2012年2月 2日 (木)

なんちゃってブーツストラップ

12カ国のデータで偏相関を検定しなければならなくなったので、ブーツストラップ法を試して見ることにしました。

12カ国からランダムに2カ国を落とすという操作を何回か行って偏相関を計算し、その結果の分布から偏相関の頑健性をみようという試みです。

さっきランダムに2カ国落とすという操作をエクセルでやってみました。マクロを組むべきなんでしょうけどとりあえず手操作です。国名とデータの前にRAND()関数を入力する列を作ってランダムな数字を国に割り当てます。この数字で並び替えを行って、上から10カ国のデータをコピペするという操作を20回行ってみました。

本当はもっとやるべきなんでしょうけど、今回は実験的に20でやってみます。RAND()関数を使えばランダムな並び替えが簡単にできるのが収穫でした。

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2012年1月18日 (水)

大体できた

学会の報告要旨が大体できたので一安心です。たまには学会発表しないとね。

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2010年3月11日 (木)

一般的信頼と気温

WVS(世界価値観調査)によると、北欧の国々が一般的信頼が高く、南欧の国々は一般的信頼が低く、アフリカや南米の国々ではもっと低いという傾向が見られますので、それぞれの国の平均気温と一般的信頼との関係を見てみました。

気象庁のHPに載っている世界各都市の平均気温のデータを使って、一つの国の複数の都市のデータがある場合はその平均をとり、一つの都市のデータしかない場合はその都市のデータで代用することで各国の平均気温が求めてあります。ひょっとすると最低気温とか最低と最高の気温の差が重要なのかもしれませんが、とりあえず平均気温について調べてみると図のようになりました。

Photo

あまりきれいな関係ではありませんが、大まかに見て平均気温の高い国は一般的信頼が低く、平均気温の高い国は一般的信頼が低いという傾向が見られます。相関係数は-0.39ですので、そこそこの関連があるといえます。

よくみるとロシアは気温が低いわりに一般的信頼が低かったり、タイやインドネシアやベトナムといった東南アジア諸国は気温が高いわりに一般的信頼が高かったりしています。当然のことながら気温以外の要因もあることが伺われるわけですが、気温との関連も少なからずあるところが興味深いですね。一つには気温の低い地域に先進国が多く、気温の高い地域に途上国が多いことの影響があるでしょう。一般的信頼は所得や一人当たりGDPとの相関がありますので、これらの影響を介した偽相関という可能性があります(気温と一人当たりGDPに相関があるというのも考えてみれば不思議な話ですが)

あるいは、寒い地域では見知らぬ同士を含めた大勢の人間が協力をしないと生活をしていくのが難しいのにたいし、暖かい地域では知人や血縁者同士の少人数で助け合うことでとりあえず生活が可能だという条件が関係しているのかもしれません(もちろん、気温以外の自然条件にもよりますが)。多人数の協力が必要でも多人数の協力が実現するとは限らないのですが、その必要性が低いところで見知らぬ同士の協力が発達する可能性はより低いでしょう。そういう側面から一般的信頼の高低を考察してみるのもおもしろそうです。

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2010年3月10日 (水)

一般的信頼の文化的継承(Uslaner 2008)

これも草稿なのですがおもしろい論文です。アメリカのGSS(一般社会調査)にある先祖の出身国の質問を利用して、アメリカ国民をアングロサクソン系、ドイツ系、北欧系、ラテン系、アフリカ系などに分け、それぞれの一般的信頼の程度(たいていの人は信頼できると思いますか、という質問にイエスと答えた割合)を調査しています。

その結果、一番一般的信頼が高かったのが北欧系(59%がたいていの人は信頼できると答えた)、次がアングロサクソン系(54%)、以下アイルランド系(49%)、フランス系(48%)、ロシア系(48%)、東欧系(47%)、ドイツ系(47%)、イタリア系(39%)、スペイン系(30%)、もっとも一般的信頼が低かったのがアフリカ系(18%)となりました。この数字は、移民の出身国における一般的信頼をある程度反映していて、WVS(世界価値観調査)によると北欧諸国は世界で一番一般的信頼が高くて58%が信頼できると答えていますし、イギリス系諸国やアイルランドも比較的高い値(それぞれ44%、47%)を示しています。逆に、イタリアやスペイン、アフリカ諸国の一般的信頼は低くて、イタリア(35%)、スペイン(21%)、アフリカ諸国(17%)となっています。

フランス系やロシア系のように出身国の一般的信頼(それぞれ23%と24%)よりアメリカに渡った移民の方が高い値を示す例もありますが、総じて出身国の一般的信頼の高低がアメリカにわたった移民(2世や3世を含む)の一般的信頼の高低に反映していることが見て取れます(相関係数は0.73)。

これは一般的信頼の高低が文化的にかなり安定していることを示す結果ですが、理由としてはそれぞれの民族グループが子供のころに受けた教育やしつけの結果として形成された一般的信頼がその後も維持されている可能性が考えられます。あるいは、周囲に同じ民族グループが住んでいることによって影響を受ける可能性もあるでしょう。ウルスナーは、それぞれの州に住んでいるそれぞれの民族グループの割合をいくつかのウェブサイトで調べて、周囲にすむ民族グループの割合が一般的信頼のレベルに及ぼす影響を検討してみました。

分析は、一般的信頼の質問にイエスかノーかどちらを答えるかを目的変数とするプロビット回帰分析で行われています。説明変数としては、それぞれの民族グループに属することを示すダミー変数、州におけるそれぞれの民族グループの割合の他、統制変数として年齢、教育年数、世の中に対する楽観主義、役人に対する信頼、科学への信頼、友人関係への満足、宗教活動への参加が投入されました。

その結果、それぞれの統制変数は有意に影響を持つ一方で、いくつかの民族グループへの所属と周囲の民族グループの割合が一般的信頼の質問にイエスと答える確率に有意に影響を与えていました。すなわち、北欧系の民族グループに属することは「たいていの人が信頼できる」という質問にイエスと答える確率を9.6ポイント押し上げる効果をもっていました。同様にアングロサクソン系であることは4.8ポイントの押し上げ要因である一方、ラテン系であることは5.5ポイントの押し下げ要因、アフリカ系であることは17ポイントの大きな押し下げ要因になっていました。

州における民族の割合では、ドイツ系とアングロサクソン系の割合が一般的信頼の押し上げ要因、イタリア系の割合が押し下げ要因でした。効果の大きさを表現するのは難しいのですがドイツ系の場合ですと、シェアが最小の州と最大の州で比較すると一般的信頼を10ポイント引き上げる効果となります。同様にアングロサクソン系は7ポイントの押し上げ要因、イタリア系は3ポイントの押し下げ要因です。北欧系の存在は周囲の信頼を押し上げる効果を持ってないようようです。北欧系の人々が存外閉鎖的なコミュニティを形成しているのか、周囲の信頼の押し上げ効果や押し下げ効果自体が不安定なものなのか良くわかりませんが、ウルスナーは後者の解釈をとって信頼の形成における文化的な継承効果は社会環境による促進効果より大きいと結論付けています。ただ、分析結果をみる限りでは民族グループのシェアの影響もそれなりに大きいので、実際には子供のころの教育に由来する継承効果と、大人になってからの経験に由来する社会環境からの促進効果の両方が重要であると見るべきだと思います。

このように大人になってからの環境が信頼に与える影響は見られるものの、子供のころの教育が信頼に与える影響と思われる成分がはっきり見られることをこの論文は示しています。学習ダイナミクス的には初期値の効果が大人になってからの学習を経ても残ることを意味しますし、コーホート分析の文脈では生まれた世代に依存するコーホート効果はやはり大きい可能性を示しています。一般的信頼のダイナミクスを考える上で重要な知見といえるでしょう。

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2010年2月12日 (金)

日本の一般信頼推移

WVS(世界価値観調査)のデータによると、日本の一般信頼は第2波~第5波の調査では若干の低下はあるものの大きな変化を示してはいませんでした。日本のついては実は1981年の第1波から2005年までの第5波までデータがそろっていますので、この間の変化を全部示すと図のようになります。

Photo

図から「たいていの人は信頼できると思いますか」という質問に「はい」と答える人の割合は、1981年から1995年にかけて5ポイントあがったあと、2005年にかけて7ポイント下がっていることがわかります。はじめと最後だけ見ると大きな変化はないように見えますが、途中をみると結構アップダウンがあったようですね。 WVSのオンライン集計機能では年齢別に集計することもできますので、この変化の中身をもう少し詳しく追跡することができます。

Photo_2

図は1911年生まれの世代から1981年生まれの世代まで、10年刻みに世代を区切ってそれぞれの年代生まれの人々が各年代に「たいていの人は信頼できる」と答えた割合(一般信頼の強さ)の変化を示したものです。このグラフをみると1921年生まれ(正確には前後5年の生まれの人を含みますが)の人は、他の年代生まれの人と比べて一般信頼が低いことがわかります。この世代の人は1981年と1990年の調査で調査対象になっていますが、いずれでも30%前後の低い一般信頼を示しています。この世代の人が1995年の調査では75才以上になって調査対象からはずれたことが、1995年の全体データで一般信頼が上がった原因になっているようです。

他の年代生まれの人々は40%~50%の一般信頼を示していて、2000年までは大きな変化を示していません。それが2005年になって1951年生まれ、1961年生まれ、1971年生まれの世代で6ポイントから9ポイントほど一気に値が下がったのが2005年で40%を割った直接の原因と考えられます。 大ざっぱにみて一般信頼が低めだった第二次大戦前生まれの世代が退場していくことで、一般信頼が上昇し、一般信頼が高めだった団塊~団塊ジュニアの世代の一般信頼が21世紀に入って下がることで全体の一般信頼も低下したようです。

2010年に第6波の調査が行われますので、この傾向が続いて一般信頼が続落するのか、あるいは下げ止まるのかが気になりますね。1981年生まれの世代が、43%の高めの数値で参入して2005年にも42%で踏みとどまってますので、この傾向が続けば下げ止まる可能性もあります。1991年生まれの一番若い世代も今年の調査から調査対象になりますので、この世代の動向も注目されます。

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2010年2月10日 (水)

信頼の低下(WVS2波~5波より)

1 Switzerland 11%
2 Norway 9%
3 Germany 5%
4 Brazil 3%
5 Sweden 2%
6 Slovenia 1%
7 Japan -3%
8 Finland -4%
9 France -4%
10 Italy -5%
11 Turkey -5%
12 Argentina -6%
13 Republic of Korea -6%
14 China -8%
15 Netherlands -8%
16 Bulgaria -8%
17 South Africa -10%
18 Canada -10%
19 Chile -10%
20 Russian Federation -11%
21 India -12%
22 United States -12%
23 Poland -13%
24 Great Britain -13%
25 Spain -14%
26 Mexico -18%

Photo

WVS(世界価値観調査)のデータを用いて一般信頼 の変化を調べてみました。WVSは1波(1981-84) 、2波(1989-93)、3波(1994-99)、4波 (1999-04)、5波(2006-09)の5波にわたって 行われてますので、最長で1波~5波の25年にわ たる変化を見ることができます。ただ1波は実施されている国が少なく、1派と5 波の両方が実施されている国は13カ国しかありま せん。2波と5波ですと26カ国で変化が見れます ので、上では2波と5波の間、15年ほどの間の一 般信頼の変化についてランキングを作成してみま した。

一見してわかるのは多くの国で一般信頼の数値が 低下していることです。スイスやノルウェイのよ うに、10ポイント前後増えている国もあるのです が、アメリカ、ロシア(2波当時はソ連ですが) 、イギリス、スペイン、インド、メキシコといっ た国々では10ポイント以上低下しています。5ポ イント以上増えた国が3カ国であるのに対し、5 ポイント以上減っている国は17カ国にのぼり、世 界全体では一般信頼は低下の傾向にあるといえる でしょう。

26カ国全体では6ポイントほどの減少で、これが 温室効果ガスだったら結構な話なのですが、人々 一般に対する信頼が世界的に失われてきていると いうのは困ったことです。ちなみに日本は3ポイ ントの減少で、誤差の範囲といってもいい数値で すが、主要な国々では有意に大きく下がっていま す。その原因は何なのか、その中でもスイスやノ ルウェイというもともと一般信頼の高い国々がさ らに増えているのはなぜなのか。そこら辺を探っ ていくことが低信頼の国と高信頼の国があること のなぞを解く鍵にもなりそうです。

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2010年2月 8日 (月)

WVS(世界価値観調査)再び

この3日ほど久しぶりにWVS(世界価値観調査)のデータを眺めています。GSS(一般社会調査)も巨大なデータセットですが、WVSは世界60ヵ国を対象に1980年代から5波に渡って実施されている巨大調査なので、データをざっと眺めるだけで世界旅行気分が味わえますね。

とりあえずオンライン集計の機能を使って、どんな変数があるのか眺めながら少し分析しています。信頼については「一般信頼」の他に「近所の人に対する信頼」「知人に対する信頼」「初対面の人に対する信頼」「宗教の違う人に対する信頼」「外国人に対する信頼」が質問されていてある程度信頼の中身が分かるようになっています。

これらの変数について国内の分散と国の間での違いをしめす国際分散を求めてみると、国内分散が85%ほどで国際分散が15%ほどになりました。国同士の違いよりそれぞれの国の中での違いの方がずっと大きいようです。国の違いに注目するより個人の違いに注目して分析した方がいいかもしれません。

さしあたり各国のデータをプールした形で信頼の経年変化をみてみようかと思ってます。オンライン集計で三重クロスまでできるので、相当細かい分析までできそうです。

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2010年1月12日 (火)

サークル活動シミュレーションの結果

何はともあれ、シミュレーションの結果を紹介しておきましょう。

1月3日の項に書いたセッティングでサークルの名簿上の参加者を100人とし、参加の満足度とコストをいろいろ変えてシミュレーションを行ってみました。

参加の満足度は参加者が少ないと0に近く、十分多いと10に近くなるように設定してあります。また、満足度が5になる人数を「中央値」として、中央値より20人少ないときの満足度が1、中央値より20人多いときの満足度が9になるような満足度関数を仮定しました。たとえば、中央値が30人のときは、参加者が10人のときの満足度が1、30人のときの満足度が5、50人のときの満足度が9となります。この中央値を10人から90人まで変えてシミュレーションを行いました。

参加のコストは1から10まで変化させてあります。参加コスト3で中央値が30人の場合についてシミュレーションを行った結果の一例が図1です。満足感の初期値を10として走らせてあるので最初の参加人数が80人ほどですが、その後少し減って参加人数は60数人前後で安定します。参加人数が50人を超えてますので参加者の満足度は10より少ないもののそれに近い値となり、コスト3を気にしてお休みする人が30数人いても活動が維持されていると考えられます。Photo_2 

参加のコストを5にした場合の結果が図2です。コストが大きい分、毎回お休みする人が増えますがそれでも50人前後の参加人数で安定しました。参加者50人のときの満足感が9ほどですので、コストが5あってもそこそこの活動が維持されています。Photo_3 

参加のコストを7にした場合が図3です。さすがにコストが大きいため参加者が少なくなります。50人のラインを割り込んで30人余りになったあたりでいったん踏みとどまる気配を見せましたが、150ターン付近で30人を切るとずるずると人が来なくなってしまいました。30人の時の満足度を5と設定していますので、30台半ばの人数では満足度が6ぐらいです。コスト7には及びませんがそれでも6/(6+9)=0.4なので40%ぐらいの確率では人が来てくれる満足度を維持しています。Photo_4 

それが30人あまりの人数でしばらく踏みとどまった要因ですが、40%というのは平均した参加確率なので個別の会合ではそれより多かったり少なかったりします。たまたま、30人を切るような会合が何回か続くと満足度は5を割ってしまい、せっかく来てくれた参加者が失望して会合に足を運んでくれなくなります。こうなるといけません。30人の参加者がさらに減って、また参加者の満足度が減り、それでまた次に来る人が減り‥という悪循環で、サークル活動が停止してしまったと考えられます。

このようなシミュレーションを、参加コスト、中央値をさまざまに変えながら行いました。その結果が図4です。横軸が参加コスト、縦軸が満足度が5になる参加人数を表します。それぞれの条件で500ターンずつシミュレーションを走らせたときの最後の50ターンの参加人数の平均が薄緑、黄色、赤、青の色分けで示されています。このうち、色が青で表される領域は参加人数の平均が20人以下となっていることを表していて、実質サークル活動が停止する領域となっています。Photo_5

この結果、中央値が20人以下の場合は参加コストが10になってもサークル活動がある程度維持されることがわかりました。中央値より20人すくないときの満足度が1になる満足度関数を用いてますので、中央値が20人以下ということは参加者が1人や2人でもある程度の満足感が得られることをしめしています。この場合は、参加コストが満足度の最大値を上回っていても2割以上の参加を得て、活動が維持されうるようです。

中央値が30人の場合が図1~3で示した場合に相当しますが、参加コストが6程度を境にして活動が維持されなくなっています。中央値があがるにつれて、活動停止の領域が広がっていって中央値が50人のときはコスト3、中央値が60人のときはコスト2で活動が停止してしまいます。中央値50人とは名簿上の参加者の半数が参加しているときの満足度が5(最大値の半分)になっている場合で、この場合は参加コストが満足度の最大値の3分の1を越えると活動が維持できません。6割参加時の満足度が最大値の半分のときは、コストが満足度最大値の5分の1に達してもだめで、活動維持のハードルはかなり高いといえるでしょう。

このようにサークル活動の持続可能性は参加人数に対してメンバーがどの程度満足感を感じるかという点に敏感に影響されるようです。少ない人数でも満足感の得られる活動はコストがかなり高くても存続できますが、人数がかなりいないと不満がでるような活動では相当コストを減らすか、満足度の最大値をあげて大きな達成感を得られる活動でないと持続可能にはならないと言えそうです。

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2010年1月 3日 (日)

サークル活動のシミュレーション 1

前回、サークル活動への参加には名簿への参加と日常活動への参加の2段階があるという考察を行いましたが、このうち日常活動への参加について簡単なシミュレーションモデルを作って見ました。
 
名簿上の参加者がN人いるサークルを考えます。このサークルは定期的な活動を行っていて、名簿上の参加者はこの日常活動に参加するかしないかを毎回意思決定することになります。このとき、定期活動の「楽しいイメージ」が思い浮かぶとそのメンバーは次の活動に参加するし、「面倒なイメージ」が思い浮かぶと参加しないものとしましょう。

それぞれのイメージは「楽しい側面」についてのイメージスコアと、「面倒な側面」についてのイメージスコアに比例した確率で、定期活動の前日にポワーンと思い浮かぶものと仮定します。以上がシミュレーションの基本セッティングになります。

具体的には次のように仮定しました。
i番目のメンバーの時刻tにおける楽しさイメージスコアをBi(t)、面倒さイメージスコアをCi(t)とします。B、Cはそれぞれベネフィットとコストを意味します。このようにおくと、i番目のメンバーが時刻tに行われる定期活動に参加する確率pi(t)は

    pi(t)=Bi(t)/(Bi(t)+Ci(t))

となります。参加確率は楽しさイメージスコアBi(t)に比例しますし、参加しない確率

    1-pi(t)=Ci(t)/(Bi(t)+Ci(t))

は面倒さイメージスコアCi(t)に比例することを確認しておきましょう。

このように仮定すると、大雑把にいってNpi(t)人が定期活動に参加することになりますし、N(1-pi(t))人はお休みすることになります。時刻tにおける参加人数をx(t)人とすると、大体

    x(t)=Npi(t)

となると考えられるでしょう。

さて、定期活動に参加したとき沢山のメンバーが集まって活発に活動していると楽しいですし、充実感が得られます。逆に参加してみたものの他に人がほとんど来ていないとつまらないですし、虚しさが募ります。これぞ陰陰滅滅です。もちろん、活動の満足感や楽しさは人数だけでは決まりませんが、人数が大きな要素であることは間違いないでしょう。そこで、i番目のメンバーが活動に参加した場合に時刻tに得る満足感Si(t)を参加人数x(t)の関数として

    Si(t)=f(x(t))

と書くことにしましょう。fはxについての増加関数で、fの形によってサークルの運命が左右されることになります。ちなみに、i番目のメンバーが時刻tに活動に参加しなかった場合はサークル活動からの満足感は得ることができませんので、

    Si(t)=0

とします。

時刻tに活動に参加するにせよしないにせよ、何らかの満足感Si(t)を得ることができました。この値によって、サークル活動の楽しさイメージスコアBi(t)が更新されます。直前の満足感が高いとイメージスコアが高くなりますし、低いとイメージスコアが低くなるでしょう。ただし、直前の値がそのままイメージスコアになるわけでは多分なくて、しばらく前の値もイメージスコアに反映されると考えられます。ある回にたまたま人が少なくてもそれまでの回に活発な活動が行われていれば「楽しいイメージ」は維持されるでしょう。それでも、何回か人がこない会合が続くと、次第に「沈滞したイメージ」に変わってしまって「昔はよかったなあ」となるかもしれません。

こうして以前のイメージが次第に最近のイメージに入れ替わっていくプロセスを

    Bi(t+1)=(1ーφ)Bi(t)+φSi(t)

という式で表現することにしましょう。ここに登場するφ(ファイ)は忘却の係数で、それ以前のイメージBi(t)をφの分だけ忘れて、その分最近の満足感Si(t)に置き換わっていくことをあらわしています。

面倒さイメージスコアも同じように、

    Ci(t+1)=(1ーφ)Ci(t)+φδi(t)C

にしたがって変わっていくものとします。参加のコストは、参加人数によってあまり変わりませんのでCで一定にしてあります。δi(t)は時刻tに i番目のメンバーが活動に参加すると1、参加しないと0になる値で、活動に参加するとコストがかかるけれども、参加しないとかからないことを表しています。

こうして、新しいイメージスコアが決まるとそれによって次回の参加確率が決まり、参加の有無が決まり、それに応じて満足度やコスト感が決まって、さらにその次のイメージスコアが更新されていく‥という形でシミュレーションが進んでいくことになります。

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ここまで書いたところで東京についてしまいました。シミュレーションの結果についてはまたのちほど!

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2009年12月28日 (月)

[今日の思案] ブリッジング・インフォーマルグループ

 フォーマルグループにクロスするインフォーマルグループによってできるブリッジングネットワークの進化モデルを作ろうかと考えています。フォーマルグループとは会社とか学校とか役所とかきちんとした組織をもった集団のことで、ブリッジング・インフォーマルグループとは趣味やスポーツなどのサークルのうち、いくつかのフォーマルグループからメンバーを集める比較的大きなものをここではイメージしています。

 フォーマルグループは生産や教育、管理など社会を支える重要な役割を果たすものですが、自集団内の協力や結束が重視され、他集団に対しては無関心であったり場合によっては敵対的であったりします(自集団勝手)。インフォーマルグループもそういう点では同じ性質を持っているのですが、複数のフォーマルグループのメンバーが参加するブリッジングインフォーマルグループの場合、異なるフォーマルグループメンバーの間に個人的な面識をもたらすことで、フォーマルグループ間の無関心や敵対関係を減らして字集団勝手を緩和する作用を持つことが期待できます。そんなわけで、ブリッジング・インフォーマルグループの進化モデルを作って、そういうグループが持続可能となる条件を探ってみようかというところまで今日は思案してました。

 手としては、ブリッジング・インフォーマルグループに参加する、しないやそういうグループを主催するしないといった戦略を考えて、参加戦略や主催戦略が進化する条件を探ることになるかと思いますが、詳しいことはまた明日考えて見ましょう。

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