番組では『エレファン』も紹介されていましたね。これもまさに永遠の別れをテーマにしています。「泣く」というのは冠婚葬祭級の人生の大きな出来事に結びつく感情で、そういう意味で「楽しい」とか「笑う」とかとは違った別格な位置づけになっているのでしょう。

その中でも子供の誕生は大きなウェイトを占めているようで、「優しい」や「幼稚園」が「泣く」に近い方向性をもっているのは、そのためなのかもしれません。子供や孫の誕生とともに両親や祖父母の世代が繰り返しみんなのうたの世界に立ち返ってきているさまを、右下の語句たちは示している可能性があります。

以上、少ないデータをもとにやや強引に推論してみましたが、元データをつかってきちんとテキストマイニングすれば「みんなのうた」には大きく次の3つの側面があると、もう少し自信をもっていえるようになるかもしれません。「みんなのうた」は元気で楽しくときに不思議な子供たちのうたであるとともに、それは学校生活の友であり、人生の節目節目に寄り添う人生の伴走者でもあると。

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2022年1月25日 (火)

みんなのうた60 AI特番

「みんなのうた60特番 AIでせまる! とっておきの思い出スペシャル!」を見ました。AIと言っても深層学習とかするわけではなく、通常のテキストマイニングでしたが、それなりに面白かったですね。

「思い出」の文章に登場する単語を、対象となる曲名に紐づけながら集計するという、一番簡単なテキストマイニングの手法が使われていました。頻出単語は1位「学校」、2位「テレビ」、3位「子ども」、4位「映像、アニメ」、5位「歌詞」、6位「気持ち」、7位「思い出」、8位「歌声」だったようです。

<小中学校や幼稚園に通っていた子供のころ、テレビから流れてくる歌声や映像にくぎ付けになり、歌詞を聞くにつれ当時の気持ちが蘇ってくる…>といったお便りが多かったことが伺えます。みんなのうたが子供の心に強く残り、小学校や中学校のころの気持ちによりそう存在であったことが確認できますね。私にとってもそうですし、多くの人にとってもそうだったことでしょう。

「学校」と「気持ち」のカテゴリーに含まれる語句と、それぞれの語句に紐づけられる曲名も紹介されていました。「学校」については次の通りです。おそらく「学校」のカテゴリーのなかでも頻度が高かった順で、さらに曲名も頻度が高かった順になります。

「小学校」…『月のワルツ』『メトロポリタン美術館』『コンピューターおばあちゃん』『恋するニワトリ』『ありがとう・さようなら』
『月のワルツ』が小学生部門の一位なのが意外です。90年代生まれの方の回答が結構多かったのかもしれませんね。『ありがとう・さようなら』は小学校の卒業式の記憶と結びつくでしょう。『恋するニワトリ』がここに入っているのも面白いです。

「中学校」…『手紙 ~拝啓十五の君へ~』『巣立つ日まで』『月のワルツ』『ふるさと』『YELL』
『手紙』は順当ですね。『YELL』と並んでNコンの課題曲でもありました。『巣立つ日まで』は私の中学生時代の思い出の曲です。そういう人も多かったようですね。映像が発掘されて良かったです。

「幼稚園」…『お弁当ばこのうた ~あなたへのお手紙』『おもいでのアルバム』『赤鬼と青鬼のタンゴ』『北風小僧の寒太郎』『おはようクレヨン』
幼稚園部門で『お弁当ばこ』は意外です。幼稚園時代の記憶というよりも、子供が幼稚園の頃にお弁当を作ってました、という思い出話なのでしょうか。『おもいでのアルバム』も本人というよりご両親の思い出なのでしょう。あとの3曲は自分が幼稚園時代にきいた歌ということかもしれませんね。

「高校生」…『算数チャチャチャ』『月のワルツ』『高校3年生』『お弁当ばこのうた ~あなたへのお手紙』『太陽と月のこどもたち』
高校部門で『算数チャチャチャ』はよく分かります。「sinを割ることcosはtanのことさ」とか、「2辺が1:√3、斜辺が2となるね」とか、まさしく高校時代に重宝しました。そういう人が多かったみたいですね。『お弁当ばこ』がこちらにも入っているのは、今度はつくってもらった側の記憶なのでしょう。

「先生」…『せんせ ほんまにほんま』『ありがとう・さようなら』『それ行け3組』『手紙 ~拝啓十五の君へ~』『ふるさと』
『せんせ ほんまにほんま』はそのまんまですね。担任の先生が結婚したやめた経験のある人も多そうです。先生がマントヒヒだった人も多かったのかもしれません。

「クラス」…『それ行け3組』『手紙 ~拝啓十五の君へ~』『ありがとう・さようなら』『証(あかし)』『コンピューターおばあちゃん』
ここに『それ行け3組』が入るのはうなづけます。『証(あかし)』が入っているのもいいですね。クラスメートとの思い出なのかもしれません。『コンピューターおばあちゃん』はクラスで歌ったのでしょうか。

「卒業」…『ありがとう・さようなら』『手紙 ~拝啓十五の君へ~』『YELL』『ふるさと』『友 ~旅立ちの時~』
ここは卒業ソングが並びます。『卒業前 ~10日で100の出来事~』とか『旅立ちのうた』とか『翼が今』とかも入ってほしいところですが、激戦区なので涙を飲んだかもしれません。

「大学生」…『太陽と月のこどもたち』『メトロポリタン美術館』『月のワルツ』『魔法の料理 ~君から君へ~』『セルの恋』
「大学生」のいう語句自体が思い出の中にあまり出てきてないせいか、いまいちつながりがつかめない曲が多いですね。『太陽と月』は子供が大学生になった感慨が寄せられているのかもしれません。『魔法の料理』は大学生になって子供のころを振り返ったときの記憶と重なる感じでしょうか。

長くなりましたので「気持ち」編は、また後程にしましょう。

 

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